そもそもプロジェクトは予定通り進まないという前提から『予定通り進まないプロジェクトの進め方』◆読書メモ2019#3

今年は、読んだ本の感想を全てnoteにメモしていきます。
2019年3冊目は『予定通り進まないプロジェクトの進め方』です。

そもそも、ルーティンワークではない仕事は全て「プロジェクト」だということができます。
企業活動だけでなく、個人的な活動においても、大小様々なプロジェクトがあり、それらは全て「未知との戦いの連続」です。

皆さんも何度も経験があるかとは思いますが、基本的にプロジェクトは予定通りには進まないものです。
本書では、「プロジェクト」は次の3要素を満たすとされています。

・「未知」を「既知」に変換していく行為。
・ノウハウや知識の不足。
・有限なお金と時間。

本書では、そもそもプロジェクトとは何か、そして、なぜそれらの多くが失敗するのかという話から始まります。
自分の実体験と照らし合わせても、深く共感できる部分が多いです。

さらに、プロジェクトを進める中で使われるツールやフレームワークを紹介した上で、これらを前置きとし、
捉えどころのないプロジェクトを体系的に整理した「プロジェクト工学」を提唱します。

さらに、筆者らが考案したプロジェクトのためのエディティング(編集)ツールとして、「プロジェクト譜」、略して「プ譜」を紹介しています。

プロジェクトマネジメントについて書かれた書籍は数多く出版されていますが、刻一刻と状況が変化する中で、素早く最適な意思統一と意思決定をし続けるというのはほぼ不可能に近く、
それゆえに、どうしても世の中のほとんどのプロジェクトは上手くいかないものです。

そういう非常に難しい題材を対象に、できるだけ一般化しながらも実用的なビジネス書としてまとめること自体が、おそらく大変に難しいプロジェクトであったのだろうと想像できますが、
終章では、その過程も「プ譜」を使って表現されており、
結果、全体として構成がよく練られていて、読みやすく、「完成度の高い本」に仕上がっているなあという印象を受けました。

ただ、やはりテーマそのものの対象があまりに広く抽象的なため、
読んで即座に自分の武器として身に付けるというのは、少々厳しいかと思います。
もちろん、未知との戦いに臨むにあたって、考え方やツールを一つでも多く知っておくことは有用だと思うので、まずは一度ざっと通し読みしておき、
実際にプロジェクトで躓いたときに改めて本書を開くなどして、何度かインプット/アウトプットを繰り返しながら、PMとしてのスキルを高めていくことになるのだろうと思います。

ちなみに、個人的に一番タメになったのは、第一章の4つ目の節で、
プロジェクトがコミュニケーションロスのために上手くいっていないようなときには、「要望・要求・要件・仕様・設計」を区別し整理するべきだという部分です。
これが共通認識として整理されないまま動き出してしまったら、そりゃあ上手くいくはずがないだろうと、過去の反省も含めてメモしておきます。

タメになる度 :★★★★☆
文章の読み易さ:★★★★☆
分かりやすさ :★★★☆☆
総合オススメ度:★★★☆☆


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