キンプリ

『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』姉への憧れから自分だけの仲間を見つけられた涼野ユウの八話

『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』も折り返し地点を過ぎ、エーデルローズもシュワルツローズも残すプリズムスタァはあと二人となった。
第八話で舞台に上がるのはエーデルローズ最年少プリズムスタァの涼野ユウ。自分を「全知全能のゼウス」と呼ぶほどいつも自信に満ち溢れた少年だが、こう見えてもエーデルローズ生達の楽曲をすべて制作しており、自信に見合うほどの才能を持った正真正銘の天才である。

実は涼野ユウはスピンオフ元である『プリティーリズム・レインボーライブ』のメインキャラクターの一人である涼野いとを姉に持つため、「設定上は『KING OF PRISM』のメインキャラクターでは一番スピンオフ元との接点が強いキャラクター(ただし担当している声優は違う。『プリティーリズム・レインボーライブ』の頃は高山みなみ)」となっている。
設定が明かされた頃からファンの間では「プリティーリズム・レインボーライブとの繋がり」が期待されていたが、今回の八話はその期待通りの「涼野いとの繋がりをほのかに意識させる物語」となっており、当時から追いかけてきたファン(無論私も)は涼野ユウが飛んだプリズムジャンプに思わず涙してしまうことだろう。

心を許し合える仲間と出会えた喜び

今回のエピソードを一言でまとめるのなら「涼野ユウが一条シン達に本当の意味で心を許して、仲間になる」と言ったところになる。
姉・涼野いとがプリズムショーのおかげで「心を許し合える仲間」に出会った。涼野ユウはそのことに強い憧れを抱いていて、「自分にもそんな素敵な同い年の仲間が出来たらいいなぁ」とエーデルローズの扉を叩いたが、シュワルツローズの攻勢により所属しているプリズムスタァの数を減らしていたエーデルローズにいたのは年上ばかり。「楽曲を作るために合宿に行こう!」という話になっても、合宿先では遊んでばかりで作詞も作曲も放りっぱなし。微妙に頼りがいがない。
そんな状況を目の当たりにした涼野ユウとしては怒って当然である。「俺には姉ちゃん達みたいな仲間と出会えないのかなぁ……」と落ち込むのも無理からぬことだろう。
しかし一人になったからこそ見えてくるものがある。
ユキノジョウはスキューバダイビングの最中に自分が見つけた美しいものを教えてくれた。ミナトはその料理で自分の事を元気づけてくれた。仲間達も張り詰めた気持ちを解きほぐすかのように一緒に遊んでくれた。
確かに涼野ユウは姉のような「同い年の仲間」には出会えなかった。
姉のように同い年だからこそ共有できる物事を分かち合う事は出来なかった。
しかし涼野ユウは違う年齢だからこそ見ているものが違って、背負っているものが異なる仲間と出会うことが出来た。エーデルローズにやってきたから同じ目線で喜びも悲しみも苦しみも楽しみ分かち合える仲間と出会える事ができた。

「姉のような仲間」ではなく「自分だけの仲間」と出会えた。

その喜び。その感動。
それらをすべてパフォーマンスで表現したのが涼野ユウのプリズムショーだ。
仲間達と笑い合う姉に憧れ、苦しみを仲間と分かち合うライバルの背中を見ていた涼野ユウがついに出会う事が出来た仲間。その姿を北斗七星で描いたのがあのプリズムジャンプだ。
憧れて見上げるだけだった「仲間といる世界」についに飛び込んだ事を意味するあのプリズムジャンプは、涼野ユウにとって今出来る最高のものだろう。
ついに出会えた仲間とともに、仲間と出会えたエーデルローズで涼野ユウは輝く。そういう意味ではこの八話は「『プリティーリズム・レインボーライブ』への返歌」と言えるのではないだろうか。

内田雄馬、最高

今回の八話を見ていてぐっと来たのは内田雄馬の好演だ。
姉である内田真礼が『プリティーリズム・レインボーライブ』にて森園わかなを演じていた事から「プリティーリズム・レインボーライブも見ていた」と語っていた内田雄馬。そんな彼が「『KING OF PRISM』にて涼野いとの弟として出演する」と聞いた時はびっくりしたのだが、今回の八話では「誰かに心配されると反射的に強がってしまう」をユウの演技プランとして採用しており、「『プリティーリズム・レインボーライブ』の頃から変わらないもの」を感じて泣きそうになった。
「ユウは『プリティーリズム・レインボーライブ』と地続きの存在であり、二作品の架け橋」ということを意識してのことだと思うが、『KING OF PRISM』の直前番組で「森園わかな役内田真礼の弟」という自分と、自信が演じる「涼野いとの弟である涼野ユウ」を合わせて「俺の姉ちゃん、スゲェだろ!」と無邪気な古参宣言ではしゃいでいたのは嘘じゃなかった! 当番回で「弟」として滾る良い演技をしていて、長らく『KING OF PRISM』を追いかけてきた身としては「彼には格があると思っていました」という心境である(念のために言っておきますが、内田雄馬の実力については以前から高く評価している。今回は「丁寧に拾って、再構築してくれて嬉しい……」という意味での絶賛だ)。

最後に

これまでスルーされてきた「あの楽曲は誰が作ってたの?」という話も解決し、ユニットソングも完成した。そしてセプテントリオン……。
終盤に向けての詰めていく過程に差し掛かっているが、一方でシュワルツローズはまだ「プリズムショーの破壊者」大和アレクサンダーを残しているという状況である。
仁科カヅキを一度は圧倒し、ストリートのカリスマの称号に執着をみせる大和アレクサンダー。彼は一体何者なのか……。
私にとっては「あー!あー!死ぬ!」となって実際に死んでしまったぐらい好きなプリズムスタァなので九話は可能な限り全員に見てほしい。本当に最高なので……!

なお今回のEDは「Overnight Sensation 〜時代はあなたに委ねてる〜」であるが、ドラムとキーボード、そしてギターのアレンジが効いていて、ユウのプリズムショーとの一体感が凄かった。micihitmoアレンジにハズレ無しである。


余談だが、『プリティーリズム・レインボーライブ』ではギターだけ「プリズムレインボーギター」という玩具になりプリズムライブではそのギターを扱っていたのだが、『KING OF PRISM』においては『キラッとプリ☆チャン』で緑川さらが使用していたものとなっている。
「ゼウス」は雷神でもあるので雷っぽいエフェクトのさらギターでも全く違和感がないのだが、まさか『キラッとプリ☆チャン』要素まで拾ってくるとは思わなかったのでここに書いておく。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。