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クラウドファンディング実施中のバンビシャス奈良の経営と今後。

2024年2月27日。
男子プロバスケットボール Bリーグ2部『バンビシャス奈良』がクラウドファンディングによる支援を呼びかけました。

『B2クラブライセンス維持に向けたクラブ施策(クラウドファンディング)』(2024.2.27)

加えて、パートナー企業からも追加協賛を募り、クラウドファンディングと合わせて合計4000万円が3月26日までに必要とも発表されました。

1.責任企業(親会社)を持たないバンビシャス奈良

なぜ、4,000万円ものお金が必要なのか?その理由は……

B2ライセンス不交付を回避するため。

Bリーグではチーム成績だけでなく財務も問われます。「3期連続赤字」だとライセンスが交付されません。その事態を回避するために今回、4000万円の資金が必要。

「2022-23シーズンクラブ決算概要」を見ればわかる通り、B2の全クラブの営業利益は赤字です。しかし、ライセンス維持のため、3期目にはどのクラブも責任企業(親会社)が 資金を投入し、必ず黒字にしてきます。

しかし、バンビシャス奈良は、赤字を補填してくれる親会社を持っていません。

バンビシャスは今年、創設11年目となりますが、いまだ「創業者=社長」というB2唯一のクラブであり、

正味の「入場料収入+スポンサー収入+物販収入+スクール収入+配分金」で稼ぎ、その収入の範囲で運営するしか生き残る道のないB2クラブなのです。


2.過去2期の赤字はなぜ?

バンビシャスの過去2年の純利益を見てみましょう。

2022年6月期 ▲810万円
2023年6月期 ▲4800万円

ご覧の通り、2期連続赤字となっています。

2022年6月期の▲810万円は一旦よしとしましょう。コロナ禍だったし、売上2.9億円に対し2.8%の赤字はまぁ、経営ですもの。あるっちゃある。

しかし、2023年6月期の▲4800万円は??!!!

これについては2023年5月、クラブより直接ご説明いただきました。『この年、B2チーム全体の動きから、チーム予算を大幅に上げなければとてもじゃないが戦えない状況があった。そのため、急遽チーム予算を8100万円から1億2700万円へ4600万円増額(1.6倍)させたことによって、その分が丸々赤字になってしまった』とのこと。

うら悲しいのは、4600万も増額したにも関わらず、チーム予算はB2最下位という結果。Bリーグの人件費高騰の苛烈さがみて取れます。

3.なぜ今期、あと4000万必要??

今期、バンビシャスは「4.2億円」の予算を組みました。

  • 新リーグ参入条件「売上4億円以上」をクリアする必要があること

  • 昨季支出が約4億円で、そこから更に人件費等が上がっているため黒字化には4.2億円くらい必要であること

がその予算の根拠だと思います。

毎年10%売上を伸ばしているバンビシャスですが、そうして昨年比20%UP(昨季売上3.5億円から7000万円UP)の予算を組む形となったわけです。

しかし、3000万円UPの売上3.8億円まではいったものの、あと4000万がどうも足りない、、4.2億に届かない、、、

その原因は主に、以下の2つ。

  1. 新リーグ参入条件の入場者数(平均2,400人、最低でも1,500人)をクリアするために無料招待券を配布したところ、既存のお客様にまで招待券を使われるケースが増え、入場料収入が伸び悩んだこと。

  2. 新規、特に大口スポンサー獲得が当初計画通り進まなかったこと。

ともかく、今期あと4000万円足りないようでは、3期連続赤字決算となってしまい、B2ライセンスは下りず、チーム成績に関係なくB3に降格してしまいます(※現在チームはプレイオフ進出をかけ奮闘中!)。

(※ライセンス維持のためには「債務超過解消」も必要ですが、今期黒字化が達成されれば、既存株主等への株式募集により債務超過は解消する予定とのことです)


4.B3じゃダメ?

