工藤吉生の短歌まとめ・第二十九期【2018年7-9月】20首

▼この時期の主な出来事
中城ふみ子賞の次席に入選。
短歌研究新人賞を受賞、授賞式に出席。
受賞後第一作30首を発表。



〈1〉
宇宙から声がとどいて靴下はきのうのやつをもう一度履く

〈2〉
意地悪なクイズ出してる十歳のオレに会ったよクスリ屋の前

〈3〉
メニューとはちがう気がする春野菜パスタ見比べあきらめがつく

〈4〉
公園の禁止事項の九つにすべて納得して歩き出す

〈5〉
てのひらで暴力団を止めようとしてる女はポスターの中

〈6〉
左肩にかけてたカバンを右肩にかけてパラレルワールドみたい

〈7〉
力の限りがんばりますと言わされて自分の胸を破り捨てたい

〈8〉
並盛と言ってもかなりの量がくるしきたりを受け入れてわれらは

〈9〉
現金のように使えるポイントのもう戻れない無垢の心に

〈10〉
この人にひったくられればこの人を追うわけだよな生活懸けて

〈11〉
何をしても落ちなさそうな黒ずみに両足で立ち〈1〉と〈閉〉押す

〈12〉
なんとなくいちごアイスを買って食う しあわせですか おくびょうですよ

〈13〉
トリックをすべて解かれてうらみつらみねたみを2分言う殺人者

〈14〉
なぜオレをブロックするかわからない。わからないのが原因だろう

〈15〉
マーガリンの違いだったら知らねえなマーガリン野郎に訊けばいいだろ!

〈16〉
むらびとを殺しオオカミ守りぬく選考会を立ったまま読む

〈17〉
坂道でアイス食べてもいいかねえダメかねえもう三十八歳

〈18〉
ルーレット回して給料決めましょう人生ゲームの子持ちフリーター

〈19〉
眠ってる人にさわると眠ってるなりに自分を守ろうとする

〈20〉
元号をひとつ戻して片足で三回蹴ってまたぐ自転車



〈1〉公募ガイド「短歌の時間」
〈2〉読売新聞「読売歌壇」
〈3〉未来
〈4-13〉短歌研究新人賞受賞作「この人を追う」
〈14-19〉短歌研究新人賞受賞後第一作「人狼・ぼくは」
〈20〉角川短歌「角川歌壇」

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

5

工藤吉生(くどうよしお)の短歌・3ヶ月ごとのまとめ

工藤吉生(くどうよしお)の短歌。制作期間3ヶ月ごとのまとめ。投げ銭方式ですので、無料ですべて読めます。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。