プチ・デジタル断捨離

先週末から約一週間掛けて、プチ・デジタル断捨離をしました。

といっても、ネットにはどっぷり。どういう事かと言いますと、コンテンツ閲覧に時間を使うのやめるといったいわゆるデジタルデトックスではなく、利用するプラットホーム・サービス自体の方を整理をしてみたということです。

主目的は、維持費がかかっている昔ながらのメールアドレスの利用停止です。以下のサイトで調べたところ、メールアドレスとパスワードの組み合わせが、過去に何度も漏れていたことが分かり、継続利用はマズかろうと思ったのです。英語のスパムメールが多いのも納得です。
https://haveibeenpwned.com/

他に、挙げようと思えば以下の理由も挙げられます。

・無料で利用可能な別のメールアドレス宛てに全転送していたが、最近は転送先からメール返信してもエラーとなるケースが出てきた。最近はセキュリティ対策が強化され、差出人用のメールアドレスと、実際に送付するメールサーバが一致していないと弾かれてしまう為(どうでもいいですが、専門用語では「SPFの導入によるセキュリティ対策強化」と表現します)。

・直接Webブラウザ上で転送元のメールボックスを覗くと迷惑メールの多さが目につく。転送先のスパムメールフィルターのほうが精度が高い為、あまり気になっていなかったが、逆に、転送元の迷惑メールフォルダを覗いてみると、本来届いてほしかった正規のメールも混ざっていた。気が付いていないまま時間経って消されたメールもあったことが想像される。

・どうしても転送元アドレスから返信が必要な場合、転送元のWebメールを使うが、使い勝手が悪くストレスに感じてしまう。具体的には、HTMLメールが1クリックで開かない、反応が遅い、検索機能が弱くなかなか目的のメールに辿り着けない等。

・技術的にも、古い通信プロトコルであるPOP3が利用可能でセキュリティ的に甘い(IDとパスワードの組み合わせが漏れれば、簡単にメールボックスごと情報を抜かれる可能性がある)

・月数百円とはいえ止めない限り今後も半永久的に維持費がかかる(塵も積もれば少ないはない額になる)

・当初の維持目的の1つでもあった、有料メールアドレスの登録を求められる場面が殆どなくなった(子供の通う学校での保護者登録等)

等々。

ダイエットに続き、積年の宿題に取り組み始めた感じです。今はサイバーセキュリティの世界飯を食べていますからね。

具体的な作業はとても地味でして、解約したいメールアドレス宛に届くDMやメルマガ等を見て、1つ1つ配信解除をしたり、必要に応じてサイトにログインしてメールアドレス情報を更新・削除したりしていくというものです。

ただ、ここで大事なのは、面倒臭がらずにエクセルなどで一覧表にまとめること。5年ほど前に作成した利用サービスの一覧表(50程のサービスが既に記載されていた)があったので、こちらも参照しながら最新の情報に更新していきました。

また、ブラウザに自動保存されているパスワード情報も活用します。ブラウザのセキュリティ設定画面で、止めたいメールアドレスがログインIDとして載っているものを1つ1つチェックし、実際のサイトにアクセスしながら確認・更新しました。

iPhoneのGoogle chromeなら右下の「…」メニューから「設定」を選び、

パスワードを選択すれば、確認出来ます。パスワードを忘れてしまった場合も、ここを見れば確認出来ます(ブラウザに保存済みのパスワードの閲覧にはApple IDのパスワードが必要ですが)

利用しなくなったものは退会手続きを完了してから、こちらのパスワード情報も削除します。実際にアクセスして確認するとサービス名が変わっていたり、他社のサービスに統合されていたり、サービス提供そのものが終了しているところもあったりして、時の流れを感じました。

ついでに、パスワードマネジャーと呼ばれるツール(有償)も使ってみることにしました。パスワードマネジャーを使うと、利用しているパスワードの強度や、組み合わせの重複度合い(使いまわしの数)のチェックなどが出来ます。セキュリティ強度評価を行ってみたところ、判定スコアは52点(赤点)でした。パスワードマネジャーを有効にした状態で、実際にサイトにアクセスすると自動でIDとパスワードが登録されて便利なのですが、有効にしていないと登録されないので、どうしても抜け漏れが出て来ます。メリットを引き出せるレベルまで使いこなすには、サイバーセキュリティに関する理解が必要になるのがネックですね。

時間と手間を掛けて、利用しているサービスを一覧表にしてみると、ざっと100以上もありました。これだけ利用しているサービスがあると 、IDとパスワードの組み合わせが重複しているケース(いわゆる使いまわし)が出てくるのは避けられません。「使いまわし」にならないよう、サイトごとに別のパスワードを用いていたら、今度は、どのパスワードを登録したのかを思い出すことが難しくなってしまいますから。

