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WEBアニメ『アイカツオンパレード!』ずっとアイカツ!は続いてく

TVシリーズ『アイカツオンパレード!』の完結とほぼ同時に配信開始となったWEBアニメ『アイカツオンパレード!ドリームストーリー』も、7月11日の5話と6話の連続配信で無事に完結となりました。
本来ならアイカツ!新シリーズの正式発表が合間に挟まることで、「アイカツ!はまだまだ終わらない。新シリーズも楽しみ!」と確かな手応えを持って言えたはずなのですが、正式発表は一ヶ月後の8月に持ち越しに。
シリーズのロードマップとしては想定されていなかったコースに入ったと思うのですが、とはいえ『アイカツ!』も『アイカツスターズ!』も『アイカツフレンズ!』も、そしてTVシリーズ『アイカツオンパレード!』もそうだったように「アイカツ!は終わらない」し「続いていくもの」ですからね。
どんな姿なのか分からないものの「新シリーズがある」という確かなものをもって、WEBアニメ『アイカツオンパレード!』の完結を見届けることが出来たのは僥倖といえましょう。

さて前回の4話から結構な時間が空きましたが、今回配信となった5話と6話は「最終決戦前日の5話」と「最終決戦の6話」と言った装いで、「今度は一緒に」という大空あかりとの約束と、ドリームアカデミーに所属する人達の想いを胸に決勝のステージに挑むことになった音城ノエルの「どんなアイドルになりたいのか」を描いた素晴らしいエピソードでしたね。
それを見届けられたことが本当に嬉しかったです。ありがとう、アイカツ!

そんなわけで今回で『アイカツオンパレード!』のテキストも(多分)最後になると思うので、そこそこ長めのテキストを置いておきます。

遠くて近い、同じだけど同じじゃない

今回のエピソードで良かったのは「同い年だけど、音城ノエルと大空あかりは違う」ということを改めて押し出してきたことでしょう。

そもそも今回の『ドリームストーリー』は「同じだけど、同じじゃない」ということを何度も繰り返し描いてきた物語でした。
「キャリア的には似たようなものだけど、らきちゃんは物怖じせずに飛び込む」「同じ音城だけど、お姉ちゃんとは違う」「同じドリームアカデミーだけど、風沢そらや姫里マリアほど実力はない」など、音城ノエルは毎回どこかで自分と出会った他者との共通項を見つけ、自分の至らなさ故に焦燥感や劣等感を抱えていました。

その中でも特に重要だったのが1話でも描かれていた「大空あかりとの違い」でしょう。
音城ノエルがドリームアカデミーに入学した頃には大空あかりは既にアイドルとしての実績を積み重ねていて、音城ノエルがアイドルとしてデビューした頃には彼女はスターライト学園の頂点に立つトップアイドルになっていた。
「同い年なのに彼女は自分よりもずっと先にいる」という事実を、言葉の端々や何気ない行動の一つ一つから拾えてしまうが故に、音城ノエルは「自分の至らなさ」に傷ついてしまう。明確に差が生まれるものだからこその悩みでしょう。

ただそんな音城ノエルが足を止めずにいられたのは、「同じだから」ですよね。
「同じドリームアカデミーだから」「同じアイドルだから」といった「同じこと」が音城ノエルを元気づけてくれた。足を止めたくなるような現実を突きつけられても、胸に宿った同じ思いが一歩踏み出す力を与えてくれた。
『ドリームストーリー』は、そんな「同じだけど、同じじゃない」をより大きな「同じ」で包み込んで、推進力に変えていく物語を何度も繰り返し描いてきた作品なのですが、こうした積み重ねがあるからこそ1話の「同い年だけど、音城ノエルと大空あかりは違う」を改めて描いても「やっぱり大空あかりは凄いなぁ」という少し違う物語になってくると思うのですよ。「あれだけ頑張ったのにまだ届いていない」という僅かに残酷さを感じさせる話になる。

そして。この残酷さがあるからこそ「大空あかりも同じことを感じたことがある」という「同じこと」で包み込んで元気づけ、「あの日の約束」のその先へと足を踏み出した音城ノエルが、「みんなを元気にするアイドル」になる瞬間が熱かったと思うのです。
これまでは大空あかりの背中を追いかけてきた音城ノエルが、今度は大空あかりの隣に立つために「みんなを元気にするアイドル」として頑張っていくんですよ。

SHINNING LINE*と共に「道を極めること」の面白さも展開してくるのは『アイカツスターズ!』や『アイカツフレンズ!』の要素も感じられて、『アイカツオンパレード!』名義で発表するだけのことはあったと思います。

