先日参加してきたYext社のカンファレンスでゲスト登壇した、Inspire Brands共同創業者兼CEOによるスピーチが非常に分かりやすく参考になったので、自分なりに感じたことも交えつつまとめてみました。

Inspire Brands

Inspire Brandsは、アメリカやカナダでArby's・BUFFALO WILD WINGS・Rusty TACOといったファストフード店を多数展開するレストランチェーン企業です。
2018年2月に、Arby's Restaurant Group（ARG）からInspire Brandsへと名前を変更しました。

外食産業に求められるイノベーション

今回のイベントでは、Yextのクライアント企業のひとつとして、Inspire Brands共同創業者兼CEOであるPaul Brown氏が登壇されました。
スピーチのテーマは、「イノベーションの文化を組織に根付かせるために重要なこと」です。

テクノロジーの進歩に伴い、多くの産業において労働生産性が向上している一方で、
外食産業の労働生産性は、ここ数十年でほとんど変化していません。

さらに、どんな飲食店にも発生する４大コスト、
人件費・食材費・水道光熱費・物件賃料が、常に利益を圧迫します。

そんな外食業界においても、Inspire Brandsは、規模を拡大し優位性を生み出すプラットフォームとなることを確信しています。

ファイナンス・法務・IT・開発・メディア等の各部門が共通の基盤を構築することで、集団としての強み、いわゆるスケールメリットを発揮します。

チェーン展開するのは、あくまでもシステムとナレッジです。
その上に独自のアイデンティティをもったブランドが乗っかっていく中で、Inspire Brandsは、その文化的基盤としてのプラットフォームとなるため、
それぞれのブランドが価値を生みながら、企業全体として柔軟に規模を拡大することができるのです。

外食に限らず、他ブランド・多事業を展開するあらゆる企業に通ずる考え方だと思います。

Fostering a Culture of Innovation

組織の根幹にあるのは、Culture（文化）です。
では、組織にイノベーションの文化を根付かせるためにはどうすればいいのでしょうか。

Brown氏は、５つの質問を提示しました。

1. Is the organizational purpose clearly defined for all stakeholders?
　組織の目的は、全てのステークホルダー（利害関係者）に対して明示されているか？

2. Will the innovation create values for my customer?
　そのイノベーションは、顧客にとっての価値を生むか？

3. Is the business model, end-to-end, set up to execute?
　そのビジネスモデルは、End-to-Endで遂行するように設計されているか？

4. How can we co-create innovation whatever possible?
　可能な限り、共にイノベーションを創り上げられるだろうか？

5. How future-proof are the decisions being made today?
　今日下したその決定は、将来においても価値を生むのだろうか？

CLARITY OF PURPOSE
目的を明確にすることは、一番重要だと思います。
それはビジョン・価値観・理念・行動指針などといったものと連動し、文字通り基盤となるものです。

CREATE VALUE FOR CUSTOMER
「自分達のため」ではなく、あくまで「顧客のため」。
これを混同しないようにしたいものです。

THINK AND EXECUTE END-TO-END
部分最適ではダメで、端から端まで、上流から下流まで、高い視座をもって考えて、そして実行するべきです。
常に全体最適を考え、全てが連動して価値を生み出すことが大切だと思います。

CO-CREATE INNOVATION
社内外のあらゆるリソースを最大限に活用して、共創する。
イノベーションとは、0から1を創るよりも、むしろ1と1を組み合わせるところから始まるのかもしれません。

FUTURE-PROOF INNOVATION
目先のメリットだけを考えて動いてはいけません。
拡張性のないアーキテクチャの採用は慎重になるべきです。
先の流れを読むと同時に、タイミングも重要な要素のひとつです。