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世界報道写真展 フィリピンの川と自分が、つながっていること

毎年、訪れるのがギリギリになってしまう世界報道写真展。今年は(も)最終日に滑り込んだ。大賞を取ったのは移民をテーマとした1枚。

わたしが印象に残った1枚はマリオ・クルス氏が撮影した↓の写真。写真展行けない…って方はぜひアクセスして見てみてほしい~

プラスチックのゴミだらけの川。汚れたマットレスの上に寝転ぶ男の子。彼はリサイクルできるプラスチックを探しているんだとか。

フィリピンのパッシグ川は、2017年のネイチャーコミュニケーションズによる「世界で最も汚された20河川」のうちのひとつ。
1年で最大6.3万トンのプラスチックが海に堆積しているそう…。昨年、川の浄化のための努力に賞が贈られたけど、未だに汚れているエリアでは川のゴミの上を歩けるらしい…

1人あたりのプラスチック排出量・世界2位の日本。その住人のひとりとして、自分の行いがこの写真につながっているかもしれないと振り返る機会になった。

世界報道写真コンテストのマネジャーのインタビューを読んだら、市民ジャーナリズムに言及しているところも印象的だった。

――いまは誰もがスマホを持ち、画像を撮って発信できる時代になりました。
伝統的なフォトジャーナリズムはなくなっていませんが、縮小傾向にあるのは確かです。物事が起きている現場に常にジャーナリストがいるわけではなく、市民ジャーナリズムが出来事の証人になることができる、という時代なのだと思います。

なぜなら、ちょうど今『140字の戦争ーーSNSが戦場を変えた』を読んでいるので、考えさせられることが多く……

激しい空爆に見舞われた、ガザ地区に住む16歳の少女、ファラ・ベイカーが英語でつぶやく。

家の近くで激しい空爆が続いている。今夜、わたしはいつ死んでもおかしくない。#Gaza」

『140字の戦争』は、全世界に発信されたこのツイートによって、イスラエル・パレスチナへの国際世論が大きく変わっていった現象を分析している1冊です(他にもいろんな事例が)。

戦地の住民が「スマホ」と「ネット」という武器を手にしたいま、単純に兵器のある方が勝つのではなく、〝「言葉」と「ナラティブ(語り)」で戦う時代が到来〟したと指摘します。

ただ、さっきのインタビューで、コンテストのマネジャーはこうも指摘している。

ただ、ソーシャルメディアではあっという間にニュースが拡散するものの、それがフェイクである可能性も潜んでいます。こうした状況だからこそ、メディア側はむしろプロフェッショナルのカメラマンや記者に投資しないといけないとも言えます。適切な形で、正確にニュースを伝えるには、専門性が必要だからです。同時に、写真を見る人、記事を読む人が批判的なまなざしをもって真偽を判断していくという意識が必要だと思っています。

さて、今のわたしたちの社会は〝プロ〟のカメラマンや記者に投資するような環境にあるのか……
情報を受け取る側でもあるわたしも、真偽を判断していく目を養っていかないと。(TwitterをはじめSNSはどうしても、脊髄反射で情報を判断してアクションを起こしがちでもある、と自戒を込めて)

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