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地方銀行の勘定系システム|有明編

長崎県の十八銀行が、ふくおかFGと経営統合をしました。
十八銀行と親和銀行が合併して、2020年10月に「十八親和銀行」となり、2021年1月には勘定系システムの統合も予定されています。

振り返ると、地方銀行の勘定系システム共同化は、福岡銀行、広島銀行、十八銀行から始まったという見解も有ります。今回は、「有明三行」の事例から、地方銀行のシステム共同化の歴史をたどりたいと思います。

地方銀行の勘定系システム共同化の始まり

地方銀行のシステム共同化については、協会の会合での議題となったところから始まっています。当初は、全ての地方銀行が参加できる共同化システムということで構想されていたようです。ところが、「全部の地方銀行との共同化は難しい」と考えた、福岡銀行と広島銀行が、まず数行でも始めるべきということで先行して実現をしました。その稼働は2003年のことです。

プロジェクトが開始された当初は、福岡銀行と広島銀行だけでなく、十八銀行も加えた3行でのシステム共同化が検討されていました。しかし、OS(オペレーティングシステム)も自行で作ったり、秋葉原でディスクを個別に購入して、システム構成を行ったりする十八銀行が、システムのグリップ力を重視した結果(他にも要因が有ったかもしれませんが)、検討途中で離脱というかたちを取っています。

有明三行システム共同化

その後、十八銀行は、佐賀銀行と福岡県久留米市に本店が有る筑邦銀行との三行共同化を行います。それぞれ、有明海に面する県の銀行のシステム共同化だったため、「有明三行システム共同化」とも称されていました。「PROBANK」でのプロジェクト失敗も経て、2009年には、日本ユニシスの勘定系パッケージ「BankVision」を稼働させています。稼働後は、長崎に共同開発拠点を持ち、ITベンダーに依存しきらない、開発を自営する形態で、勘定系システムの共同化の「深化」を進めていました。

まとめ

私個人は、社会人になった当初、「有明三行システム共同化」を担当させて頂きました。その当時から、十八銀行のかたから、ふくおかFGによる親和銀行のシステム統合の進め方には敵わない、資本の力を感じる、見習いたいとのお話しもお聞きしていました。様々なかたの、色々な思いが有るかと思いますが、経営統合により、当初実現されなかった勘定系システムの統合へと、約20年を経て進んでいったということは、非常に感慨深いです。

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