どうしてもB2ライセンス維持にこだわりたい。その理由は、2つあります。

1つめは、新リーグ開幕をB.ONE(新B2)で迎えたいから。

B.ONEは、全国に広がる地域vs地域のトップレベルリーグ。このリーグに参戦し、全国の舞台で戦う”奈良”を見せたい!というのがバンビシャスの思い。

その、B.ONE参入審査が今年からなのです。

《B.ONE参入条件》
・平均入場者数2,400人以上(最低1,500人以上)
・売上4億円以上

前者条件はクリア(3月5日時点で@1,745人)しており、後者条件もあと少し(現時点で3.8億円)で達成できそう。なのに財務基準でB3に降格すると、せっかくのB.ONE参入への好機を逃すことになります

そして2つめは、1年以内に方向性の決まる「新アリーナ」の計画に深く関与したいから。

奈良には、各種室内競技の全国大会が開催できるような施設や大規模な集客施設がありません。そのため長年、国内トップレベルの競技を身近に見る機会や、全国規模のイベントの開催機会など、県外からの交流人口を増やす機会が失われてきました。

現在、奈良にある大きな会場といえば、「なら100年会館(1999年開業)」と「奈良県コンベンションセンター(2020年開業)」。どちらも収容人数は1500〜2000人といったところで、規模感で言うといまひとつなのが現状。

しかし、2024年1月4日、嬉しい発表がありました。

奈良県の山下知事が「2031年奈良国体に向けて、橿原公苑にあるジェイテクトアリーナを建替える」と発表したのです。
知事はそこまで大規模な施設の建設を意図した発言ではなかったよう。しかし、バンビシャスとしては、同施設がB.PREMIER仕様(5000席以上、VIPルーム、ラウンジ、トイレ数、大型ビジョン等)で建設されるよう働きかけたいところ。

「スポーツを通じて住む人が誇りを持てる、
     活気あふれる奈良を作りたい!」

これは、バンビシャス奈良 加藤代表の悲願!

銀行員のキャリアを捨て、誰もやらないなら俺がやる!と人生をかけた挑戦に「新アリーナ」という光が見えてきたのです。掴みにいかない理由がありません。

奈良の価値を高めるためのアリーナの必要性は、10年以上前から多くの議員さんや県の役職の方たちも賛同してくれています。万が一、この機会を逃せば、30年……いや、きっと50年はチャンスが訪れることはないでしょう。

新アリーナの議論が進むなか、バンビシャスの想いは、

「プレミアリーグの2つ下のカテゴリーにいては主張に説得力がない!年間30日を埋めるバスケットボールチームがプレミアを目指すカテゴリーにいてこそ、話が真実味を持つはず。」

そこにどうしても賭けたい強い想いがあるのです。

数年前なら、B3に降格して立て直すというのもアリだったでしょう。しかし、新アリーナの話含め、そういった状況は一変しました

今は、何としてもB2でいなければいけない時!
バンビシャス奈良に関わる全ての人に、その点を深くご理解頂けることを切望いたします。


5.クラファン、なぜたった500万?

3月1日にスタートしたクラウドファンディングはスタートから動きがよく、わずか10日で目標金額の500万を達成。

▶クラウドファンディングのページ
(バンビシャス奈良 財務基準によるB3降格回避に向けて)

しかし、私が疑問に思ったのは、、、

なぜ、目標金額を1000万にしなかった?

全部で4000万必要なのに、500万でいいの?と。
私を含め多くの人が疑問に感じたことと思います。

こちらもクラブに確認し、分かった理由は以下の2つ。

  1. 使用したプラットフォーム(READYFOR)では、All or Nothing方式=達成しなかったらゼロ円という選択肢しかなかった。

  2. そもそも500万円も本当に支援いただけるか不安だった。

もし強気な金額を設定した場合、成立しない可能性を危惧したようでした。

※現在は第二目標として1000万円が設定されています。 第一目標が達成された後なので、第二目標に未達でもお金はクラブに入ります。

「 5,000円/10,000円/50,000円」のコースがございますので皆様是非宜しくお願いします!


