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てぃくる 96 汝は誰そ

 いろいろな花を画像に納めていると、これなんの花だったかなと首を傾げてしまうことがあります。そうなるのは、本当に撮りたかったのがその花でないからかなあと思ったりします。

 例えば。朱赤色の袋が鮮やかなホオズキ、真っ赤な実がすずなりになるモチノキ、苞が艶やかなポインセチア……それらの花の多くは小さく、見栄えもしません。もちろん花が咲かなければお目当ての実も苞も見られないのは、知識としては分かっているんですが。結局見落としてしまう。軽視してしまうんです。
 だから、そういう地味な花は撮らないはず……なんですが。なぜか画像の山の中にこそっと埋もれているんですよ。きっと、無意識に撮っているんでしょう。

 画像の花は、うんうん考えた末に思い出しました。ホオズキの花でした。
 でも……これといった特徴のない花です。横にイヌホオズキやピーマンの花を並べたところで、その違いに気付く人がどれほどいるんでしょう?

 あれ? それってわたしと同じやん。たとえ地味でも、小さくても、美しくなくても。今、わたしは咲いているんです。それなのにスルーされる。「あなたは誰」と言われてしまう。その哀しさを、小さな花がこそっと教えてくれたりします。
 花が終わって実(遺産)だけになってから、へえーそんな人おったんや、と言われたないなあと。撮った時に、そう……思ったのかもしれません。

(2014-07-31)

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