みちのくの空へ

画像1 さよならのひとことが言えなくて、元気でねのひとことも言えなくて、ただ、ありがとうだけ繰りかえした朝。最後にもらったものは、引越トラックに積めなかった花束と、ハイタッチ。最後まで笑顔で見送ったよ、わたし。やわらかな薔薇のブーケは、傷ついても傷を抱いたままハイヒールで闘いつづけるあの人のよう。水切りして花を活け、仕事に戻る。幾度も窓から空を見る。どこまで行ったかな。もう新幹線を乗り継いだころかなと思った瞬間、不意にしゃくりあげそうになった。遠いな。遠いよ。本当に伝えたかったことばは、今もこころの内側にある。

ここまで読んでくれたんですね! ありがとう!