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「OOUI 解説+質問に答えます -『オブジェクト指向UIデザイン』発売記念 -」に参加しました

標題のセミナーに7月15日(水)参加しました。
約2時間の概要は、本の概要の共有・上野さんのお話・質疑応答・並行してライブUI設計ととても濃い内容でした。

質疑応答を中心にセミナーの概要と自分の感想をまとめました。

現在の私は企業でロゴなどのブランド・Webサービスの見た目まわりを整えるお手伝いをしつつ、Web制作とUIデザインをしてます。LPなどの構成はできるものの、Webサービスは、表層からUIには関わることが多いです。ので、対費用効果や全体のバランスを見ながら機能を考えて提案するようなUIアプローチはまだできてないです。
特にWebからキャリアスタートしてるので、タスクからUIを考えがちです。その視点をシフトさせたくて本を購入、セミナーに参加しました。上記視点からの内容取りまとめ・感想になります。



オブジェクト指向UI・そしてタスク指向UIとは?

アイコン・メタファを通じて可視化されたオブジェクトを手掛かりに操作設計されたUIのこと。

→オブジェクト自身の性質と状態を体現し、リアルタイムなフィードバックをくれる(PDFアイコンが選択されてる・ドラッグされてるなど)
→MacOSについてるターミナルは違う


オブジェクトを選択→アクションの操作順序が基本(例: パソコンやスマホ)
→先に「開く/複製/削除」→「オブジェクト」を選択するものはタスク指向UI
様々なオブジェクトが連携して1つの役割を見せていく

オブジェクト指向UI - ユーザーは操作の対象が見えてて、何をするかわかる
タスク指向UI - やることを宣言してからでないとアクセスできない

オブジェクトの意味の捉え方


インターフェイスはユーザとオブジェクトを接着するもの。
日本語でオブジェクトの意味は捉えづらい。

英語の意味
• a thing that you can see or touch but that is not usually a living animal, plant, or person
• a reason for doing something, or the result you wish to achieve by doing it:
(引用 Cambridge Dictionary — https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/object)

ラテン語源より
Ob-

in the way of
Toward,to,on,over,against

Ject -
Throw

Object
物体、個体、対象、目的、目標、客観、客体
その方に対して投げ狙うもの、投げかけること

プールのメタファ

「プール」は本来「泳ぐ」という目的のために用意されたもの。だが、「スケートボード」という全く別の目的に転用できてしまう。
(確か水を抜いたプールでスケーターがスケートボードをする。で、そのタイヤに洗剤が塗られてて、プールを綺麗にしてく話だったと思う)
「泳ぐ」というタスクを出発点とするのだけれど、「泳ぐ」というタスクのためだけにしか存在できないわけでもない。
「スケーター」と「スイマー」はプールを共有できる。
「プログラマー」と「デザイナー」はオブジェクトを共有できる。

最初は「泳ぐ」というタスクから「プール」というオブジェクトが見いだされたのだろうけれど、一方で、人間が「プール」というオブジェクトを見て「泳ごう」としたり、「スケートボードをしよう」としたりできる。
タスク→オブジェクトじゃなくて、オブジェクト→タスク。

上野さん談話 - オブジェクト指向UIで目指せるユーザー中心のデザインとは

「ユーザーが自らを合わせることができるデザイン」のことである。

的に矢を当てる(問題解決する)確実な方法
「矢を射ってからそのまわりに的を描くこと」
形を先行させ、そこに行為の可能性を描く。
ユーザーは移ろうものなので、的に矢を射ろうとしてもうまく捉えられない。射ってから的を動かせるような、道具製のあるソフトウェアを作る。

万能ナイフが人と道具の理想的な関係
「りんご皮むき器」だとりんごしか切れない
でも、万能ナイフならきれるが、人に技術が必要。
具体的すぎない道具、ある程度の抽象度を持った道具をつくる
ある状況のための道具ではなく、ある状況にも使える道具をつくる
抽象度を持った道具では、人と道具が歩み寄るが理想的


すべての人に合う靴は作れないが、裸足で遊べる広場は作れる。

質問コーナー

● OOUIを適用しない方が良い場合はあるか?
ATMのような用途が限定されてるものはタスクベースが良い。すでに口座というオブジェクトが選ばれてる。

● WebサイトでOOUIを適用するのは難しいのでは?