あの時と同じ立場になったからこそ

音城ノエルの物語も良かったのですが、大空あかりの物語もよかったですね。
「大スター宮いちごまつりで星宮いちごと交わした約束を胸に頑張ってきた大空あかりが、今度は音城ノエルにその言葉を伝える」という展開も素晴らしいのですが、やはり「星宮いちごと同じ心境に至ったからこそ見えたもの」が詰まっていたところが良い。
星宮いちごについて語っている時に滲み出る「今だからわかる星宮いちごの凄さ」とか、その背中をどれだけ追いかけても全然追いつける気がしないことへの自分の未熟さとか、だからこそ「追いかけたい」と思える面白さとか、そういったもの全てが「ううん。私がようやく辿り着いた先には、星宮先輩はもっと先へ行っていた。凄く遠いよ、星宮先輩まで」のセリフの中に全て詰まっている。
そこからの「だから、待ってるよ」がまたいいですね。
星宮いちごを追いかけた自分のように、自分の背中を追いかけてくる人がいる。だからこそ星宮いちごと同じ心境に至って「待ってるよ」なのがね。もう「これが聞きたかった」ですよね。
「ついにこの日が来てしまった」とも言えるんですが、大空あかりがマイクを渡す瞬間を見れたのが最高でした。
そして星宮いちごの心境に至ったからこその大勝利展開も本当に「あかりちゃんの背中、本当に遠くて、追いかけがいがあるなぁ」と思わせる良い展開でした。

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エピローグでの星宮いちごと大空あかりのやりとりも素晴らしかった。
星宮いちごから受け取ったアイドルの夢を大空あかりが育てて、大空あかりから受け取ったアイドルの夢を今度は音城ノエルが育てていく。
あの時の「待っててあげるから」は「満開の花を咲かせたアイドルの花を見せに来てね」ってことなんですよね(同時に「私もその日まで育てておくから」ってことでもある)。
本当によかった。何年か越しに答え合わせをした気持ちです

姫石らきと音城ノエル

また姫石らきと音城ノエルについても良かったと思います。
年齢的にもキャリア的にも大差ないものの、姫石らきは「無謀」と言いたくなるぐらい胆力と行動力の性格で、音城ノエルはそうではなくて頭で考えてから動き出すタイプで性質的には真逆の二人。
そんな二人の交友関係がしっかりと描かれているのも嬉しいのですが、地味に重要なのは「一緒にステージに立ちたい!」という約束をしていること。
要は『アイカツ!』で大空あかりと音城ノエルが交わした「いつかステージで」と同じことを姫石らきとしているのですよ、音城ノエルは。
本編では「神崎美月と星宮いちごと大空あかりの流れの中に、新たに音城ノエルが加わる」というSHINNING LINE*の要素をメインに据えて押し切っておいて、最後の最後のエピローグでは大空あかりと音城ノエルの個人的な約束をオマージュとして盛り込んでいくのは強すぎるでしょう。『ドリームストーリー』は時系列的に世界が再び分かたれる25話より前の話なんですよ!

「融合していた世界が元の形に戻る」という展開を先に見ているからこそ、姫石らきと音城ノエルの関係は「世界は違えども同じ景色を目指して頑張る仲間」になりますし、「一緒にライブがしたい」も「再会した時に叶えたいこと」になりますよね。
それはTVシリーズ25話で姫石らきが語っていることに意味が増えているってことでは? また見直す理由ができましたね。

まあ『ドリームストーリー』の要素を入れ込むとTVシリーズのテーマがぶれてしまうのは確かなので、削ったのは正解だと思うのですが、まさか外伝相当のアニメで本編の味わいがさらに増すことになるとは思いませんでした。

最後に

TVシリーズが完璧に近いぐらいに「姫石らきの物語」で決め切ってくれたので「WEBアニメはどうなるのか」と思っていましたが、終わってみると短い話数の中でちゃんと『アイカツオンパレード!』をした物語になっていたと思います。『アイカツオンパレード!』を補完している部分もあり、本当に素晴らしい作品でした。
スタッフの皆さん、キャストの皆さん、そしてアイカツ!が好きな皆さん、幸せな時間をありがとうございました。

さてさて。
冒頭にも書きましたように、今回でアイカツ!の長めのテキストは一区切りつく感じになるかなと思います。
新作が始まれば新作について書きますが、新作がないのならちょっと書くものもないので仕方ないですね(まあ別所で書いていたりしますが、それは後々出す予定)。
お疲れさまでした。

まあオケカツ!のパンフは買ったので、いつかその話はしたいですね。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。