SmaartのFFTsizeの仕様と問題

とりあえず書きます。

SmaartのデータはTransfer Functionモードの場合,ASCIIデータとして書き出せます。データを書き出して他のソフトなどで読み込みたい場合,MTW機能は使わないことが望ましい。MTWは表示機能,見やすさを優先している結果,FFTのデータとしての原則(周波数を等間隔に取ること)を満たしていない,プロットのみに特化したデータ破壊仕様です。表示のみに使用する場合は問題ないですが,フィルタ作成ソフトなどで扱う場合,この仕様を理解して設計されていないと誤ったデータを作る可能性があります(Smaart APIで連携している場合はこの限りではありません)筆者の推奨は適切はFFT長を使用した上で必要に応じてSmoothingを施すことです。

MTWで測定した場合,低周波数のデータは概ね1Hz刻み
MTWで測定した場合,10000Hz近辺の高周波数はなんと133Hz刻み。FFTの本来の仕様上これはありえない。


またFFT長によってデータ点数が変わるため,異なるFFT長(MTWを含む)で測定したデータ同士は平均化することはできません。あまり変更することもないかと思いますが,平均化を行う場合はFFT長は変えないようにしましょう。

異なるFFT長でAverageを行おうとするとエラーが発生する。

インパルス応答としてwavで書き出したい場合はimpulse responseモードを使いましょう。このモードでPink sweep信号を用いて測定したデータは,学術的な測定手法と同様,確定的なインパルス応答として扱えます。筆者はこのモード推奨です。ただし現状のSmaartではimpulse responseモードでは位相特性を見ることができません。(周波数振幅特性(正確にはパワースペクトル)は見ることができます)そのため,確定的なインパルス応答を一発測っておき残響時間などを見られるようにした上で,Transfer Functionモードで測ることが現状望ましいかと思います。
REWのように位相まで見られたらいいんですが…
(REWは残響時間はじめ様々な室内音響物理指標を求めることができる無料良ソフトです)


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