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てぃくる 656 おいおい

「花見に来たのに、どこにも花がねえじゃねえか!」
「いや、花はいっぱいあるんだが、見るほどでもないっていうか……」
「自分の顔を鏡で見てから言えよ」
「てか、みんなどこにいるのー?」
「すぐ隣にいるけど」
「みんなおんなじ顔で、わけわかんない」
「自分の顔を忘れんなよー」
「記念撮影の意味はねえな」
「誰がどこにいるかわからないもんね」
「酒と弁当は誰が買ってきたんだ?」
「えっ? 誰か買ってくるんだったの?」
「ちっ! こんな花見やってらんねえわ!」
「誰が帰ったかすらもわからないし」
「おいおい」


 ヒサカキの花。匂いは強烈ですが、小さくて地味です。
 このあと黒くて小さな実がいっぱい生りますが、それも地味でみんな似たような感じ。

 誰が誰だかわからないってのは、哀しいなあと思いつつ。
 社会の中での位置付けが間違い無くその他大勢の一人である自分に、しっかりツッコミを入れましょうかね。

 おいおい。


おいおいと呆れ果てても独り寒

(2020-03-16)

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