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クラフトビール天国へようこそ

ちょっと焦りながら、今、これを書いています。先日書いた「クラフトビールが好きすぎて、ついに自分で醸造した話」と言うノートが、note編集部のおすすめ記事に選んでいただけ、たくさんの方に読んでいただいているようです。ありがとうございます。クラフトビールに関する情報を集めたり発信していこうと思い立ち上げたマガジン「クラフトビール天国」としては幸先の良いスタートです。

しかし、焦っているのは、いわゆるマガジンのIntroductionにあたるこのノートがまだ「下書き保存」状態で、公開できていなかったからです。せっかくの多くの人が見てくださる機会に、どうせなら、この序文もいっしょに読んで欲しいと思い早く完成させようとパソコンに向かっています。

クラフトビール天国

この1年間、MBA留学で会社を休職しイギリスで暮らしました。自分の住んだLeedsという街は、まさにクラフトビール天国でした。現在の世界的なクラフトビールブームはアメリカ発祥とされていますが、ここイギリスでもAleに代表される英国の伝統的な製法によるクラフトビールより、アメリカで再定義されたクラフトビールの新しいスタイルが愛されています。しかし、イギリスにおいてはアメリカから入ってきたクラフトビールが、うまくイギリスの文化と融合し、国全体で非常におもしろいクラフトビールのカルチャ(文化)を作っています。若者だけでなく、幅広い年齢層の男女を問わない人たちが、そのカルチャを楽しんでいます。パブのカウンターでビールを飲んでいるまさにその瞬間以外にも、目をこらすと日々の生活の中の様々な場面にクラフトビールが入り込んでいる、それこそがカルチャであり、まさにここはクラフトビールの天国であると思った所以です。

クラフトビール地獄?

しかし、日本に目を転じてみましょう。地獄と言うのは酷かも知れませんが、クラフトビール天国とは言い難いです状況です。少なくとも自分は出国する1年前(2017年)にはクラフトビールと縁の深い生活は送っていませんでした。それでも、注目して見ると日本でもクラフトビール絡みのニュース記事を見かけたり、友人がInstagramにクラフトビールの写真をあげたりしており、この1年間で状況は変わっているのかも知れません。そのあたりの「今の日本のクラフトビール事情」を体感するのは、帰国後の楽しみの1つです。

ただ、客観的事実として、日本ではクラフトビールの消費量は全ビール消費量の1%にも満たず、また、多くの日本のクラフト醸造所に取材をさせていただきましたが、みなさん口を揃えてブームは数年前にひと段落した感があるとおっしゃっていました。これは由々しき問題です。そこで自分は修士論文において、マーケティングの側面から日本とイギリスにおけるクラフトビール文化の違いは何で、日本で文化を醸成するにはどうしたら良いか?を研究しました。その内容はおいおい紹介させていただきます。

クラフトビール天国へ向けて

日本には「ビール好き」は多いです。世界で7位の消費量だそうです。その人たちに、普段みなさんが飲んでいるビールは150種類近くあるビールのうちのたった1種類でしかなくて、世の中には工場で大量生産されているビールだけじゃなく、職人がクリエイティビティを注ぎ作っているクラフトビールというものが存在することを知って欲しい。カルチャの側面から、普段ビールは飲まない人たちにもおもしろいと思ってもらえる要素があると思うので、そんな人たちにもクラフトビールカルチャを体感して欲しい。

そして、無知を承知で、失礼を覚悟の上で言うと専門家の方の紹介って素人にはグッとこないこと、ありませんか?例えば、ソムリエの方にワインの説明したいただいた時にいつも思うのが「専門的には言い得ているんだろうけど、その説明では味の実感がまったく湧きませんよ。それどころか飲んでみたいという欲求をかきたてません。でも、素人とバカにされるのイヤだからそのオススメをいただきます」です。だけど、これでは文化を楽しめません。分かりやすくクラフトビールカルチャの魅力を伝えたい。これが、このマガジンの創設の想いです。

おそらくこの1年で300銘柄近くのクラフトビールを飲みました。その中には「あたり」も「はずれ」もありました。でも「はずれ」でも面白かった。それは自分の好みじゃなかっただけで「なるほど、こういうことを追求した結果なんだな」と言うことが分かるから。これが、最大公約数とコスト減を追求した大量消費ビールとの違いです。

何か日本のクラフトビール文化の発展に寄与することはできないか?それが帰国後の自分の1つのテーマでもあります。広告業界出身のバックグラウンドや、修士論文の研究から、クラフトブランドのマーケティングではきっとお役に立てることがあると思っています。他にもどんな形であれ、ご用命がありましたらご連絡をお待ちしています。

最後に、「クラフトビール天国」のノートは、ビールを飲みながら執筆できればと思っています。今回、飲んだのは大好き「Brewdog」さんのファンクラブのような制度「FANZINE」の限定ビール「Choco Libre」です。ちょっとおもしろいビールだったので紹介させていただきます。

ピンクの缶に大量のドクロマークが可愛らしいです。Nitro Mexican Chocolate Stoutと書いてあります。アルコール度数は8.2%とやや高め。ルチャ・リブレと掛けた名称かと思われますが、メキシコ感は正直分かりませんでした。いわゆるImperial Stoutでダークチョコレートとコーヒーとスパイスの風味の効いた濃く甘苦いビールです。日本では「黒ビール」と言っても色が黒いだけで、スタイル的にはラガーが多いです。Stout(スタウト)は「強い」という意味で、その代表格であるアイルランド発症のGuiness(ギネス)は日本でも比較的有名ですね。中でもこのインペリアルスタウトは、ロシア皇帝に献上するために作られたビールと言われており、濃厚で強い風味があります。

はじめはこの手のいわゆる「食事と合わない」ビールは苦手でしたが、今ではウイスキーを飲む感覚に近い形で、夜、Netflixを観たり読書をする際に楽しんでいます。フルボディの赤ワインを飲む感覚にも近いですね。


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