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囲碁クエスト9路盤 戦型一覧

まとめました。全42種類(今出せるのは41種類)
そのうち各戦型の解説も書く予定です。

一覧


天元系(16種類)
天元、対天元、王道進行、風車、扇子、カーブ、下ツケ一刀流、リフティング、ヘッドバット、正三角形もどき1、ジャンプアタック、クロスライン、振り子、正三角形もどき2、正三角形もどき3、横ツケ!

高目系(11種類)
高目、対高目、新・王道進行、スライダー、アンドロメダ、スパイ潜入033、小太刀一刀流、ホワイトスライス、飛びツケ!、ブーツ、座禅

星系(6+1種類)
星、対星、ブラックブーメラン、豆まき、フラワー、月食、サブマリン※

その他(8種類)
目外し、対目外し、海の妖精、小目、対小目、花の妖精、三々、対三々

※サブマリンは現verでは出現不可(2手目で発動する戦型のため、対星の実装と共に消滅)

以下各戦型の形を載せています。(手順前後可)

2023/12/7追記 解説を載せました。

天元系

天元

小さい盤では誰しもが打ちたくなる初手。7路盤以下では初手天元が最善であり、19路では天元はやや緩手とされているが、9路盤は天元とその他の初手の価値がほぼ等しくなるようで、特に天元、高目、星は、中盤以降の打ちやすさからも人気である。 盤面の対称性を保った初手であるため、白の選択肢も少なく、似たような形になるため、研究が活きやすい展開になりやすい。この後は白が2か所で生き、黒が小さく生かす勝負になりやすい。9路盤のコツとして、よく「黒はコミの負担が大きいから、白は2か所で生きれば勝ち」と言われるが、小さく生きる進行になるなら意外と黒が勝っているものである。囲碁クエストの上位陣には初手天元を貫き続けて数万局をこなしている猛者もいる有力な初手である。

王道進行

天元に対する白の2手目はこの位置、もしくは1路右に打つのが人気。それに対していきなりツケて仕掛けていく変化が王道進行である。王道進行というだけあって、昔はよく打たれていたが、最近はあまり見ない印象。某上位プレイヤーがこの変化をひたすら打ち続けて研究を深めていた影響もあってか、研究が凄まじく進んでいる。個人的には正しく対応されると白が有望な変化が多いように感じている。

風車

黒の王道進行に対して最強に対応した手。筆者は対王道進行の最有力変化だと考えています。黒からのもっとも一般的な進行は8の左上にトビを打って黒二子を捨て気味に打つ手で、よく研究が進んでいる。他には、キリや隅のマゲから黒二子を助ける変化がある。9路らしい変化が多く、楽しい戦法。よく研究してそうな人とはこの形で戦いたくない。

扇子

風車の研究勝負を避けたい白が主に打つ手。黒3のツケに対して手を抜いてもほぼ死なない石なので白は2か所で生きる変化になりやすいが、黒の応手次第では白2を捨て石にして打つこともできる。白としては黒にいかに殺されないように、もしくは寄り付かれないように打つかの勝負になりやすい。研究外しとしてメジャーすぎるのでもはや研究を外せていない気がする。

カーブ

意味としては扇子と同様で、研究を外して2か所で生きる構想。こっちの方が出現頻度が低い気がするので、扇子よりも研究から外れやすいイメージ。ちなみにスライダーという戦型名もある。

下ツケ一刀流

名前がかっこいい。白に2か所で生きられると面倒なので、黒は3手目で一間トビして白の打ち込みを防ぐ方針を取った(今は亡き囲碁ウォーズではバックステップという戦型名がついていた)。それに対して「左右同形中央に手あり」の格言に従って2線にツケ(!)て様子を見る打ち方。最初に見た時は感動した。聞いたところによるとこれは江戸時代からすでに発見されていた手だとか(ほんとか?)。この後の白の打ち方は、ツケた石を動き出す打ち方と、捨てて得をする打ち方がある。

リフティング

黒は後ろにまっすぐ下がると下ツケ一刀流を打たれてしまうので、それを回避するために1路ずらした位置に石を転がしていく構想であり、白が2か所で生きにくい展開になりやすい。最近は王道進行よりもこっちの方が多い印象。リフティングの名前の由来は形が曲げた足に見えるからでしょうか。ちなみに4手目で白から扇子にする手がある。

ヘッドバット

ゴツ過ぎる手。さすがに筋が悪すぎるような気がするが、これが意外と有力である。9路盤の序盤なんて人間的には何を打っても大体互角なのかもしれない。筆者のお気に入り戦法なので、対策しないでもらえると助かる()

