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てぃくる 587 枯れていないのに

枯れてなどいないものが、枯れているように見えることがある。

(トゲチシャの蕾)


 緑の乏しい季節であれば、ほんのわずかな緑から生命の兆しを感じ取れるのに。どこもかしこも緑で溢れている今は、ほんのわずかな枯れ色が生命の喪失を連想させてしまう。

 おまえは、持て余している生命をなぜ目一杯使わないのだ。枯れ色の草が容赦なく私をなじる。その痛みが。じりじりと目を焼く。

(2019-08-28)

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