メッセージ性のない6月が好き。
4月。出逢いと別れ。
5月。ゴールデンウィーク。
6月。
春でも夏でもない。
祝日もなければ、イベントもない。
7月8月のような夏休みでもない。
陽のささないどんよりとした朝。
しとしと降り続ける雨。
ただ濡れゆくなんでもないアスファルト。
いつにも増してぼんやり佇む隣の犬。
無機質なビニール傘の群れ。
活気のない教室。
どこにも出かけない。
これといった楽しみもない。
湿っぽくて、憂鬱で、
柔らかくて、優しくて、
直視しても眩しくない。
誰のことも、思い出すことのできない。
そんな6月が好きだ。
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