大阪京都旅回顧録第一夜

2月22日、寒空の用賀で親指を車道に指す男。となりでカレーヌードルを食べる男がいる。「あぁ…冬のカレーは美味いよなぁ罪だわ。」
これが僕だ。そしてそれをみてニヤニヤしているのが大地。

僕たちはこれからヒッチハイクの旅に出る。ここ東京用賀から大阪梅田まで約500km。想像もできないような旅が始まろうとしていた。

ここ用賀は西行きの高速に面しており、ヒッチハイクの聖地とも言われる場所。
車が多く西へ向かう訳でチャンスも多い。しかし、聖地というだけあってカップルハイカーやおじおばハイカーなど競合も多くいた。

時間にルーズな僕たちは2時間押して正午から始めた。時すでに遅し。ベスポジのコンビニやマクド前にはすでに4組ものハイカーが陣取っていた。

結局2時間待ってマクドの前に立った僕等であったが、捕まらない。
ニヤニヤしたり、時には応援の声をかけてくれたり、クラクションを鳴らしてくれたりする人もいた。乗せてくれなかったけど。

「歩いて最初のPA行く?」

隣でヒッチをやっていた少年と「僕等移動しようかと思ってるんです~」と話した後、交差点に差し掛かった時たまたま車の女性と目があった。すると車が停まり、女性が手招きしている

「え。あっさり。。。」

かくして僕等の旅は始まった。

1人目は静岡に住む女性だった。たまたまわんちゃんの病院行った帰りだったんだって。で、乗せてくれた理由もたまたま。
出版関係のお仕事をしているらしくて、「本って売り上げ落ちてるけどなくなりはしないし、むしろレコードとか映画みたいなものになると思うんですよー」とか出版や本の今後、そして僕等の今後についてお話できた。

話しているとあっという間に静岡足柄に到着。

AM14時、静岡に着いたはいいけど高速へ入った以上、行けるとこまでいかなくては泊まるところもない。若干焦っていた。

「立ってるより話しかけてアポとるべ」

PA内を歩き回り声をかけまくった。冬のPA泊は凍死する。無理。

30人ほど声をかけたが捕まらなかった。
大地は
「他人を乗せるか、人生甘くねぇぞ」と怒鳴られたらしい。

AM15時過ぎ、日が陰り始めた。声かけで心が折れた僕たちはPA出口付近で待つことにした。「ここで一夜を過ごすのか…」

そう思っていると、通り過ぎた車からクラクションが聞こえた。「おい、乗らねぇのか?」
軽に乗ったおっちゃんの車に向かって走っていった。


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