はじめて参議院議員会館に入った

どうも。若手研究者が直面する貧困性差別、その二つの問題をどうにか直そうとしているmkepaです。修士課程の学生です。数学をやってます。マスターの学籍はフランスにありますが、博士からは日本に戻ります。その後は知りません。ここ一年は貧しくてクレジットカードの分割払いでなんとか凌いでいますが、この前通勤定期(半年88000円)を買ったら、分割払いすら支払いが追い付かなくなってきました。生活が苦しくて、でもこれでも私ってこの世代の若手研究者の中ではすごく恵まれている境遇なので、「なんかやばくね?」と思い、気付いてしまいました。貧困のせいで絶賛むかつき中です。

そんな感じで、諸方面に文句を(半ば意図的に)言いまくっていたら、偶然知り合いの弁護士と議員候補の方が、大学や研究者関係の問題に取り組んでいる参議院議員(理研の雇止め阻止したひと)の所に連れてってくれて、周辺の関係者っぽい人が色々集まってくれて、話し合ってきた。多分これが陳情。(?)

そこでお話した議員秘書さんが学振に物申す権利があって、レクをしてくれるらしい。DCやPDが取れた人は、社会保険に入れられる可能性は高いと言っていた。学振側は、逆に今なぜ逃れられているのか、その解釈を事情聴取することができる、と。

そもそも、今まで「社会保険に入れろ」という要求が出たことがなかったので、その指摘は気付かなかったと言っていた。(ポスドクのポストを増やすとか、大学の学費を減らすとか、そういう議論はよくあるけど、生活保障を求める声自体が新しかったらしい。)(皆思ってはいるけど、界隈で閉じちゃってるから、確かにそうかもね。)

出来そうなことはやってくれそうなので、自分が協力出来そうなことは協力して、どうにかして(特に自分の)D期間中の社会保険加入を勝ち取りたい。自分の博士課程は、この秋から始まってしまうんだけど。。。
そして、学振を取れている1割とか2割の人だけでなく、博士課程学生全員が社会保険加入を初めとする生活保障を受けられるようにしたい。学費なんかもちろん無料だし、受験料も無料にしてよ。3万もどっから出すねん

なんで私が社会保険加入を、と思ったのかというと、「30前後で子どもをもうけたい」という社会一般で通常の要求が、アカデミアでは許されていないからです。みんなが、雀の涙の学振から払っている高い国民健康保険からは、産休育休手当は出ないんです。そのくせに、学振からは、副業禁止は継続的に求められる。まじで意味が分からない。
じゃあ、貴様は半年とか一年とか、無給で暮らせるんですか?
なんで子ども産まれたての超ハードモードの人間たちにサバイバル要求しちゃってるんですか?
もしかして超ハードモードって知らない・・・?()
やっぱりこれも、経済力強めの親の存在の仮定なしにはムリな話じゃないですか?

「出産適齢期クリティカルヒットの男女に『産休育休は認めるけど、金稼いじゃダメだし産休育休手当もなし』」

って、「冷静に考えてやばいよな」とその場にいた人が全会一致で引いてた(議員秘書(男性)、学術文化委員の方(女性)、弁護士(女性)、議員候補(女性)、私)。研究者育成とか以前の話ですよね。笑

ただ、その出産&育児関連のライフに関する要求も、今まで出てなかった、と言っていた。
まぁ、日本では、個人の人生の前にあらゆるdutyが優先されているような価値観で生きてる人が多いから「博士課程やりながら子供を作る権利などない」と本気で思っているか、もしくはそれを他人に強制している人が多い。
それに、「どう頑張っても産休の無給期間ができてしまう」という意味でハンデを負い得る女性自体が、アカデミックの世界に僅かしかいなかった
そう考えると、もし昔から女性研究者がたくさんいたら(いや、いつの時代も途中までは十分いるんだよ。不当に過小評価を与えられ、妊娠可能性があるという生得的な理由による差別をされ、締め出されることがなかったら、皆研究を続けられたの。いなかったんじゃなくて、消されたの。「子宮持って生まれてきた以上ポストが取れないのは当然の定めだ」という言い分でね。)、日本の研究者の生活保障条件はとっくに改善されていたかもしれない。

そもそも、女ってだけで「女性は博士号を取っても研究者にならない」とか「女性は妊娠出産する可能性があるから取りたくない」とかいう理由で女性を拒否し排除する、ヤバい女性差別主義者がデフォ(ヤフコメとかツイッターで匿名で言うとかじゃなく、名前も所属も公表している公式SNSとか、直接面と向かって言ってくる、しかも教授とか主任研究員とかお立場のある男性達がね。そういう人々でアカデミアは構成されてるからね。ウケる。)
になっているせいで立場が超弱いので、そんな声も当然出せないだろうと。