▶B2クラブライセンス維持に向けたクラウドファンディング~ネクストゴールへチャレンジ!(2024.3.10)

また今回、クラファンの返礼品は原価のかかるようなものではなく、「サイトにお名前を掲載する(希望者のみ)」という形となっています。

原価のかからない返礼品であれば、選手との写真撮影とか、ビデオメッセージなどの選択肢もあったのでは?と思い、返礼品についてもお話を伺ったところ、『今回のことは経営の責任であり選手に負担をかけたくなかった』というお話でした。

(※同じクラブの一員として、キャプテンの古牧選手と奈良出身の藤高選手はクラファンへの支援を呼びかける25秒動画に出てくれています。服装を含め呼びかけ方などは彼らが中心となって考えてくれたとも伺いました。)

※クラウドファンディングを通してのご支援が難しい方に向け、銀行口座も公開されています

《バンビシャス奈良応援口座》
奈良信用金庫 本店 
普通口座 0667009
口座名義:株式会社バンビシャス奈良

6.今期なんとかなったとして、今後はどうなの?

これについては、正直、私はわかりません。

「ちゃんと黒字化している他のクラブを見習って!」という意見も拝見しましたが、それは「親会社を探してください」と同義です。

私もその意見を決して否定しませんし、過去にそう求めたこともあります。ただ、同じ経営者の感覚として、これ(親会社探し)ばかりは”ご縁”の問題。。努力してどうにかなるものではないのかなと。来るべき時が来れば為されるし、そうでなければそれもまた運命、と考えています。

ただ、しばらくこのまま親会社を持たない経営を続けていく場合でも、経営を圧迫する大きな要因となっているBリーグの人件費高騰問題については幾分か緩和されるのではと思っています。

2024年2月27日。
2026-27シーズンから「サラリーキャップ制(チームの合計年俸に制限を設ける制度)が導入される」発表がありました。

この制度が導入されれば、B.ONE(新B2)では下限が1.5億、上限が4億円となり、チーム予算格差は2.7倍に収まります。抜け道もあるかもしれませんが、少なくとも現在の5倍(1.2億~6億)よりは随分マシになるはず…。

また2024-25シーズンからは昇降格もなくなります。降格しないために!昇格するために!と無謀なお金の遣い方をする必要は今よりずっと薄まり、クラブの負担は減っていくものと思われます。

7.ところで4000万の目途は立ってるの?

これを書いている3月13日時点では、4000万円の目途はまだ立っていないそうですが、パートナーの追加協賛とクラウドファンディングを合わせて1700万円までは来ており、望みは出てきています。

でも、あと2300万円必要です!是非ご支援宜しくお願いします。

※もちろん弊社も追加協賛いたします!!

8.4000万集まったらどうなる?集まらなかったらどうなる?

再度整理します。
4000万円が集まり、売上4.2億が達成されたら…

  • B2に残留できる

  • 2026年から、地域vs地域のトップレベルリーグである「B.ONE(新B2)」に参入できる

  • 新アリーナの計画に主要な立場から参加できる。また新アリーナ建設が実現すれば、B.PREMIER(新B1)を目指すことができ、奈良の活性化にもつながる

4000万円が集まらなかったら…

  • B3に降格する(スポンサーも離れるかもしれないし、B3も厳しいので短期間では昇格できない可能性がある)

  • 2026年からは「B.NEXT(新B3)」からの参戦となる

  • アリーナ計画に深く関与できない可能性が高く、その場合、プレミア基準を満たしたアリーナの実現は難しくなる。奈良の活性化にあまり貢献しない中途半端なアリーナができてしまう可能性も高まる。

ざっとですが、このようなことが予想されます。
(※間違いあればこっそりご指摘ください)

9.最後に

いまや奈良のものだけではない『バンビシャス奈良』。

私は奈良県民ではありませんが、バンビシャスの地域への熱い想い、加藤代表の誠実さ、堅実な経営姿勢が私は好きです。バンビシャスが躍動することによって「正しい道を歩けばいいんだよ」と勇気を分けてもらってもいる。

バンビシャス奈良には、たくさんの無形資産があります。

そして、伸びしろもある。

バンビシャスにはバンビシャスの戦い方がある。
他クラブと違ったっていい!

応援しています。
頑張れ!バンビシャス!!


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