正三角形もどき1

王道進行のように直接仕掛けることはせずに、ふんわりケイマして圧力をかけていく手段。正三角形ではなく二等辺三角形である。もっといい名前はなかったのだろうか。三角形もどきシリーズは3まで存在する。王道進行のようにすぐ仕掛けると風車の進行のような反発があるので、適切な距離を保って打つ有力な手段である。

ジャンプアタック

黒は一旦一間トビに構えた後、5手目で飛びツケていき、白を小さく2か所で生かすか、あわよくば取りに行く狙いの戦法。扇子から合流させることもできる。あまり出現頻度が高くない戦型だが、対処法を間違えるとひどい目に合う。

クロスライン

いかにも白が2か所で生きそうな形。典型的な「9路盤における白の勝ちパターン」のようで、白が勝勢に見える。ただ、実は黒も正しく打てば、意外と白に対するヨリツキがあり、研究が深い黒に対して勝つことは容易ではない。囲碁クエストの上位プレイヤーにも、この戦法の黒番を持って高い勝率を誇るプレイヤーがいる。

振り子

白からはこの位置の2手目もよく打たれている。それに対する黒のもっともメジャーな対応は、この振り子で白に厳しく圧力をかけていく手だろう。手抜くと白2の2路左に打たれ、ピンチになる(実際はそれでもいい勝負であるが)。白が2か所で生きにくいため、白からは工夫を凝らした打ち方が必要になる。

正三角形もどき2

正三角形もどきシリーズその2。二等辺三角形である。これも振り子と同様、手を抜くと白2の右上に打たれてピンチになるため、白2を動くのが一般的、そこで黒が陣地を広げ、白からどれだけ手を付けられるかの勝負になる。

正三角形もどき3

正三角形もどきシリーズその3。やはり二等辺三角形である。振り子と大体意味は同じで、手抜けば2の2路左に打って追及される。振り子と比べると白2に対する圧力は弱いが、その分上辺に利いてるので一長一短。

横ツケ!

王道進行のように、白2に直接働きかけていく手段。囲碁の格言に「攻めたい石にツケるな」というものがある。これは石をぶつけた反動で攻めたい石に生きられてしまうからだが、この手は攻めたい石にツケてしまう格言に反する手であるため、少し黒が打ちにくい印象。白の4手目としては、次に3の下に素直にハネる手や、3の左にハサミツケ(!)る手が有力。

高目系

高目

強い人の間では天元、星と並んで人気の初手。これに対する応手は反対側の高目、目外しが大半だが、あまり掘られていない未知の変化が2手目の時点で大量に埋まっており、(例えば右上の三々、小目等)白番を持って研究を外したい方は一考の余地がある。高目の裏側の8-5の地点が常に白からの急所になっている。

新・王道進行

王道の名の通り、高目を打った場合非常高頻度で現れる戦型。この後の変化は狭く深い読みが要求される傾向があるため、力が強い人が勝ちやすい戦法であると感じる。白からは囲い合いを目指す選択肢と、低く構えて1の裏側に打ち込みカウンターを狙う打ち方がある。

スライダー

カウンター狙いの手。とりあえず白は左辺で治まっておき、このあと黒が囲ってくる手に対して右辺を手にして2か所で生きる構想。上位プレイヤーの間で非常によく研究されている。実は日本ルールなら黒勝ちの変化らしい?白4では、似たような構想の手として、最近ではai新手の一間トビ(2の2路上)が有力で、それもよく打たれている。

アンドロメダ

新王道進行に対してあくまでもマネ碁を続ける変化。この後もマネ碁含みの超難解な乱戦が続くことが予想される。上位プレイヤーでもこの戦型の勝率が高い人は滅多にいない。筆者が以前出場した高校の9路大会ではこれとブラックブーメランの出現頻度が異常に高かった。

スパイ潜入033

スライダーかな?アンドロメダかな?とワクワクしていたら明後日の方向に現れてきてびっくりする変化球。三々に打ち込むため033、オーダブルスリーとでも読むのだろうか。黒は4手目の相手をして右下に打つと利かされになってしまうため、手抜いて左下に回るのが最強の対応。

小太刀一刀流

名前がかっこいい。白の根拠を奪う厳しい一手だが、冷静に受けられると黒の旗色が悪いように見える。しかしいざ打たれてみるとやはり困る。

ホワイトスライス

KataGo等以前のモンテカルロ法を用いたaiが発見した新手。黒3からの積極的にツケていく手は簡明にマネ碁を潰せるのもあってか昔のプロの9路盤大会などでもよく見る進行で、6手目では天元にブツカるのが普通だったが、一見危なそうなこの手が非常に有力で、黒3,5は絶滅した。

飛びツケ!

