見出し画像

吾輩は『マルチ・ポテンシャライト』である。

マルチ・ポテンシャライト

この言葉を聞いたことがあるだろうか。
先日、Twitterでシェアされた記事でたまたま知って、すぐに「これは自分のことだ」と確信した。

「マルチ・ポテンシャライト」というのは、マルチ(多くの)― ポテンシャル(潜在能力を持つ)― アイト(人)、
つまり、さまざまなことに興味を持ち、多くのことをクリエイティブに探究する人のことだ。

自分もそうかもしれない、と少しでも感じた方は、次の動画を見ていただきたい。
マルチ・ポテンシャライトという言葉を世に広めたエミリー・ワプニックさんのTEDトークの映像だ。


恐怖の問い

あなたの仕事は何?何ができるの?やりたいことは何ですか?

あなたなら、これらの”よくある”質問に何と答えるだろうか。
これらの、ありきたりで、ごく普通で、全く悪意の込められていない問いは、
自らを「マルチ・ポテンシャライト」であると自覚していないマルチ・ポテンシャライト ― 例えば、昨日までの自分のような人間 ― にとっては、恐怖の質問である。

あれも好き、これも好き。
あれもしたいし、これもやりたい。
あれも出来るし、これも出来るし。

そんな自分にとって、自分を一言で表現することは非常に難しく、ある特定の分野のスペシャリストとして理解されることに、この上なく嫌悪を感じる。
好きなことや出来ることは確かにたくさんあるが、だからといって、そのどれもがその道のスペシャリストほどではなく、どれも”それなりに出来る”中途半端な二流だ。

じゃあ、その中でも一番好きなことを見つけて極めればいいじゃないかって?
それは無理だ。
たとえ楽しいと思えることだろうと、何か一つのことだけを永遠にやり続けることは、拷問以外の何物でもない

たとえ何年も熱中して取り組んだことであっても、ある程度のラインまで到達するか、あるいは飽きたらそこで終わりなのだ。
「ここまで頑張ったのにもったいない」などとは全く思わない。


生きやすい世の中ではない

ここまで頷きながら読んでくださった方なら、分かるだろう。
世間は、マルチ・ポテンシャライトに優しくない。

キャリア形成の話になると、たいていどこに行っても、「専門性を磨け」と言われる。

実際、そういうことを何度も言われたことがある。
僕は、noteにいろんなことを書いているが、自己ブランディング的な視点で見れば、「何の人なのか分からない」
そして、それは自分でもずっと思っていた。

「起業家」ではない。「図解の人」でもなければ、「デザイナー」でも「プログラマー」でもない。「料理人」でもないし、「ライター」でもないし、「何とかコンサルタント」でもない。
何か独自の専門性を持って、ラベリングすべきだと、自分でも感じていいた。
何度も見つけようとしたし、考えたけれど、決められなかったし、決めること自体に嫌悪感が付きまとった。

だからこそ、マルチ・ポテンシャライトという生き方を、一つの立派なアイデンティとして定義し、肯定されたことで、約24年間、無意識に靄がかかっていた部分が、少し明るく見えたのだ。

もちろん、スペシャリスト(専門家)も素晴らしい。

しかし、その道を極めたスペシャリストにしか到達できない領域があるように、マルチ・ポテンシャライトだからこそ成しえることだってあるのだ。
例えば、全く関連性がない(ように見える)分野同士を融合させて、新たな価値を創造できるかもしれない。


How to Be Everything

事実、世界には様々な分野で活躍するマルチ・ポテンシャライトがたくさんいる。
芸術家として有名なレオナルド・ダ・ヴィンチは、Wikipediaに書いているだけでも、
音楽、建築、数学、幾何学、解剖学、生理学、動植物学、天文学、気象学、地質学、地理学、物理学、光学、力学、土木工学に精通していたらしい。

だが、基本的に、我々の多くは何らかのスペシャリストになることこそ望ましいとして育てられてきた。
だからこそ、“一流の” マルチ・ポテンシャライトになるための教科書は、これまでほとんど存在しなかった。

今、自分もマルチ・ポテンシャライトであると確信したあなたは、冒頭に紹介したエミリー・ワプニックの著書『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々仕事にして、一生食っていく方法』を読んでみるといい。

マルチ・ポテンシャライトのキャリアにも、様々なパターンがある。
決まった形の正解はないが、何人かのマルチ・ポテンシャライトの例を交えながら、僕達が自分なりのスタイルを見つけるための具体的な方法が書かれている。

本の宣伝のための記事みたくなってしまったが、今回の目的は、生きづらさを感じているマルチ・ポテンシャライトを肯定することと、専門性を重んじる世間に対して、マルチ・ポテンシャライトの存在を認識してもらうことである。

まず、それがスタートラインだ。
自分なりの生き方は、自分で作っていくしかないことに変わりはない。
でもこれからは、どうにかしてこの生きにくい社会を切り抜けていくのではなく、マルチ・ポテンシャライトだからこその「強み」を最大限活かす方向に歩いていけるはずだ。

この記事が参加している募集

推薦図書

飲食店の開業を目指して準備をしています。バカな若者をちょっと応援したいと思った方、サポートお願いいたします。 スキ・コメント・SNSシェアだけでもとても嬉しいです。