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今こそケインズ先輩と再び革命を『雇用・利子および貨幣の一般理論 (まんがで読破)』◆読書メモ2019#20

今年は、読んだ本の感想をnoteにメモしていきます。
2019年20冊目は、ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』のまんがで読破バージョンです。

さて、大学などで経済学を学んだことが無い方でも、ケインズの名前くらいは聞いたことがあるんじゃないでしょうか。

最近、経済学の本をよく読むようになったのですが、ケインズは必ずと言っていいほど登場しますし、
特にマクロ経済学を分野を理解する上では、やはり彼の理論を無視したままでは先に進めないようだと気付きました。
ということで、ひとまず漫画版でサクッと勉強させてもらったわけですが、
まず漫画や要約本でポイントだけ押さえてから原著を読むというのは、新しいことを学ぶときの近道のひとつだと思います。

では、そんなケインズの何がスゴイのか?

そもそも、ケインズ以前の経済学は、あくまでも「経済」のメカニズムを解明することが主たる目的であったわけで、いわば自然科学の括りであったわけです。
その基礎を築いたのは、かの有名なアダム・スミスであります。
スミスの『国富論』以後の主流派経済学は、彼が提唱した「見えざる手」を可視化するような試みだったと言えるでしょう。
簡単に説明すると、各人が自己の利益を追求して生活すれば、あたかも見えざる手が市場を操作するように、自ずと“ちょうどいい感じ”に価格が調整されるということですね。

まあ、このスミスの理論についてはかなり誤解を含んだまま広まっているようなところも多いのですが、
とまれ、基本的に多くの経済学者は、「放任主義」で社会は良くなるはずだというスタンスでいました。

そんな中、1929年に起きたのが世界恐慌です。
ケインズがいたイギリスでも、失業者が常に100万人以上いるような状態が何年も続いていました。

経済学の言い分によれば、社会は自然と良くなるはずでしたが、事態はどんどん悪化していきます。
しかし、当時の経済学では、景気回復に向けて有効な手立てを示せないどころか、恐慌時に失業者が溢れる理由を説明することすらできなかったのです。

こうした状況を打破すべく生まれたのが、ケインズの一般理論です。
これは、不況のメカニズム解明と解決に挑んだ世界で初めての経済理論のひとつであり、多くの国の政策に大きな影響を与えました。
そう、まさに世界を変えた「革命」なわけです。

さて、今の世界は、そして日本は、不況を完全に克服できているのでしょうか?
いやもちろん、ケインズの理論も全てが正しいわけではないでしょう。

しかしそれ以前に、今の政治家は、国民は、彼の理論をしっかりと理解できているのでしょうか?
少なくとも、なんとしてでも社会を救おうと考え抜いたケインズの姿勢に、今こそ学ぶべきではないでしょうか?


ちなみにこの漫画は、ケインズの代表著作である『雇用・利子および貨幣の一般理論』をそのまま漫画で解説しているというよりは、ケインズの伝記に近いかと思います。
登場キャラは皆かわいらしく描かれていて、物語としても楽しく、
とはいえ、彼の理論についても非常に分かりやすく解説されているので、子供から大人まで、誰にでもオススメしたい一冊です。

中学生くらいのときに読みたかったな......笑

タメになる度 :★★★★☆
文章の読み易さ:★★★★★
分かりやすさ :★★★★★
総合オススメ度:★★★★☆


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