「メモの魔力」と牌譜検討

以前、「メモの魔力」という本が話題になった。

動画配信サイトの「SHOWROOM」を経営する起業家の前田裕二氏が著者で、編集には現在日本で一番有名な編集者であろう箕輪厚介氏が携わった。

このメモの魔力という本、非常に簡単に言えば「メモを取ることでよりよい人生を送ろう」的なものである。これはものすごく割愛した表現なので、実際に気になる人は本を読んでほしい。

この本の中で、メモの取り方として、「ファクト→抽象化→転用」という思考フレームが紹介されている。このサイクルは非常に麻雀の上達にも使えると思うので話を麻雀に組み替えて説明してみる。

メモを取る際には、ファクト(事実)とその抽象化、そしてその転用法を分けて書く。

事実とは実際に起きたこと、見聞きしたことである。友達にこういうことを言われたとか、こういうものを食べたとか、そんな話である。

これは麻雀でいうと、放銃してしまったとか、こんな戦術を聞いたとか、こういうミスをしたとか、そんな話になる。

抽象化とは事実を他のことにも応用できるようにエッセンスを抽出して考えることである。

放銃したのは自分の押し引きが甘かったのではないか、あるいは安全度の比較ができていなかったからではないか。このミスの原因は自分がイーシャンテン時の牌効率を理解してないからではないか、自分の手に集中しがちで周りが見えていなかったからではないか、とかそういう感じで思考を抽出することになる。

転用は抽象化した思考から新たなアクションに近づけるように考えることだ。つまり押し引きが甘いようなので一度がっつり押し引きの勉強をしようとか、イーシャンテンの形をたくさん覚えよう、牌の安全度ランキングを暗記しようとかそういうアクションにつながる。

この事実→抽象化→転用のアクションを繰り返すことで課題や新たな問題点が研ぎ澄まされていく。対策アイデアも思いつきやすくなる。

麻雀において特にこの思考サイクルを使いやすいのが牌譜検討である。

牌譜検討は事実の羅列を突きつけられる。たくさんの事実の中からミスを見つけ(指摘され)次に繋げる。

ここミスったなー、という事実の確認だけではあまり意味がない。ここミスったな(事実)、なぜミスったのだろう?というかこのミスもさっきのミスと同じようなミスではないか?(応用)、つまりこの対策にはこんなことをすべきではないか(転用)、というところまで思考を繋げる。

事実を確認して、その表面的な対症療法にとどまらず、本質的な問題まで理解できれば牌譜検討としては大成功だと思う。

要はアナロジーを利かすということで、強者はこのサイクルをおそらくごく自然に回しているとは思うが、麻雀の上達の仕方やミスについての考え方が分からない、という人はこのフレームに乗っ取って考えて(書き出して)みれば良いのではないかと感じた。




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