ジュエペ

ジュエルペットシリーズが全話配信されるので全作品について書く

サンリオがジュエルペットTVアニメ10周年を記念して『ジュエルペット』から『ジュエルペットマジカルチェンジ』までの全7シリーズ全ての無料配信を発表しました。一ヶ月ほど前に。


ジュエルペットといえばシリーズごとの話の振れ幅が大きすぎて、好みの差がはっきり出るものの、基本的には「外れがない」「どれも違った面白さがある」と断言できるほど安定した面白さを誇るシリーズなので「無料配信」という形で誰にでも見ることが出来る状態になるのは嬉しい限り。
DVDとかBDとか本当にファングッズ扱いなので購入している人も少ないですし、そもそも配信周りも全く充実していないので見ようと思っても見る事が殆ど出来ないですからね。レンタル……? ジュエルペット、そこまで大きく扱われたことが……。

私もマイベストジュエルペットアニメこと『レディジュエルペット』『ジュエルペットてぃんくる☆』以外のソフトは所持していないので、今回の無料配信でおぼろげになりつつある作品の記憶が更新出来るようになるのは本当に嬉しいですし、無料なので「えっ、見てないんですか?」「タダなのになぜ見ない」と友人に投げつけられるようになったのでガンガン勧めていきたいのですが、7シリーズもあって、しかも作品ごとに話しの振れ幅が違うとなると「どこから手を付けたら良いのかわからない」となるかと思います。なので大まかにですが、それぞれの作品の良さについて書いておきます。

なおこれを書いている時点では無料配信は第一作(通称:無印)だけしか配信されてないので、『レディ』と『てぃんくる☆』以外は基本的には記憶頼りですのでその点はご理解ください。
それにしても「毎月更新」って話なのに、発表から一ヶ月経っても『ジュエルペットてぃんくる☆』が追加されないのはどうなんでしょうね。そういうところだぞ、サンリオ(追記:7/30に更新されましたので、該当ページへのリンクを追加しておきました)

ジュエルペット

現在唯一youtubeで配信されているジュエルペットアニメ。「ジュエルペットのルビーが人間の紅玉りんこと共に人間界へと飛ばされたジュエルペット達を探す」というストーリーでジャンルとしてはコメディアニメになると思う。全52話。
ジュエルペットシリーズ第一作目ということもあって、ジュエルペット一人一人にスポットを当てて「こういうキャラクターですよ」というのを見せる感じの話が多い。そのため軽いノリで見始めても見終わる頃には何となくキャラクターが把握できるので「ジュエルペット……?」という人は、後の作品を見る前に本作を見ておくと理解が捗ると思う。
アニメ展開のテストモデルみたいな側面もあるので色々手探りな要素が見られるけど、この段階から「人間とジュエルペットの絆」みたいな「シリーズを通してのテーマ」が存在しているのでその点は凄いと思う。
あと今見ると「えっ、なんでこの人が脇役やゲストで出てるの!?」ぐらいに声優が豪華。宮野真守と福山潤と岡本信彦と伊瀬茉莉也と細谷佳正と悠木碧がでているのは何事かと思った。

あとOPが浅香唯で、EDが堀江美都子。


ジュエルペットてぃんくる☆

マイベストジュエルペットアニメその1。
内気で引っ込み思案な性格の女の子・桜あかりがルビーと出会って魔法学校に入学してから卒業するまでの一年間の成長を描いていて、コメディ色の強い話はあるものの基本的にはシリアスな作品。全52話(ただし後にクラウドファンディングによって後日談となる特別編が制作されたので実質全53話)。
何が良いって「一年かけてキャラクター達の成長を描いた」という点。
主人公の桜あかりは姉にコンプレックスを持っているし、留守番を押し付けられがちだし、母親から約束を反故にされたこともあるし、周囲は姉と比較するしで物語が始まった時点でかなり内向的な性格で「普通の良い子」を演じているような感じの描かれ方をしているんだけど、そんな彼女が「異世界の魔法学校」に行くことで「自分を自分として見てくれる人達」と出会って少しづつ変わっていく。
この話の展開がまあ最高なんですけど、憧れの男の子である神内祐馬と距離を縮めていくメロドラマっぷりと合わせて「一つのクライマックス」を迎える33話は何度見ても「クライマックスを一話の中に二つ三つ放り込むな!泣いてしまう!」となってしまう。最高ー。

もう一つ、『ジュエルペットてぃんくる☆』の軸になっている物語としてアルマを巡る物語があるんですけど、終盤で闇に囚われてしまったアルマをあかりが救うシーンと、序盤から出ていた「ラムーラ ラムーラ ラムリアース」の使い方が最高オブ最高なので最終話まで見て欲しい(なお最終話は特別OPで、ここまで見てきた人間はこのOPだけで泣いてしまうところがある。最高)。


