見出し画像

てぃくる 899 別の形

 桜花のシーズンが過ぎ去って。
 春陽に芯が入る頃に咲き始めるもう一つの桜があります。


 ウワミズザクラ
 これも桜なんですよと説明すると、多くの方が驚かれます。こんな奇妙な桜があるんですか……と。

 奇妙? 確かにそうかもしれません。突き出した長い雄蕊がとても目立ち、花弁はほとんど目に入りません。実際にはちゃんと五枚の花弁があるんですけどね。穂のようになる咲き姿も、一つ一つの花が独立している一般の桜とは大きく異なります。
 でも、このような咲き方をする桜はこのウワミズザクラだけではなく、イヌザクラ、シウリザクラ、バクチノキ、リンボクなど他にもいっぱいあります。観賞用に植栽される桜が桜のイメージを固定してしまったということかもしれませんね。


◇ ◇ ◇


 代表的なものが広く知られるようになると、それがイメージを固定してしまうことがあります。桜に限らず、我々人間の世界もそうでしょう。その代表的なものが国民性。
 当たり前ですが、一人一人に考え方の差異があるのです。それに『国』というカタチで外枠をはめて固めてしまうのは、どうなのかなあと。

 常々そう思っているのです。


葉桜が吹き消す花の薄灯

(2022-04-21)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?