自分だけが内容を理解できる一覧表を作って管理すればよいのですが、数が多過ぎて日々の更新まで手が回わりません。私自身、5年前に断念したから今こうなっているわけです。パスワードは定期的な更新も求められることもあり、真面目に対応していると、一覧表の方があっという間に陳腐化します。本当に悩ましい問題です。

とはいえ、問題解消に向けたアプロ―チはシンプルだったします。

1.そもそも不要なサービスの利用を停止する(退会する)

2.どうしても必要なサービスな場合、あるいは判断に迷う場合、一覧表に記載する。

3.一覧表の項目は、以下とする。

①チェック日
②カテゴリ(「ショッピングサイト」「情報サービス」等)
③サービス名
④ID
⑤パスワード
⑥登録メールアドレス
⑦サイト内でのニックネーム(もしあれば)
⑧サイトのURL
⑨備考
⑩連携ID(Facebook ID等)
の10項目です(あくまで私の場合。違和感あれば自分の使い易いよう、適宜アレンジしてください)。

エクエルの一覧表上、⑤パスワードと⑥登録メールアドレスについては、自分(と家族)だけが分かる表現(ヒントなど)で記載します。④のIDもメールアドレスの場合、やはりヒントのみの記載が良いと思います。最後に、印刷し権利書などの重要書類と一緒に保管しておきます。

4.出来る限りID連携サービスを利用する

最近は、サービス固有のIDとパスワードの入力が不要となるID連携が普及して来ました。セキュリティ対策上も、脆弱なパスワードに頼るよりも望ましい為、出来る限り利用することをお勧めします。これがあれば、万一パスワードを忘れても連携ID側のIDとパスワードさえ覚えていれば安心です。

連携IDの具体例はLINE、Facebook、Twitter、Yahoo! Japan、Googleなどですね。これらが5大勢力ですが、たまに、My Rakten、LinkedIn、au ID、dアカウントなどもあります。いまネットサービスの世界では、この連携IDのシェア争いが繰り広げられているようです。とはいえ、利用できるのは、私個人の場合、まだ全体の2割以下という印象です。

5.その他

整理するまで、あまり意識していませんでしたが、1つのサイトで複数のIDを利用しているところもいくつかありました。航空会社のマイレージ系や公共図書館等で、間違って複数登録したケースを除くと、家族も利用しているケースです。


メールアドレスの登録は95%以上修正完了しましたが、メールマガジンへの反映には数週間かかるケースもあり、最終確認するにはえ時間が必要だったりします。また、登録消去や退会まで漕ぎつけることが出来たのは110超のサービス中7つだけでした(自分の断捨離力の無さを感じます)。

再度必要になったら、その時に登録し直せばよいと割り切れば、本来、退会出来るはずなのですが、登録に要した時間(サンクコスト)や、次回利用時に登録の手間が減って楽かもという期待、今までの利用で付与された残留ポイントがあったりするとネックになりますね。残留ポイントが数百円レベルなら、ここは切り捨てるべきでしょう。

中には課金停止は出来ても、退会メニューが無く、完全退会するにはメールで依頼しなければならないところもありました。そうなると、先に登録メールアドレスを変更しておかないと、退会手続きも滞りそうです。僅かですが、メールアドレスがIDになっていて、変更を許可されていないところもありました。

目に見えないデジタル情報の整理・処分は、物理的なモノ以上に時間と労力を使います。特にマーケティング目的のDMやメルマガの配信を止めている場合には、存在自体を忘れているケースがあります。

しかし放置するのも危険です。そこには、利用を停止したいメールアドレスの情報以外にも、クレジットカード情報や、電話番号や住所などの個人情報が残っている可能性がある訳ですから。

性格にもよるでしょうが、この手の整理作業はいちど始めると中毒性があり、私の場合、のめり込んでしまいました。結果、パソコン画面の見過ぎで眼が痛くなり、脳がフル回転し、夜にやると目が覚めてしまって睡眠の質も落ちました。デジタルデトックスの正反対ですね。どんなことも、一度にやろうとせず、時間や範囲を決めて実施することが大事ですね。

デジタル断捨離は、物理的な感触を伴わないことの多い「サービス」が対象なだけに、想像以上に脳みそが疲弊するようです。

とはいえ、だいたいでも全部でどれくらいオンライン上のサービスを利用しているのか把握出来てくると、自分の姿が客観視できるようになり、お得情報やポイント付与などに弱いといった癖やオンライン上での行動パターンが分かり、本当に必要なサービスに絞り込むことが出来るはずです。(私も道半ばですが)

なんだか生活習慣の見直しを通じたダイエットと共通していますね。