見出し画像

ベトナム起業日記:#46. サイゴンの夜の披露宴

夕方。
教えてもらった7区の披露宴会場にGrabタクシーで向かった。
6時からと聞いていたが、15分前に会場についた時、まだゲストは誰も来てなくて、新郎・新婦、関係者しかいなかった。
そのおかげで朝からずっと忙しそうに動き続けていた昔一度だけ会ったことのあるヘクターのすぐ上のお姉さんにもおめでとうと言うことができた。

会場は200人以上は座れるだけのテーブルが並んでいて、予想していたものよりも広くてびっくりした。
この会場に自分ひとりだけ座ってしばらく待つ。
あとで知ったが平日の夕方なので皆なかなか仕事を終えるのが難しかったり、夕方は帰宅ラッシュの渋滞がすごくて全体的に来るのが遅くなっていたのだった。

披露宴会場。川とその前の大通りに面した一面はガラス張りになっている。


6時半を過ぎてようやく人が集まり出した。何もかもしっかりと時間通り進行する日本の式とは違い会場側もわりと柔軟に対応している、というかほとんど何も気にしてない様子で待機しているのがすごいと思う。
僕たちのテーブルにも会社のメンバーの5人が集まり、そろそろ始まりそうということになったので、トイレに行っておこうと思って会場の外にでてトイレの場所をカメラマンに聞いた。
2階にあるというので、豪華な螺旋階段をあがって二階に上がっていくと、ちょっとヤンキーっぽい感じの女の子たちが固まってタバコを吸っているのが目に入った、

お、2階は我が故郷のようなのりだな、田舎もんが式でもやってるのかな?と思って階段を上りきると、ん?、なにか雰囲気が違うぞ、、

トイレまでの通路に人がいっぱい座っていて、タバコを吸ってる。
僕は荒くれ者が多くて有名な格闘家も排出している愛知県の某市の育ちなので”ヤンキーセンサー”みたいなものが体に埋め込まれていて危ない人やヤバそうな人がいると周辺視野に入っていてもすぐにセンサーが反応するのだが、そのセンサーが階段を上がった瞬間から振り切れた。
通路に座っている男たちはわりとカジュアルな格好でほとんど全員が半袖、ズボンもハーフパンツの人も多いのだが、見ると腕や足が完全に入れ墨で埋まっていた。
僕が外国人だとわかるようで視線が僕に集中してきた。気づかないふりをしてトイレに入っていくと、そこにいる大量の男性たちの足や腕も完全で入れ墨で埋まっていた。
トイレをでて通路を戻るときに気づいたが、突き当りのホールでどうやらこの人たちの結婚披露宴が行われているようだった。喚声、矯声が漏れ出て聞こえてくる。会場からでてくる人の中には西洋人の”メンバー”もいる。そしてその中の一人はなぜか上半身裸だった。結婚式で裸になるって、いったい中はどうなっているのだろう、、
会場の中に入っていきたい欲求が湧き上がってきた。
通路に座っている男たちの視線が背中に刺さる。
仕方なく何も見ていないかのようにもときた階段を降りて会場に戻った。
今日はいろいろな人達が結婚式のようである。

席にもどって、さっき見たものをもう一回見に行きたい衝動を抑えていると、
急に音楽が流れ、ステージ上に我が友ヘクターが歌いながら登場した。

???!!!、

こんな感じなの!??、すごい。。

あとで弊社のPくんが前撮りして加工してあるかもしれないと言っていたが、このときは知らなかったのでヘクターが歌がめちゃくちゃうまいことに圧倒されてみていると、今度は、自分の後ろ、入口側から新婦が歌いながら入ってきたのである。こちらもすごい美ボイスである。

これは、すごい。

ステージから降りてくるヘクターと、入口から歌いながら歩いてくる花嫁がちょうど我々の前あたりで合流して一緒にステージに向かう。

ステージに上がって歌がサビに来た時にステージ下から花火が上がる。

この後は、シャンパンタワーがあったり、巨大なケーキに入刀したりと、前半は日本で言えば我が故郷愛知の名古屋も顔負けの派手婚だが、ベトナムでは普通なのかな。

コース料理のメニュー表はベトナム語で書かれているが、メインだけでも3品あってすごい数となっていた。
びっくりするほど美味しい丸型のクロワッサンから始まり、またシーフードのフライが最初の前菜としてでてくる。
必ずエビフライがあるのは、エビフライ=ごちそうという概念のある我が故郷愛知と同じように感じた。今日は何かと目に入ったものを愛知県とリンクさせてしまう日だ。
ポークリブや、サフランと魚介のだしが効いたスープなどなど、
ベトナムは何を食べても美味しいが、こういう特別なときにでてくるご飯もめちゃくちゃ美味しい。
海外にいてこんなにご飯にこまらない国は他にないだろう。

新郎新婦はすべてのテーブルを回って、写真撮影をしている。テーブル数が多いので大変だ。

一旦新婦がお色直しをして、今度は、新郎は新郎、新婦は新婦側のゲストのテーブルを回って談笑を始めた。

前半はとにかく派手なセレモニー、後半は交流、というふうにくっきり分かれているのがベトナム流の披露宴なのかもしれない。

日本だと最後にまた花束贈呈や手紙の朗読などイベントがあるが、後半はとくにイベントはなく料理がすべて出終わった後は、自由解散となっていく。

会場が半分くらいになったときに僕たちも帰ることにした。

入口で新郎新婦ともう一度写真撮影をし、言葉を交わして外にでた。

メンバーが僕がちゃんとタクシーに乗るまで見送ってくれた。この2日間で僕とヘクター以外のメンバーの距離が近くなった気がした。

やっぱりその国の文化、家族、人のつながりをダイレクトに体感できる結婚式は本当に貴重な体験を与えてくれる。早朝4時からスタートした長い一日は一生忘れない一日になるだろう。

宴も酣、会社の他のメンバーとの距離もぐっと縮まった

続く。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?