ジュエルペットサンシャイン

マイベストジュエルペットアニメその2。
ジュエルペットのルビーと人間の水城花音と魔法学校の問題児クラスである3年ウメ組の一年を描いた作品……という認識で問題ないと思うけど、最大の魅力は「メインターゲットん誰が分かるんだこのネタ。親世代でもギリギリ分かるか分からないかぐらいのネタだろこれ」というパロディネタの連打っぷりだと思う。
第七話でエアロスミスの「I Don't Want to Miss a Thing」を流しながらの『アルマゲドン』のパロディを叩きつけ、「SHOW ME」を流して『男女七人秋物語』のパロディへと変え、「宿題を見せてください!お願いします!」に「TALK SHOW」を合わせることで「ねるとんパーティーじゃねーか!」というツッコミを誘発させるひどいパロディが滅茶苦茶多い。
貴方は南こうせつとかぐや姫の「神田川」が流れた女児向けアニメを見たことがありますか?
私はあります。『ジュエルペットサンシャイン』で見ました。最終話一話前のサブタイトルが「ルビーの指輪イェイ!」で寺尾聰の「ルビーの指輪」が流れた時は「このアニメ、一年間こんな感じだったけど、満を持して感があるな」と本気で思いました(ただソフト化の際に通常BGMに変更されたのでおそらく配信版でもこの辺の楽曲は使用されないと思います。脳内で流してほしい)。

ひどいパロディとコメディの応酬で忘れがちだけど松嵜麗演じる花音様が最高に美少女だし、何だかんだで終盤まで先が読めない展開に期待しちゃう作品でもあるので私は『サンシャイン』も好きです。御影君、何だかんだでヒロインとしての強度が異常に高いんですよね……。

ジュエルペット きら☆デコッ!

森脇真琴+ふでやすかずゆき=カオスなアニメが出来上がる。
その見立ては間違っていない。
『ジュエルペットきら☆デコッ!』の「人間界から召喚された五人の正義のヒーロー」という設定はスーパー戦隊シリーズのパロディ以外の何物でもないし、マニアックなネタこそ減っているもののハイテンションなギャグやネットスラングの飛び交うネタが多くて、全52話を見終えた後の印象として「カオスなアニメ」が最初にでてくるのは仕方がないと思う。
でも『きら☆デコッ!』(ひいては森脇真琴&ふでやすかずゆきコンビ)の良いところは「パロディとして意外なほど素直で、外してはいけないところは守り、外して良いところは良い方向に外す」というパロディとしての品の良さで、それが本筋の物語と絡められて「この作品の面白さ」にきちんと繋がってるところだと思うのです。

前述したスーパー戦隊シリーズのパロディで言えば「スーパー戦隊シリーズなら途中でパワーアップするのは当然」なんだけど、ジュエルペット達との物語がしっかりと絡まっていて、パワーアップ形態にそのジュエルペット達の意匠が盛り込まれていたりとかそういうところです。具体的にはチターナとスマートグリーンは最高でした。

私は見れていないけど、サンリオピューロランドでやっていたミュージカルは好評だったらしく放送終了後も続いていたらしい。凄いぜ、『きら☆デコッ!』。

あ、OPとEDはどちらも芦田愛菜です。

ジュエルペットハッピネス

人間とジュエルペットが共存するジュエルランド。その最高権力者であるジュエリーナの思いつきにより人間とジュエルペットの絆が生み出す魔法の宝石を集めることになったジュエルペット達が、学園にオープンしたジュエルカフェで人間たちと交流する友情物語。全52話。

桜井弘明監督作品ということもあって『サンシャイン』『きら☆デコッ!』とは違って、ハイテンションというよりはゆるいギャグが多いこと、基本的に「人間とジュエルペットの絆」に主眼を置いている事もあって今まで以上にジュエルペットと人間の絆がクローズアップされることが多いのが特徴といえば特徴。なので合う人は合うし合わない人は合わない気がする。前年までがなかなかでしたからね……。
ただ赤い月が本格的に動き始めた終盤の絶望的な展開と、人間サイドの主人公である月影ちありが最後の最後まで一つの事を貫いた展開は最高。終盤の展開には不覚にも泣いてしまった。
月影ちあり自身「本当に普通の女の子だな!」と思う事が多いキャラクターだっただけに、普通の女の子が自分が今までしてきた普通の事を最後まで貫き通すのとかやばくないですか。私はそういう月影ちあり(と花園まりえ)が好きでした。

