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ラグビーに出会って。

 寂しい。あと1ヵ月でトップリーグも終わってしまう。毎週末楽しみにしていたから、1か月後のことを考えると寂しい。スポーツは、やるのも見るのも好きじゃない私が、人生半ば過ぎて出会い、唯一はまったスポーツ。

 私はラグビーのこんなところが好き。

 好きなチームはない、だってぜんぶ好き。Jスポーツが放映してくれる全試合をすべて録画し、行けるときはチームを選ばず現地観戦。どっちが勝ってもうれしい。負けると、ああ、残念。次はがんばれ!と思う。

 大きな人たちの愛らしい振る舞いが好き。スクラムで勝つと、頭をなでなでしたり、ハグしあう。トライしても一人で喜んで踊ったりしないで、駆けつけてくる仲間と笑顔で抱き合う。試合が終わると相手チームと談笑する。試合中の激しさとの落差がすごい。

 身体能力のすごさが好き。あんな身体なのに(失礼)すごいスピードで走ったり、相手を飛び越したり、柔らかく1回転する。タックルしにきた選手を跳ね飛ばしたり、相手の腰にタックルして遠心力でぐるんとまわったり、まるで曲芸。

 レフリーの所作が好き。「○○さーん」と選手を呼ぶ。「まだ動かないで!」「今のいいね」「そうそう」と声をかける。反則しないように「だめだよー」と教える。自分が邪魔になりそうになると「おっと、ごめん」という。「ありがとう」と言う。こんなスポーツ、見たことない。

 モノがよく飛ぶ。ヘッドキャップは毎度のこと。スパイクも飛ぶ。ときどきジャージもボールと一緒に飛ぶ。そしてジャージは信じられないぐらいよく伸びる。息子がそのシーンをはじめて見て「ジャージすげえな」とそこを感心するほど。ちなみにコンタクトレンズもよく外れる。その場でコンタクトレンズを入れなおすのは、さすが。

 タフ。どーんとぶつかって倒れて、しばらくじっと我慢していたかと思うと「よしっ」と言わんばかりに立ち上がって仲間のところに駆けつける。ボールを追いかける。鼻血を出しても両方の鼻の穴に脱脂綿を詰めて続ける。息できてる? よっぽどのことがない限りゲームは続く。タフすぎる。

 現地観戦のぎこちなさが好き。選手年鑑を堂々と出して観戦できる。そんな人がたくさんいる。どちらのファンも入り混じって座れる。もちろんファンの席はあるが、どこでもいいから一人観戦でも楽しい。遠くのスクラムとかよく見えないから、笛が鳴ると、みんななんとなく拍手してる。そのかわり間近でみるスクラムやビッグランは、「おおー」と思わず声が出る。試合が終わって両方のチームにスタンディングで拍手するのも気持ちがいい。

 他のスポーツを見ていないから比べられないけど、今までの人生で出会った野球やサッカーとは異なるこの感じ。ラグビーワールドカップの時は「胸を熱くする」とよく言われていたが、どんなスポーツにも胸アツの瞬間はある。私にとってラグビーは胸アツだけじゃなくて胸キュンもあるのだ。身体を張って仲間を助ける、ボールを奪う、ギリギリのところであとは任せたと倒れながらパスを出す、大きな選手がとっとことっとこ走り回る、頑張った選手の頭を撫でたりキスせんばかりに抱きしめる、この胸キュンが私をとらえて離さない。

 ラグビーと出会って、週末の過ごし方が変わった。SNSでフォローすることも変わった。つぶやくことも変わった。秩父宮のチケットが取れなくて、今シーズンは現地観戦はかなわない。いつか満員の会場で大声で応援しながら観戦できるようになる日が来るときまで、わたしなりのラグビーの楽しみ方を増やし続けよう。

#ラグビーを楽しもう

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