見出し画像

メガブランドのクラフト奮起に期待!?

またもや久々の更新になってしまいましたが、日々、飲んではいるんです、クラフトビール。日本の大手メガブランドのビールのように「プリン体オフ」とかそんなのないから、ビールをたくさん飲むためになるべく魚卵を控えたりしながら。それでもなかなかnoteを書くほどに気分が上がらなかったり、noteを書くほどの話題として成立しないのはなぜなのか?と考えたところ、それはクラフトビールと日常との非連続性にあるのではないかと言う仮説に行き着きました。

この「クラフトビール天国」の根底にある想いは、イギリス郊外の都市Leedsで大学院留学中にどっぷり体験したクラフトビールカルチャーは最高で、あれをTokyoでも再体験できないものだろうか?です。思い返すとLeedsでの日々はクラフトビールとの連続性がありました。それは言ってしまえば、クラフトビールの浸透度、メジャー度と同義なのかも知れないけれど、特にクラフトビールのことを意識しなくても、毎日の生活の中でちらちらとクラフトビールが薄く見え隠れしていて、それが気になったらすっとそこに繋がれる。現状の東京での生活は「よし!今日はクラフトビールを飲もう!」と思い立って腰をあげないと成立しない。いわゆる非日常なのです。

では、どうしたら東京での日常の延長線上にクラフトビールが介在することができるのか?その1つの方法は「メガブランドによるクラフト戦略」ではないか?と最近、考えています。いわゆるキリン・アサヒ・サントリー・サッポロの巨大ビアメーカーたちが、ビール離れが叫ばれる日本の市場の中で、自分たちの売り上げ確保のためにクラフトビールに色気を見せたことがありました。最近では、その熱ですら少しずつ冷めているようにも見受けられますが、その中でも特にキリンは依然、力を入れて頑張っているようです。

キリンのやっている主なクラフトビールに関する活動としては「①海外の有名なクラフトブルワリーを買収」「②自社のクラフトブランドを製造・販売」「③大規模でオシャレなタップルームを設立」「④タップマルシェという発明」が挙げられます。

①の海外な有名ブルワリーの買収は、例えば下の緑のロゴを見たことあるかも知れませんが、キリンはNYの有名老舗クラフト醸造所であるBROOKLYN BREWERYを買収しました。特にクラフトビールの母国であるアメリカやイギリスではクラフトビールの定義として「大手の資本が入っておらず独立していること」をあげているため、このキリンの買収劇はクラフトファンの間では世界的に波紋を呼びました。要するに「ブルックリン、魂売りやがった」と。独立性はクラフトの基本姿勢として大切だと思う反面、クラフトビール後進国である日本の市場に対して老舗の安定して美味しい商品をキリンが安定的に(しかも安価で)投入してくれたことはクラフト市場のメジャー化と言う意味では価値のある行動とも言えるのではないか?と言う思いに変化しつつあります。

②は以前もnoteで忖度ビールとして紹介したことありますが(これとかこれ)、キリンは定期的にクラフトシリーズを販売しています。メガブランドの破壊的な営業力でコンビニの棚にも置かれますが、味は正直イマイチです。最近では③のタップルームSpring Valley Breweryのプロダクトもキリン発のクラフトとして小規模ながら販売されているようです。

③のタップレストランSpring Valley Breweryは、うまくいっているようです。例えば代官山の店舗は、いつも満席で外国人も多く盛況です。お客さんの多くは、キリンビールが経営していることも知らないのではないでしょうか?さらに、先日、立ち寄った際には予約でいっぱいでレストランは座れないけれど、テイクアウトならと言われ、オシャレなカフェのコーヒーかと言ったプラスチックカップに入れたビールを飲むという新しい体験をしました。インスタ映えアイテムじゃないですか?これ。外でお酒を飲み歩きできない海外には真似できない東京独自のカルチャーになる可能性も秘めていると思うのですが。

そして④のタップマルシェと言うのがなかなかすごいのです。もっと言えばエグいのです。キリンが独自に開発したコンパクトで扱いやすい専用ビアディスペンサーで、大規模な工事も必要なく、小さく見た目もかわいらしいので、お店側にしても導入しやすい。3リットルの専用のペットボトルでビールを接続できるので、クラフト醸造所側も大規模な設備投資なく参画しやすい。これをキリンの圧倒的な営業力にのせることができれば、、、要するに日本でクラフトビールを一気に広めることのできる可能性を秘めたマシンなのです。これの何がエグいって、1台で4種類のビールをサーブできるのですが、イケてるクラフト醸造所に協力してもらって普及するついでにキリン関係のビールも同時にお店に置いてもらえるという仕組みなのです。(その後参画メーカーは増えていないようですが)

イギリスのクラフトビールカルチャがなぜ好きだったかと言うと、まさに「文化」であり、その「姿勢」の部分でした。だから正直に言えば、こうした大手のあからさまなやり方は嫌悪すべき対象のように思っていました。でも、日本に戻ってきて半年強が経過すると、そんなことも言ってられないとだんだんと気持ちが変わってきました。まずはクラフトビールを日常レベルまで根付かせて欲しいと。そう思った時、キリンのクラフト戦略、マーケティング戦略的観点では完璧のように感じます。しかし、、、残念なことに最後の、そして最大の1ピースが足りていないのです。

それは「味」。

メガブランドという枠の中ではチャレンジングな味を追求しているのかも知れない。それでも「よくでき」過ぎているんです。徹底的なマーケティングを行って開発した最大公約数の味を、徹底的な製品管理下で製造するメガブランドのカルチャから抜け出られていないんです。もっと、ワイルドで、わんぱくで、粗暴で、無茶な味を、クラフトビールには期待しているんです。「今まで飲んできたビールはなんだったんだろう?」って思わせるような体験を・・・って、そんなことさすがにメガブランドはできないか、、、。前途多難。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?