初めて訪れた人に何かすぐして欲しいサイトでは向かない。

基本はモードレスにする話なので、ユーザに対しタスクを課するということ自体が合わない。

ECサイトは、商品選択中はオブジェクト指向にし、その後のカートは一本道にし、コンビネーションが良いのでは。
ユーザーの場面ごとに道が短くなるように適切な設計していく。


●パソコンを触ったことがない人(高齢者など)のアプリを作るにもOOUIは有効か
GUIの振る舞いのパターンに慣れてない人には別のUIがあるのでは?とは思う。
ただ、入り口は、タスク指向でその後もタスク指向だと使いづらく、タスク指向の悪い面が出てくるため、OOUIが無効かというとそうでもない。

●OOUIによる改善余地がある場合の提案手法は?
社内の既存システムの把握・現状の問題認識を社内で共有し、
手近な小さなプロジェクトで課題をリストアップしつつ、認識を合わせていくのが良いのでは。
あまり難しい言葉は使わずに足並みをそろえて行くことも大事。

●OOUIの効果を評価する指標
リリース後の評価軸は、ユーザーインターフェイスのデザインの評価をどうするかなので、
ユーザビリティテストで、実際使って仕事をする人の作業効率を評価すればいいのでは。
それを使って仕事をする人の作業効率を評価する。

特に、タスク指向よりオブジェクト指向の方がクリック数が少なくなるので効率は上がるはず。

●根本的なUI変更によるユーザーの抵抗はどうするべきか
リニューアルの担当者が良いと思っていても、実際に使用してる人の抵抗・特定の業務にマニュアルで行ってる人にとってはコストが高い。
ので、違うバージョンとして並行的に移行期間を設ける。
提供者側が積極的に考え方に乗ってもらったり、デザインする側も協力する必要がある。

●情報量・機能が複雑膨大な場合OOUIを導入する際に注意するべきこと?
OOUIに限らず危険なので、情報量を減らすところから。
どう減らすかはサービスのスコープを縮めるなど。

●どのタイミングでOOUIを導入するべきか。
ミニマムバイアブルプロダクトで、一番最初からやった方が良い。

●OOUIを考慮したUXライティングとは
ラベリング・メッセージはOOUIと親和性が高い。
概念の中から名詞を取り出して、用語定義してく。
プログラムの中の概念の単位が用いれるのが理想で、OOUIと同期してるのが理想。

●Siriなどのエージェント指向と強調できる?
タスク指向性が高いので、共存しづらい。
Siriで入力が必要な場合だと、OOUIが適用しやすいのでは。
今後は、オブジェクトをアプリケーションに登録し、Siriでアクションを実行できるようになってくのでは。

●自分でOOUI身に付けたい
動詞的なものを名詞で捉える。自分の身の回りにあるUIを思考し直す

●複雑なシステム設計 オブジェクトを抽出するのが難しい。見分け方。
詳しい人がいる場合は、抽出しながら勉強がベストだが退職などで誰もいない場合は、自分で触ってくしかない

●読み物中心のウエブサイトにおいてのオブジェクトとは?
関心の対象なので、コンテンツを扱う前提ならコンテンツ。
コンテンツの種類・関係性から構造化してく。
ソシオメディアのサイトを参考にしほしい。ブログ形式です。

●UIデザイナーに作家性はあるのか?
そのアプリ・システムで何を表すかがUIデザイナーの仕事
iOS・Androidの設計に沿っていくと作家性がでづらい。
一方でFacebook・Twitterみたいな新しいものを作る場合は、作家性の余地はある。

感想

「UIデザイナーに作家性があるのか」という質問の答えが印象に残りました。UIデザイナーの基本は、iOS・Androidのガイドラインを知り尽くしてそれを適切に当てはめていくことだと思ってましたが、そこを各自超えて作家性をつかんでいく方法を模索する必要がある、とキャリアのロードマップを持てたのがとてもよかったです。

Webデザイナーでいうと絵だけ上手く作れてしまうようになり、クライアントからのヒアリングなどを通して構成や改善ができずに行き詰まっていく感じなのかと。

この作家性のヒントがどこにあるのか。今回のセミナーで、私は2つ明示されてると思いました。

1つめは、OOUIの哲学の話の中で上野さんが出されていたユーザーに、必ず的に矢を当てる方法「矢を射ってからそのまわりに的を動かす」ことを実現できるOOUIを使えるようになること。
そして2つめはセミナー中に「呪文を組み合わせで発動する魔法の確認ができるアプリ」のアプリをライブ実演で完成させてしまった新行内さんのライブUI設計です。
UIデザイナーは、上野さんの話からユーザーにとっての自由な砂場を用意すべき、ということ実際にどうするべきかは、OOUIのプロセスに沿いながら、未知のアプリを完成させる新行内さんのプロセスからその答えの1つを垣間見たと思いました。

他のデザイン分野と同じく、サービスのコンセプトから関われるポジションに行くことなのかなと仮説を立てつつ、今後どうしてくか考えていきたいです。

ただ、私の場合は、iOS・Androidの仕様に精通することからですが、その後どうするべきかという示唆があるセミナーでした。
本、読み進めていきたいです。

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その他 上手く内容が処理できてないもの

この辺は完全に自分メモです。理解が結びつけば、詰めていきます。

「顕在的なコミュニケーション」と「潜在的なコミュニケーション」

「顕在的なコミュニケーション」
→耳などより入ってくる物理的な情報
→身体と身体が結びついてる

「潜在的なコミュニケーション」
→ドーナツを食べたい、という話はドーナツを食べることの意味が潜在している
→精神と精神が結びついてる


ユーザーとオブジェクトが直接つながってるように感じさせる

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