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評価経済・贈与経済の世界観とは『評価と贈与の経済学』◆読書メモ2019#4

今年は、読んだ本の感想を全てnoteにメモしていきます。
2019年4冊目は『評価と贈与の経済学』です。

いやあ、これはとても面白かったですね。
文字通り、一気読みしてしまいました。

この本が出版されたのは、2013年とやや古いですが、
最近盛り上がっているフィンテックとかコミュニティとか、そういうところに興味がある人は、今だからこそ読んでおくべき一冊だと思います。

『評価と贈与の経済学』という、学術風でカタいタイトルではありますが、
その中身は内田樹さん岡田斗司夫さんによるカジュアルな対談形式になっています。
確かにメインテーマはタイトルの通りですが、もっと広く本質的なところに触れらているので、どんな方にでもでもオススメできます。

対談形式はいいですね。
話し言葉でとても読みやすくて分かりやすいのに、双方向的な議論の中でこそ生まれる鋭い発見はとても楽しいものです。

一方が自分の主張を押し付けるのではなく、相手を論破しようと戦うのでもなく、
互いにリスペクトし合いながらも、絶妙なパスを出し合って、テンポよく議論がされていきます。
対話によって議論を深めるというのはこういうことかと、勉強になりました。

「あー、なるほど。そういうことかー。確かになあ」と、何回感心したことか。


人口も市場も縮小しているのに、やれ共働きだ定年引上げだ外国人労働者だと働く人数を増やしていたら、そりゃあ一人当たりの収入は減るのは当然なんじゃないかと思うんですよね。
語弊を恐れずに言えば、父親だけが働いて、親も嫁も子供も食わせていく生活が成り立っていたような相互扶助の社会は、今よりも豊かだったのかもしれません。
それを、世代間・性別間で悪口言い合って、必死で互いに奪い合って、必死で自分のもの守ろうとしてたら、集団として弱くなるのは当たり前だろうと、そう思いました。

だから贈与なんです。
パスを受けて、それをまたワンタッチでパスしてやるんです。
誰かにひたすら良くしてもらって、何か返さないといけないと思うんだけど、
「俺はいいから若いやつに同じことしてやれ」とか言われて返せない。
そうやって、誰かが誰かに対して常に「債務過剰」になっている非対称な状態ができると、
その不均衡に原動力が生まれて、贈与経済は循環するというわけなんですね。


経済についての議論以外の部分も、とっても面白いですよ。
サクッと読めます。 オススメです。

タメになる度 :★★★★★
文章の読み易さ:★★★★★
分かりやすさ :★★★★★
総合オススメ度:★★★★★


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