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ダメな政策にはダメって言えるようにならないと『この世で一番おもしろいマクロ経済学』◆読書メモ2019#19

今年は、読んだ本の感想をnoteにメモしていきます。
2019年19冊目は、『この世で一番おもしろいマクロ経済学』です。

以前読んだ『この世で一番おもしろいミクロ経済学』に続き、マクロ経済学の基礎をさらっと学んでみました。
このシリーズ、漫画スタイルで気軽に楽しく概要を学べるので、非常にオススメです。

そもそも「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」とはどう違うのか、ざっと確認しておきましょう。

まず一般的に言われるのは、方法論上のアプローチの違いです。
ミクロ経済学は、経済を構成する個人という要素に分解してから、その行動を解明し、それらの相互作用を考え、それらの集合体としての経済を考えます。
対してマクロ経済学は、はじめから経済全体の集計量を対象に、その変化やメカニズムを考えます。
前者は還元主義、後者は構造主義と呼ばれるものです。

ですが実際には、そのアプローチに明確な境界があるわけではなく、
それよりもむしろ、その探求テーマに本質的な違いがあると考えた方がよいでしょう。

この本の表現を借りるなら、
ミクロ経済学で探求する大きな問題は、「個人にとっての最適化の結果が、集団全体にとってもよい結果になるのはどんな場合か?」であるのに対し、
マクロ経済学で探求する大きな問題は、「長期的には経済を成長させつつ」「短期的には暴落を防いで安定させるためにはどうすればいいか?」ということなのです。

で、当然ながら、これに唯一の正解など無いわけです。
「長期的な成長」「短期的な安定」は、両立できる場合もあれば相反する場合もあります。
そもそも、どこまでが「短期」でどこからが「長期」なのか、何が「成長」で何が「安定」なのかも曖昧です。

それゆえに、マクロ経済学というのは、学者の間でも主張が正反対に分かれることが比較的多い学問です。
どうしても掴みどころがなく、理解しにくい印象になりがちです。

そういった意味では、この本は特定の立場にあまり偏ることなく、双方の考え方をできるだけ併記していますし、
ふわっとしか理解しにくいマクロ経済学の全体像を、ふわっとしたままフラットに知ることができる良書だと思います。

逆に言えば、ここで「やっちゃダメ」と断言されているような話については、ほぼ間違いないわけです。
にも関わらず、過去、そして現在、世界中のいろんな国で「やっちゃダメ」なことが行われています。

「絶対に失敗する方法」は、「絶対に成功する方法」よりもはるかに確実です。
だとすれば、それがなぜダメなのか、ロジカルに説明できるようにならないといけないですね。
そして、その上でどういう行動を取るべきかというのは、
経済学者や政治家に限らず、経済を構成する我々が皆で考えるべきことかもしれません。


タメになる度 :★★★☆☆
文章の読み易さ:★★★★★
分かりやすさ :★★★★☆
総合オススメ度:★★★☆☆


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