キンプリ

『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』九話を見て大和アレクサンダーのピュアさに心を撃ち抜かれた

『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』第三章を締める第九話は大和アレクサンダーの物語だ。
「プリズムショーの破壊者」という肩書と共に『KING OF PRISM by PrettyRhythm』に登場した彼は現在の「ストリートのカリスマ」である仁科カヅキに戦いを挑み、その熱く滾るプリズムジャンプの応酬で私達に「ストリート系同士の戦いは本当に命がけの真剣勝負で、こんなにも熱い気持ちにさせてくれるものなのか!」ということを教えてくれた。
その続編となる『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』では、カヅキに「エーデルローズのストリート系」を託された香賀美タイガと死闘を繰り広げ、「会場そのものを作り変えてしまう」という仁科カヅキのプリズムショーに圧倒された後の「カヅキにストリート系の在り方を説かれて頬を赤く染める」には「ひょっとして滅茶苦茶ピュアな奴なのでは……」となってしまったわけだが、九話ではそんな大和アレクサンダーが「なぜストリートのカリスマの称号にそこまで執着するのか」が明らかになり、私はその純粋さに再び心を撃ち抜かれてしまった。

大和アレクサンダーの純粋さに死ぬ

大和アレクサンダーがプリズムショーを知ったのは黒川冷がきっかけだった。

黒川冷は現在でも「元祖ストリートのカリスマ」と呼ばれている事からも分かるように「ストリート系プリズムスタァ」という存在の草分け的存在で、氷室聖、法月仁らとともに「三強」と呼ばれる時代を築いた偉大なプリズムスタァである。
「氷室聖と戦いたい」という一心でプリズムキングカップへの出場を決めたものの、氷室聖は法月仁の画策により大怪我を負って引退。「聖と戦いたい」という願いが叶えられなくなった黒川冷もプリズムショーの表舞台からは姿を消した(その後の黒川冷は「DJ Coo」としてプリズムストーンの運営に携わる。その活躍っぷりは『プリティーリズム・レインボーライブ』参照)。

大和アレクサンダーがそんな黒川冷と出会ったのは本当に偶然だった。
喘息持ちで華奢な体格であった幼少期のアレクがチンピラ達に絡まれていたところ、黒川冷が助けてくれたのだ。黒川冷がプリズムスタァであることを知ったアレクは彼のファンになって応援を続けていたのだが、プリズムキングカップでは上述の理由により欠場。以降、失踪状態になってしまった事を受けて大和アレクサンダーは決意する。

黒川冷とその代名詞「ストリートのカリスマ」を守るために強くなることを。その名を汚す者達を絶対に許さないということを。

その決意とともに作り上げられたのが現在の大和アレクサンダーである。

黒川冷のことを誰よりも純粋に尊敬しているからこそ、彼が切り開いてきた「ストリート系プリズムショー」を半端な気持ちで踏み荒らしていく者達に怒りを覚える。
「彼のような人間になりたい」と心から思っているからこそ、彼の代名詞とも言える「ストリート系のカリスマ」を汚すような事をする人達が許せない。

幼少期に憧れた背中を誰よりも純粋にストイックに追いかけている。
そんな彼の姿はとても眩しいし、そしてそんな大和アレクサンダーが今の自分を作ってくれた黒川冷(と愛を注いでくれた両親)に「自分のプリズムショー」を見せる物語の流れは胸を熱くさせる。

大和アレクサンダーのプリズムバトルショーで燃える

そのプリズムショーの内容もまた熱いものだった。
TRFの「survival dAnce 〜no no cry more〜」で最初こそごくごく普通にプリズムショーをしていたが、プリズムジャンプをきっかけに香賀美タイガとのダンスバトルに発展。激しいプリズムジャンプの応酬が繰り広げられるのだが、アレクの本当の狙いは「ダンスバトルそのものをショーアップし、エンターテイメントに昇華する」という点にあった!という一連の構成は、ストリート系を愛する大和アレクサンダーらしさが溢れていて心を熱くする。

何より面白いのは大和アレクサンダーが香賀美タイガが乱入してくると信じていた事だ。

これまでのアレクのプリズムショーは自分の力で相手をねじ伏せるものだった。「会場の事なんて知ったことか!」と暴力的なプリズムジャンプを飛び、破壊することで自分の力を周囲に見せつけてきた。「他者を威圧する」と言っても良いかも知れない。強者ではあるものの、その暴力的な振る舞い故に彼は荒々しく近寄りづらい存在だった。
しかし今回のプリズムショーは違った。
「自分が少しでもそうした素振りを見せればタイガが必ず乱入してくる」と信じて、彼はあえて暴力的な姿をちらつかせ、乱入してくるやいなや相手の必殺技を紙一重で避けるピンチを演出し、自身の本命とも言えるプリズムジャンプにつなげていく。

そう、今回の大和アレクサンダーのプリズムショーは「プロレス」なのだ。
ストリート系プリズムスタァ同士の真剣勝負を華麗に演出し、見ている人をワクワクドキドキさせる。
その「勝負の勝敗は関係ない。メインの楽しみは『戦いそのもの』。そこを楽しんでもらう」という考え方は完全にプロレスのそれだ。
おそらく黒川冷のアドバイスを大和アレクサンダーなりに解釈し、自分のプリズムショーへと組み込んだ結果があれなのだろう。
しかしそれにしても「タイガの乱入を信じてステージに立った」というのは熱すぎやしないだろうか。

自分なりの方法で他者とともに盛り上げるプリズムショーを発明した大和アレクサンダー。
今の彼は「プリズムショーの破壊者」であるとともに、「プリズムバトルの創造者」と言ってもいいのではないだろうか。

これまでの大和アレクサンダーを見てきて、そんな事を思ったのだ。

最後に

さて今回は山北早紀演じるマッハ北山(マッハ→早、北山→山北)が歌だけで参加していたり、大和アレクサンダーの母親である大和ヴィクトリアと香賀美タイガの母親である香賀美朗香が実は女子プロレスの世界で一度戦っていたり(つまり親同士の戦いが子供同士でも……)、そもそもヴィクトリアが「逃げちゃダメよ」とか言い出すと細かい部分を拾っていけば本当にキリがないほど多いのだが、個人的には大和アレクサンダーのダンス振付をKENSAKU氏が担当していたことに何よりもプリズムのきらめきを感じた。

KENSAKU氏は『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』の実写パートにて一年間MCとしてPrizmmy☆(現在は解散)とともにプリティーリズムシリーズに関わってきたダンサーなのだが、まさかここにきてKENSAKU氏が登場するとは露程も思っていなかった。それだけにここにきて登場したのは嬉しい。ありがとうKENSAKU……。

EDは「Silver and Gold dance」。武内駿輔の美声とラップ部分の完コピが最高にマッチしていて最高だった。

次回は如月ルヰの担当回。「プリズムの使者」というサブタイトルからも分かるように「この世界の謎」が明らかになり、ルヰとシンの因縁が明らかになるため気を強く持って視聴したい(映画館で見た時に言葉を失った人)。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。