この高目に対する白2もよく見る手で、高目の裏側に打ち込む手を見越して2か所で生きることを目指す構想。それに対する黒3はその構想に真っ向勝負を挑む手である。黒3では一路上下にずらしたケイマに打つ手も有力でよく打たれている。

ブーツ

確かに靴っぽく見える。飛びツケからはこの形に行き着くことが多い。かつて上位プレイヤーの間でよく研究された形。白が上辺を囲ってくる手は黒が勝ちやすい変化になるが、白が左辺でギリギリまで地を稼いでから右辺に打ち込んで生きる手が発見され(安斎本参照)、どちらかというと白有望か。

座禅

ネーミングセンスが光っている。黒1が頭で357が体だろう。飛びツケと意味は似たようなものだが、それと比べて左辺の白が安定していて、次に右辺の8-5への打ち込みが自明であり、なかなか間違えてもらえそうにないため、あまり打つ気にはならないし、実際打たれていない。黒5と7の手順は逆の方がいいかもしれない(要研究)。

星系

天元、高目と並ぶ三大初手のうちのひとつ。他の手と比べて星の石の周辺の急所はわかりにくく、ただ三々に入っておけば手になるというものでもないため、読みとセンスの勝負になりやすい。一方で、一部の変化は鬼のように研究されているため、取扱注意である。

ブラックブーメラン

深すぎる研究が進んでいる、上位プレイヤー御用達の戦型である。これについて変化を追うのはそれだけで本が1冊書けそうなレベルである。この後の流れとしては、白が左辺に地を構え、黒がそこに打ち込むorヨセ勝負にする感じである。研究負けしたくない人はここで適当な手を打って外してしまうのも良いだろう。

豆まき

ブラックブーメランに対して白が堅実に構えてきた時の手で、黒の石配置がとても美しい。左下の白への圧力と右上への打ち込みをバランス良く牽制した手で、片方に手を付けるともう片方に影響が出てしまう。白を持ってこれを咎めるためにはかなり力が必要だろう。

フラワー

筆者が9路研究を始めようと思ったときに最初に手を付けた形。花束に見えなくもない。序盤でかなり形が決まっているので、他の戦型と比べてかなり変化が狭い。黒から勝ちに行ける変化が少ないイメージがあり、白6で3の右に打たれる変化も嫌だったので、封印した。

月食

黒からの変化球。白の根拠をえぐってむしろ黒のほうが2か所で生きに行く狙い。通常の展開に慣れていると感覚が破壊される。白は左下の相手をせずに軽く一間トビを打つ手も好手になる。名前の由来は1を太陽、2を地球、3を月と見立てたのだろう。

サブマリン

サブマリン 現verでは入手不可
2か所で生きることはできるだろうが、さすがに黒が厚すぎて白辛そう。ちなみに英語の囲碁用語としてのSubmarineは、2線への単独の打ち込みのことを指すらしい。

その他

目外し

ここからは出現頻度がやや下がる初手になる。目外しは中央への圧力を減らした代わりに辺を確実に取り切った手で、高目と比べると裏側への打ち込みがしにくくなっている。そのため、黒としては強気に戦っていくことが肝心である。某解析結果によると黒の正解手が極めて少ないが持碁進行らしい。

海の妖精

高目に対する白の2手目はこの位置が主流だろう。それに対して小太刀一刀流や月食のように厳しく根拠を取りに行くのがこの戦法。黒が2か所で生きる展開になった時、右辺の黒への追及が難しい。しかし正しく対処すれば白有望に見える。ちなみに海の妖精とはクリオネのことを指すのだろうか。

小目

初手小目は盤面の対称性を完全に崩す初手であるため、2手目の変化が山のようにある。そのため、体系的な定石化がとても難しい。しかも、他の初手と比べて白への圧力が少ない分、全体的に白の手の自由度が大きくなるため、さらに定石化が難しく、力勝負になるだろう。白の2手目としては反対側の星がよく打たれている。解析結果によると白勝ちらしい?

花の妖精

初手小目から出せる数少ない戦型。マネ碁を外すことができる。結構有力だが、そもそも白を持って2手目に小目を打たれることが少ない。ところで花の妖精って何?

三々

9路の打ち方に詳しくない人が特に打っているイメージ。入門書だとお互い三々を打ちあって~という変化をよく見る気がする。囲碁クエストのルールでは黒が7目のコミを出さないといけないため、厳密にはぬるそうな手に見えるが、研究が深く進んでいないため、力勝負にすることができるだろう。

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