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てぃくる 837 なだらかに

 なだらかに秋で満たされていく。
 その秋の中身が何かを確かめないうちに。
 少しずつ秋で満たされていく。

 夏の訪れは、暑さと日差しの圧力でわかった。
 だが秋には押し付けがましさがない。
 だから到来がわからない。


 ひたひたと。
 潮が満ちるように、秋が全天を覆ってゆく。
 静かに、ゆっくりと。でも、隅々まで。

 冬の訪れは、寒気の厳しさで思い知るのだろう。
 それまでの間、なだらかに秋は満ち。
 秋は引いていく。


客減りて閑かなりけり秋の蜘蛛

(2021-09-28)


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