逆もまた然り。上述のハンデのせいで明らかに男女間に不平等があるから、出産適齢期に子を儲けられないという理由で研究の道を諦め就職に流れやすいのは、圧倒的に男性より女性だ(出産の有無により女性のほうが不利益が出てしまうので)。実際、男性の博士課程学生は、内緒で結婚して子供が生まれてたりする。当たり前だが女はそれが出来ない。羨ましくないですか?私もそれがいいんだけど。結婚も妊娠も、どうせ色々皮肉・中傷・嫌味を言われるのは分かってるから。
あと、「妊娠している」というだけで、学生の性的な消費対象にされてる女性教員も見た。異常だよマジで。たくさん気持ち悪い現象を見てきた。だから、私はできれば自分が妊婦の状態で人目に触れられたくないと、割とマジで思ってる。

とにかく、「女性の場合、出産か研究、どちらかは諦めなくてはいけない」というのは男女同権という観点で一発アウトで、その観点から、博士課程学生の不遇を切り崩せる可能性も高いと言っていた。

他にも切り口があるらしいけど、色々わかってとりあえず面白かった。

私が一番要求していて達成しなくてはならないと思っている、
「博士課程研究者全体の生活保障(まともな給料、年金、健康保険、失業保険の加入)」
についてはと、今はそもそも制度がないから1から作らないといけなくて、少し時間がかかるらしい。でも、確実に作らないといけない仕組みだと、議員秘書さんは真面目に言っていた。
私が「フランスで給付奨学金(生活のための/勿論学費はないので)を持っていないPhD candidateは存在しない(※理系だけっぽい😵)」という話をしたら、そのことは初耳だったようで興奮され、すごく触発されていた(と信じている)。あと健康保険も、たしか年で200€以下だった。少なくともそのオーダー。「それで回るんだ…」と驚き感銘を受けていた。是非すぐにでも政策に反映してほしい。

今回の陳情は、こんな感じだった。また会って話しましょう!となってる。
本当は自分が社会保険欲しかったんだけど…………間に合うだろうか。😥
(まずはDC1をまじめに書けという話なんだけど)

今回の一回、議員さんに言いに行って満足してしまうのではなくて、継続的にプッシュしていくことが大事だと思ってます。彼らの扱わないといけない問題は他にも山積みなはずなので、優先順位を上げて早く扱ってもらえるように努力する。だって、確実におかしいしあんまりにも長く放置されすぎじゃないですか?
一回の陳情で何かが変わるんじゃない。それに大きな問題はすべてが一気に解決されるのではなく、一つずつ解決されていくのです。引き続き、生活保障の必要性を論理的に説明したり、現制度の修正を求めることが必要だし、達成されるまでちゃんと動いてもらえるよう、監視という言い方はアレだけど、当事者として行動する。

皆さんも「なんでこんなに貧しいんだ」「クレカの借金が膨らむ一方だ」「負債を回収できる見込みもない」「結局学生ローンのない富裕層出身研究者がポストに残っていくじゃないか」「学生ローンなんかしても将来の投資にすらなってない」と思ったら、それが正しいです。いまの研究者育成システムは本当にへんちくりんだし、学生の親(学士負担者)の経済力に関して明らかに不公正な仕組みなんですよ。
「学者は貧乏」が常識みたいになってるけど、その時点でそもそも騙されています。なんで学者だったら貧乏でいいんですか
学者って貧乏だと研究が捗るんですか?どうですか?苦学生の皆さん、研究捗ってますか?
自分は「絶対逆だろ」と思います。というかそもそも、学者だろうが何だろうが、一国民、個人であり、一労働者です。賃上げ要求をする権利だってあります。「みんなで我慢」とかマジで意味ない。その視点をみんなして欠いているような気がします。
博士課程研究者やポスドク等の若手研究者は、「研究をしないといけない、結果を出さないといけない」そういうdutyに追われた、組織に埋め込まれた存在ではなく、一人の個人であり、国民です。健康で文化的な最低限度の生活が出来ていないならば、国家に責任を問うことができる存在です。
憲法25条ってそういうことじゃないですか。権利を自ら手放さないで。

貴重な当事者として、私とは別で陳情を試みるもいいし、研究者界隈でないお友達や知り合いに話してみることも効果があります。「基礎研究がおろそかになったら、テクノロジーの発展もどんどん衰えますよ。便利な世の中は基礎研究のおかげなんです。研究を応援して下さい。」と。また、具体的な困窮具合を話すのも良いし、生活保護受給申請をするのも良いです。

わざわざ陳情に行く元気はないけど、言いたいことはいっぱいあるという人は、私@mkepa5 にDMかリプをくれてもいいです。私は偶然、人脈に恵まれたから、そこまでコストを払わずに、権限のある議員秘書や周辺関係者に伝えることができます。好機は利用して、可及的速やかに解決に持ち込みましょう。


改善を求めて諸方面に訴えにいくにあたり、諸経費がなかなかバカになりません。頂いたサポートは、公益貢献費として大切に使います。ご支援感謝します。