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ひしゃげた気分〈短歌10首〉

「ひしゃげた気分」

バスケットボールを持たぬバスケットボール選手がレジを通った

記入済アンケート用紙が落ちている来店理由は「気分」だという

メーデーのシュプレヒコールはオレの行くほうへと同じ速さで動く

オレよりも微妙に遅い歩行者を追い抜くためのスピードアップ

イメージは実物よりもきれいだなひしゃげたえびフィレオで手を汚す

ポケットに手を入れている全身を入れられるならそうするだろう

中年はだいたいかっこわるくってガブリと潜る水色毛布

最近は自分の頭皮を夢に見るうすうすと朝しらじらと朝

無理にでも鏡の前で笑うクセついてるオレを誰も見るなよ

風邪かなあどうかなあってやっているうちに桜が散ってしまった

「未来」2017年8月号

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工藤吉生(短歌をやっている人)

工藤吉生(くどうよしお)。歌人。 第61回 短歌研究新人賞受賞。 塔短歌会→未来短歌会。 宮城県。男。 ブログ「存在しない何かへの憧れ」http://blog.livedoor.jp/mk7911/ ツイッター @mk7911 枡野浩一のbot @masunobot

工藤吉生の『未来』の短歌

歌誌『未来』に掲載された短歌のまとめ。2016年1月号から。彗星集。 投げ銭方式なので、無料ですべて読めます。
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