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なぜ実写版アラジンにあんなに泣けたんだろう

小さな頃、家にあったディズニー「アラジン」のビデオテープ。何度も何度もくりかえし観て、英語版も日本語版も曲はぜんぶ歌えるぐらい。トラのラジャーを従えて、父親の国王に嫌なことを嫌とハッキリ言うジャスミンがかっこよくて憧れてたのは覚えてる。

だから、実写版アラジンが公開されると知ってめちゃくちゃめちゃくちゃ嬉しかった!!!!!どんな世界観が再現されているんだろう?って。

始まってすぐ、「あ。これはわたしの知ってる『アラジン』の世界だ」ってうれしくなった。ジーニー役のウィルスミスなんて最高すぎて「そりゃー他にジーニーをやる人なんていないよね」って思う。

でも、アニメ版よりもアップデートされている部分もあった。ジャスミンが「国王のあとを継ぎたい」と願うところ。侍女・ダリアに本心を打ち明け、アラジンに惹かれる気持ちと、王女としての責任に悩むところ。

まだこのストーリーに〝共感する悲しさ〟

あとを継ぐために必死に勉強してきたと訴えるけど、ジャスミンの結婚相手を探す国王からは「これまで女が王になったことはない」とスッパリ言われてしまう。ガーン。国を乗っ取って同盟国との戦争をたくらむジャファーに至っては「女は美しいだけでいい」とまで……!(イライライライラ)

一番泣けたのは、ジャスミンの思いがこもった歌「スピーチレス」を聴いたとき。「私は黙ったままでいない。誰も私の口をふさぐことはできない。私の声は絶対に奪わせない」と力強く歌う。そして……

ジャスミン役のナオミ・スコットは、ロサンゼルス・タイムスのインタビューで↓のように答えてるんだって。

「今回の映画では、ジャスミンはより大きな志を抱いていて、彼女自身の外に目を向け、邪悪な敵から国を守ろうとします。人々のリーダーとなり、同時に愛を手にすることは可能だと示しているのです。ガールズ、両方手に入れていいの。その2つは両立できるのです」

小さい頃あこがれていたかっこいいジャスミン。でも、それから20年以上経っても、女性が「国王になれない」と言われ、それを乗り越えていくというストーリーに「共感してしまう現状」が悲しかった。まだまだ女性は自由に生きられてない。道半ばなんだなぁと。まだ「両方、手に入れていいんだよ」と呼びかけなきゃいけないんだなぁ。

性別でリーダーを決めるなんて絶対におかしい。
早く「日本って○年前は、女性の国会議員が1割しかいなかったらしいよ」「え!?人口は半分ずつなのに?」って会話ができるようになるといい。
女性に生まれたからって何かを諦めたり我慢したり、試験の点数が調整されたりスタートラインを下げられたりすることがなく、どんな性でも生きやすい社会に変えていかないと。悔しいけど、まだ道半ばなんだなぁ。

「ベッドと台所にいる女は好き」に啞然

そんな意味では、DVDで借りた映画「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」も胸に刺さって痛かった。

「女子の賞金が男子の8分の1」というテニス協会の発表に怒った女子のトップ選手ビリー・ジーン・キング。1973年、仲間と「女子テニス協会」を立ち上げる。そして、「男性至上主義」の元トップの男子選手とテニスマッチをする…というお話。

このボビー、記者会見で「女は好きだよ。ベッドとキッチンにいる女はね」とか言う。これ、実話に基づいてるんだって……たった40年ほど前。絶望的な気持ちになる。

いまは男女同額になったテニスの賞金。

キング夫人の活動により、全米オープンは1973年から賞金金額は男女同額になった。それから遅れること34年後、2007年にやっとウインブルドンが同額となり、現在、グランドスラムと呼ばれる全豪、全仏、ウインブルドン、全米の賞金はすべて男女同額だ。

ただ、上記リンクの甘糟りり子さんのコラムによると、ジョコビッチは5セットマッチの男子の試合と、3セットマッチの女子の試合が同額なのはおかしい、って言ってるんだって……いやいやショックだよ……涙

セリーナ・ウィリアムズも長年、試合中に「男子選手はこんなことで注意を受けない」とか、男女の差をずっと主張してる。(なおみが優勝した昨年の全米オープンの試合のやり方はがっかりしたけど…それについては謝罪したってニュースを読んで、自分の過ちを認められるセリーナはやっぱり好きだなぁと思う)

セリーナ「私はいついかなる時も絶対に、他の女性選手の輝く瞬間を奪いたくない。これからもファンとして見守っていく」
大坂「あなたのように立ち向かっていった人は誰もいない。先駆者としてこれからも続けていってほしい」

たくさんの先駆者がいてくれたから、徐々に徐々に社会は変わっていっている。絶望せずに、わたしも出来ることを一歩ずつ重ねていかないと。

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