余談だけど、EDが途中からダンス版になるんだけど、そのダンスが死ぬほど可愛いことと、サビのメロディの美しさが癖になるので人類とジュエルペットは見ておいて損はないです。
織田哲郎最高。
EDのダンスは(フェアリーズなので)牧野アンナの振り付けだと思うんだけど、情報持ってる人よろしくおねがいします。

レディジュエルペット

『ジュエルペットハッピネス』で「人間とジュエルペットの絆」というテーマは一通り描き切られた事もあって、『レディジュエルペット』ではジュエルペット達は人間達のメンターという立ち位置に収まり、メインストーリーは「立派なレディを目指して、少女達が日々努力を積み重ねていく」という成長物語に。
キャラクターデザイン原案にワダアルコが参加している事からキャラクターデザインの方向性が少し大人っぽいものになっているのも『レディジュエルペット』の特徴と言えば特徴かな。全52話。

メインストーリーは前述したように「立派なレディを目指して頑張る少女達の成長物語」で、一年間の物語はトップ・オブ・レディが決定される事で幕を下ろすんだけど、それと並行して「レディ候補生ではないものは誰か」や「数々の騒動を引き起こした黒幕は誰なのか」と言ったサスペンスドラマの要素も多い。特に中盤から終盤にかけてのミウラは「物語の核心に迫っていく者」なので、重要な情報を一番最初に知ってしまったりと見ていて辛くなる事も多かった。リリアンとの距離を縮めれば縮めるほど、真実を知った時に彼が負う傷が深くなっていくのは、分かっていたけど辛かった……。
ただシリアスな展開が多いということはそれだけカタルシスが大きいということでもあって、51話と52話は「川崎逸朗監督はこれがやりたかったのか!」ということ間違いなしだと思う。
これを見るためにこの一年間の物語があったと言っても間違いではないので、毎日一話づつ52日かけてゆっくりと見て欲しい……。
あとみずきとソアラ、かろんとレビンといった男女の組み合わせも最高でしたね(かろんの中の人は現役アイドルなんだけど、文学少女っぽい演技をしていて最高なのでそこも見て欲しい)。

マイベストジュエルペットアニメその3。
リリアンがひと目見たときから死ぬほど好きだった(でもリリアンは……)。

ジュエルペット マジカルチェンジ

ジュエルランドから落ちてきたジュエル城がすっかり景色に溶け込んでしまった人間界。人間に魔法を信じる力を取り戻させてジュエル城を戻すべくやってきたジュエルペット達と、そんなジュエルペットと共同生活を送ることになった雲母あいり達の日々を描いた作品。全39話で、基本的にAパート/Bパートで違う話をやる『ドラえもん』形式で制作された。

タイトルの「マジカルチェンジ」とはジュエルペットが人間体に変身することで、物語のカギを握る事も多くゲストでジュエルペットが登場すると「どんな姿になるのか!」と期待していたりした。ゲストで言えばガーネットは異常なほど可愛かった。私は基本的にはルーア派。

アニメのノリとしては『きら☆デコッ!』の頃のようなハイテンションなギャグを主体としたスラップスティック・コメディで、前作『レディジュエルペット』のシリアスさ加減とスローテンポだけど地に足の着いた描写を積み重ねていく作風とのギャップが激しくて「身体がついてこない」と思っていたのだが、これを書くためにHDDに残っていたものを見直したら思い出よりもテンポが良くて畳み掛けるようなギャグが多く、「むしろ満足度で言えば随一では?」という気がする。

ただ最終話は「ジュエルペット達がジュエルランドへ帰ってしまう」という定番のお別れ展開と、「アニメシリーズがこの『マジカルチェンジ』で終了してしまう」というリアル事情が噛み合って「うわー!何という美しい展開をー!」と叫んでしまった。当然のように泣いた。ああいう大人の事情と物語展開を重ねてくるのはずるいと思うんですよ。なんか許してしまう。

あと福王子ローラは田辺留依の声質と合っていて良いお嬢様キャラでしたね……。あの手のタイプのキャラがあそこまでハマるとは……。

最後に

ジュエルペットシリーズはどの作品も独立した世界観になっていて、シリーズ皆勤賞のルビーですら設定が変わってたりするので、どれからでも好きなのを見てみればいいと思います。
あえてオススメを言うのであれば「マイベストジュエルペットアニメ」ということで上げた『ジュエルペットてぃんくる☆』『ジュエルペットサンシャイン』『レディジュエルペット』辺りでしょうか。
無印とか『ハッピネス』とか『きら☆デコッ!』とか『マジカルチェンジ』とかも面白いので、合間にでもつまみ食いしてください。

ジュエルペットをよろしくお願いします。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。