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クラフトビール・レポート2018②(イギリス編)

昨年末、恵まれたことにアメリカとイギリスに連続して1週間ずつ出張で行く機会があったので、そこで見てきた両国のクラフトビール事情のレポートです。前回のアメリカ編に続いて、今回はイギリス編です。

イギリスのクラフトビール事情2018

イギリスではビールの総消費量にしめるクラフトビールの割合は15%前後と言われていて、アメリカよりやや少なくなっています。アメリカで起きた昨今のクラフトビールブームが輸入される形でイギリスに入ってきて、もともとあったAleを中心とした地元の小さなブルワリーが地元で提供するような文化と融合したという経緯のため、ブームの波は少しアメリカより遅れています。統計的な記事を見てみると、スーパーやコンビニなどの小売店でのクラフトビールの扱いが物凄い勢いで増えていっていることがトピックになっていることに代表されるように、まだアメリカほど定着していなく、ブームの最中にある感じです。ちなみにアメリカと違って小売店でもビールは1本ずつ販売されています。

また、前回のアメリカ編のラストにも書きましたが、同じクラフトビール先進国の2カ国でもアメリカとイギリスの文化は割と異なります。自分は昨年1年間、イギリスに大学院留学していて、そこでイギリスのクラフトビール文化にはまったため、だいぶ色眼鏡で贔屓目に見てしまっている部分もあるかと思いますが、個人的に面白いのはイギリスの方です。品質はアメリカの方が高いし、文化として成熟していると思うのですが、イギリスではそこに独自解釈を加えより面白いカルチャとして昇華している感じです。

まず、イギリスのクラフトビール・マーケットはBREWDOGというスコットランド発祥のブルワリーが仕切っていると言えます。これも完全に自分がBREWDOG狂の信者なので贔屓目入っているかも知れませんが、彼らがカルチャの旗振り役としてシーンを引っ張ってここまで来たようなイメージがあります。今や、ビジネス規模はだいぶ大きく小規模な「クラフト」とは呼べないBREWDOGですが、マインドやアティチュードはクラフトそのものです。例えば大手ビールコングロマリットに迎合するクラフト仲間を魂を捨てたと野次ってみたり、地元の有望な小さなブルワリーと積極的にコラボレーションしたりなど。

また、中規模以上の街にはたいていBREWDOGのバーがあります。ロンドンには各地にたくさんあり、今回の1週間の滞在でも4箇所まわりました。イギリスのクラフトビール事情の「今」を知りたければBREWDOGにいけば、全てとは言いませんが概要は分かる感じです。

これはBREWDOGの店内の缶ビールコーナーですが、こんな感じで自社製品以外の面白いクラフトビールをたくさん置いています。イギリスのクラフトビールの特徴としてパッケージや名前がかっこいいんです。以前、別の記事で書きましたがロックのアルバムのジャケットやタイトルを選ぶ感じでビールを選べると言うのが、自分がクラフトビールにはまった一番の理由です。

BREWDOGの瓶ビール。ネーミングやデザインのセンスがたまりません。また、ロックロールスピリッツゆえか、元々のビール大国の誇りゆえか、アメリカに比べて様々なビールジャンルを飲むことができます。よく言われる話ですが、実はビールは約150種類あると言われていますが、その中で世界や日本で飲まれているビールはほぼたった1種類のラガーと呼ばれる黄色いビールだけになります。キリンやアサヒやハイネケンのビールでイメージされるやつです。ビール好きなら他のものも飲んでみたくなりますよね?

今日のクラフトビールブームの立役者は、おそらくIPAだと思います。ただ、それが商業的に受けたからって、みんながこぞってIPAばかり作っていては、また、同じことの繰り返しになってしまいます。150種類のいろいろなビールの中から、次々と自分たちの解釈でおもしろいものを作っていくことに挑戦するという気概が、飲み手にも刺激を与えてきます。

店内のネオンサインも、絶妙です。ユーモアを効かせながら、イギリスのロックやパンクロックのカルチャーも入っている感じが素晴らしいです。

イギリスから持ち帰ったお土産ビールです。WalesのTiny RebelというブルワリーのCWTCHと言うWelch Red Ale。たまたま娘の英語の先生がウェールズ出身で、ビールの話になり教えてもらったところによるとCwtchという見慣れない単語はウェールズ語でハグ(hug)の意味だそうです。パッケージ、かわいいです。

こちらもお土産ビール。Huddersfieldという街のMagic RockというブルワリーのINHALERというHOPPY PALE ALE。イギリスに住んでいた時の家に比較的近かったので、こちらのTAPROOMには何度か遊びに行きました。ものすごく落ち着ける最高の場所の1つでした。この缶からも分かるようにMagic Rockはデザインが特徴的です。ブランドのコンセプトが明確にある、素晴らしいプロダクトです。

以上、2回に渡って2018年末のアメリカとイギリスのクラフトビール事情をレポートしてみました。

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