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てぃくる 916 場違いな増産

「社長! これはどういうことですか」
「……」
「だんまりを決め込んだってだめですよ! なんだって今頃需要の全くないマッチの大増産なんかするんですか!」



「今の世相にマッチしないことはわかっておる」
「は?」

「経営的にマッチポンプにすらならんことはわかっておる」
「いや、だからあ」

「マッチがえましたで済まんこともわかっておる」
「じゃあ、なぜ!」

「夢枕にマッチが立って、ささやいたんだ。おまえを男にしてやるって」
「社長、そいつはマッチじゃなくてマッチョでしょ? ケツの穴は大丈夫だったんですか?」

「マッチ棒で塞いである」
「じゃあ、さっさとそいつに点火しましょう。社長のくだらない戯言と一緒に涅槃に送ってあげますから」


◇ ◇ ◇

 いや、本当にマッチを見なくなりましたね。何かをマッチにたとえようとしても、そのマッチを理解してもらうことが困難になってきたような……。

 ということで、マサキの蕾をマッチにたとえるのはこれきりにいたします。


古燐寸の箱に吾子の歯眠りおり

(2022-06-11)

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