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てぃくる 168 見えないおしゃれ

本当のおしゃれさんは、裏地に凝るのよ

 ホシミスジ
 普段は羽を広げて留まるため、表羽しか見せてくれません。羽を畳んで美しい裏羽を見せてくれたのは、まだ羽化して間もなかったからでしょうか。
 幼虫の食草は、植栽でよく用いられるユキヤナギ、コデマリ、シモツケなど。ですから、本来は珍しいはずのツマグロヒョウモンなどと同じで、都市部でもよく見られます。

 表羽は地味なんですよね。黒地に白い横三本線が通っているデザインは、ミスジチョウの仲間に共通です。モノトーンで、特に美しいという印象にはなりません。
 ですが、裏羽には赤が入ります。デザインも表より複雑ですし、黒ではなく白地がベースになるので蝶らしい華やかさが匂います。普段は見せない裏羽におしゃれを仕込むなんざ、なかなかやるなって感じですね。

☆ ☆

 見えないところをおしゃれする。
 おしゃれってのが自分を他人によく見せるためのディスプレイ行為だとすれば、見えないところをいくら飾っても意味がないように思えます。
 でも、見せる相手の中には自分自身も入っています。自分に自信を持ちたい、輝いていたいと思えるおしゃれ。それならば、必ずしも派手に露出させる必要はないわけです。

 心のおしゃれっていうのは、そういうものなのかもしれません。

(2015-06-21)

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