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【タイ】サンクラブリー再訪記(12)

今回で最終回です。

以下は、過去の連載の目次となります。
第1回 序章
第2回 夜明け
第3回 峠越え
第4回 山の野花
第5回 キャンプ地
第6回 森のご馳走
第7回 夜の愉しみ
第8回 野焼き
第9回 籠編み
第10回 アスレチック
第11回 早朝
第12回 感謝(最終回、今回)

楽しい時は早く過ぎて、いよいよ街に戻る日になりました。

早朝、森に感謝を捧げ、去る者後を濁さぬ様ゴミ拾いをします。特に土に戻らないプラごみは全て回収。

帰り道もゴミを見つけたら拾います。いつまでも美しい自然を保つには、今の時代に相応しい教育があってこそ。

ほんのつい前の世代までは、金属以外で土に還らない物を殆ど使ったことが無かった訳ですから、プラごみが環境を汚すことを知らないままポイ捨てする人のことを責めることは出来ません。

タイでのゴミの最終処分場は、単なる野積みで、悪臭が漂い大量の虫が湧いていることは時々タイのニュースでも報道されています。それは規模こそ違えど辺境地域でも同じこと。

現地のリクエストに応じて燃してもダイオキシンの出ないタイプの簡易焼却炉を試験的に日本から持ち込んでみました。(関税納税済み)

衣食足りた後、最も大切なことは将来を見据えたこれからを生き抜いて行くのに相応しい教育を受けることで、心のあり方と正しい行いといっても良いかも知れません。

先進国でも中国がゴミの輸入をストップしてから行き場を失い、昨年より急にプラスチックゴミの問題がクローズアップされるようになって来ました。飲食業でのプラスチック製ストロー廃止とか、目に見えなくなっても食物連鎖で蓄積する粒子になったマイクロプラスチックの話しとか、持続可能を意味するサステイナブル経営とか、ESG投資とか…

お金で測れる価値は小さくても、本当の意味での当地の自然は非常に豊かなのは明らかです。この豊かさを守るには、古来からの文化や技術を守りつつ、今の世の中に通じる伝達能力や立場の獲得が必須です。

無国籍の人々にとって、まずタイ国籍の取得の可能性を追求する必要があり、その為の国語(タイ語)力を固めることであり、また自分が何者であるののかを忘れない為の母語と、そして古来からの森で生きていく為のサバイバル・スキルでしょう。

子供も大人もそれぞれ違う民族なので、日常語は別として、共通語や学習言語は基本タイ語。無国籍の親は、自分の子供がタイ国籍を取得出来るよう、タイ人を里親にして養子に出す人もいます。より良い条件でこれからの世界を子どもが生き抜いていく為に。

ここタイ領側で、他の民族グループと争わずに平和裡に生きていく為には、文字通りマルチリンガル、クロスカルチュラルであることが求められています。寧ろミャンマー内での紛争に巻き込まれるのを避け、しがらみを絶って逃げ出して来た人々も多いと聞きます。その様な辺境に生きる人々にとって、今回のタイの総選挙は関係の無い遠い世界の話しです。

一次産品のプランテーションは、そういった無国籍の人々(言葉を選ばなければ、隣国からの安価で奴隷的酷使が可能な労働力の輸入)によって支えられています。しかし、そんな悪の権化の様なプランテーション経営者側も、商品相場次第でむしろ大きな借金を作るリスクを負っています。

私などからすれば、むしろ豊かな自然と体験プログラムから価値を生む出すエコツーリズムの様な今の時代に合ったサービスの構築が望ましい様に思えます。その為には潜在顧客に向けたマーケティングが必要になって来ますが…

さて、難しい話しはこの辺にして、帰り道、行きに見た花がまだ可憐に咲いていました。

しかし、この後、あちこち写真ばかり撮っていると、健脚な子供達に抜かれて、森で独りはぐれてしまいました。焦りから判断ミスして道を見失い、気がつくと急斜面の竹林を滑落していまいまったのです。

電波も届かぬ崖下で焦りましたが、幸い足も痛めず生還出来ました。尾根道で降り始める場所を間違えると途中から横移動しても本来のコースには戻れません。

見慣れた道だと思っていても慢心せず、最後まで現地の道に詳しい案内して貰いながらついて行くようにしましょう。

なお、もし山で道に迷ったら決して沢には下りず、どんなに辛くても登って来た道を戻ることです。私は早く追いつかなくてはとの焦りから連続して2度もコース選択をミスってしまい、滑落してしましたが、都度、崖をよじ登って尾根道まで戻りました。

一旦、追い付こうと焦るのを止め、電波の届くところを探して一報を入れ、冷静になってみると、難なく藪下に隠れていた山道を発見出来ました。

道は分かってしまえば迷っていたのがバカらしく感じるくらいなのですが、やはり場所によって風景が似ていて迷い易かったり、草のせいで死角になっている場所もあります。滑落した場所も本来のコースから見てみると、ほんの目と鼻の先の位置の様に見えましたから。

焼けた竹と笹の葉の上をお尻で滑ってズボンが煤だらけになった結果、もう洗濯では落ちないくらい汚れて一本ダメにしてしまいました。もし捻挫でもしていたら自力では尾根道まで戻れず遭難して多大な迷惑を掛けるところでした。それを思えば、安い勉強代だったと思います。

最後は自省も込めて、読んで頂いた方にお伝えしたいと思います。

皆さん、山道でも歩きスマホは大変危険ですよ!
歩きスマホはやめましょう!

(完)

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