宮坂日出美『祝福二世』読了。とても興味深く読みました。90年代後半から00年代にかけて、中学から大学までを韓国の統一教会のコミュニティで過ごした宗教2世が当時を回顧した手記。著者は離教して20年近くになるが、この本の読みどころは活発に教団活動をしていた時の心境の述懐にあると感じる。 https://t.co/L97uLN6tWj

— ダッヂ丼平 (@D_Yosoji_man) March 5, 2024

著者は大学時代に教会主催の「ボランティアプロジェクト」に参加するが、その内実はやや後ろ暗いところもある寄付集めであり、この最中に見聞きした事柄が離教のきっかけにもなっている。けれど、この体験の渦中で著者の内側に湧き上がる葛藤の筋道が追えるのが教団の部外者にとっては面白い。

— ダッヂ丼平 (@D_Yosoji_man) March 5, 2024

「万物復帰」のような世俗社会と対立する宗教的ロジックも単体だけでは意味がなく、他の教義との整合性が信者の中で問われているのが分かる。その意味で、文鮮明が熱心に献身した信者の貧しさに心を痛めたという、一見するといい話の説教に反発を覚えたというエピソードはなかなか思うところがあった。

— ダッヂ丼平 (@D_Yosoji_man) March 5, 2024

現在の社会的状況と照らし合わせると、自然脱会者（自発的脱会者）が何を思っているかの一例として広く読まれる意義があると考える。著者は教団に攻撃的でなく現役信者の信仰も尊重されるべきと主張するが、諫言も述べる。過去の出来事で改めるべきは反省を表明すべしというのは理性的な提言と感じる。

— ダッヂ丼平 (@D_Yosoji_man) March 5, 2024

しかし総じて、統一教会の提供する世界観には確かに強度があったのだなという読後感を抱いた。どのような立場からにせよ、教義の矛盾を指摘して“覚醒“させてやろうなんていう意気込みは単なる自己満足に過ぎないなあ、と改めて思います。というわけで色々と示唆のある本でした。おすすめです。

— ダッヂ丼平 (@D_Yosoji_man) March 5, 2024