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【MIA】23年マーリンズのトレードデッドラインを振り返る

もう8月も半ばに突入してしまいますが、今夏のマーリンズのトレードデッドライン(以下、TDL)の動向を振り返りたいと思います。

まず今季成立したトレードを順番に見ていきます。
(成績は現地8/14時点)


マーリンズが獲得した選手

①Jorge Lopez(RP)

MIA獲得:Jorge Lopez(RP)
MIN獲得:Dylan Floro(RP)

A.J.Pukが離脱した5月にはクローザーを務めたDylan Floro。指標を見ると打球管理もある程度できており、そこまで悪くないのですが、本来打たせて取る投球スタイルということもあり、今季はBABIPが.397と急激に悪化。見ていても常に得点圏にランナーがいる印象があり、昨年までの安心感はありませんでした。


Floroの主要指標。悪くないようにも見えますが…
出典:baseballsavant


獲得したJorge Lopezは昨年前半戦に好投を続け、オールスターにも選出されたもののツインズ移籍後は一転不振に。今季もメンタルを理由としてIL入りするなど、苦しいシーズン続いていました。
今回はツインズはFloroは現状運が悪いだけで今後改善されるだろうと見込んで、マーリンズはLopezの速球に惚れ込んでのトレードとも言われています。また、Floroは今オフFAながらLopezは来季まで保有できることもあり、来年以降のブルペン整備を見込んでのトレードだったのではと考えられます。

②David Robertson (RP)

MIA獲得:David Robertson (RP)
NYM獲得:Ronald Hernandez (C)、Marco Vargas (3B)

実績あるリリーバー、David Robertsonを獲得。1点差ゲームには強いものの、前半の疲れが来ているのかリリーフ陣の失点が目立ちはじめていたので、絶対的クローザーを獲得できたのは大きいです。移籍後早々にセーブを失敗する場面もありましたが、期待値は変わらず。終盤に向けて頼りにしたい選手の一人です。
一方、マーリンズが今回放出したのは、ルーキーリーグでプレーする10代の選手2人です。共にルーキーリーグながら結果を残していますが、将来性はまだ未知数。伸びしろを考えた未来の話をしていたらキリがありませんし、現時点ではクローザーの補強が急務だったマーリンズとしては適切な補強だったと思います。

③Josh Bell (1B)

MIA獲得:Josh Bell (1B)
CLE獲得:Jean Segura (3B)、Khalil Watson (SS)

毎年のように打線における長打力が課題の中、Josh Bellを獲得。昨年はシルバースラッガー賞を獲得しながらも、今季はガーディアンズで11本塁打、長打率.383、OPS.701。復調の目があるとマーリンズが判断しての獲得だったと思われるのですが現時点ではその判断が大当たり。移籍後11試合で4本塁打、OPS1.039を記録し、チームに大きく貢献しています。
放出したJean SeguraはオフにFAで獲得したものの、攻守ともに精彩を欠き、大きく期待を裏切っていました。Bellは今オフにオプトアウトの権利を保有していますが、行使しなかった場合、来季は1650万ドルを支払う必要があり、スモールマーケット球団のマーリンズにとっては大きな支出です。そこで、今後1200万ドルの支払いが待っているSeguraをガーディアンズに引き取ってもらい、少しでも支出を抑える形となりました。
引き取ってもらうにあたり、チーム内上位プロスペクトのKhalil Watsonも併せて放出となりました。近いうちの昇格が見込めるJacob Amayaがいることに加え、伸び悩み+下記動画のような素行面で問題を抱えていたこともあり、マーリンズとしてはプロスペクトではあるものの大きな痛手ではないと判断したと思われます。

↓昨年ハーフスイングをストライクと判定されベンチに戻る際、スイングをとった1塁審判に向けて銃を打つようなしぐさを見せていました


④Ryan Weathers (SP)

MIA獲得:Ryan Weathers (SP)
SD獲得  :Garrett Cooper (1B)、Sean Reynolds (RP)

上述したBellの獲得に伴い、余剰戦力気味となったGarrett Cooperをパドレスへ放出。その見返りとしてRyan  Weathersを獲得しました。
Weathersは現時点で今季13試合に登板し、防御率6点台と結果を残せず。移籍後は8/5にリリーフとして登板しましたが3.2回6失点で、直後にマイナー降格となりました。
2018年ドラフト全体7位指名された選手で、潜在能力は充分あると思われます。投手育成が得意なマーリンズで成長を遂げ、来季以降にメジャーのローテーションに入り込むことが期待されます。

Cooperは今季、マーリンズにて打率.256、13本塁打でOPS.723。昨年は大体選出ながらオールスターに出場するなど、前半戦での活躍が特に印象的でした。今オフにFAとなること、更にBell獲得で出場機会が少なくなることから今回放出となりました。怪我さえなければもっと輝かしいキャリアにもなったかもしれないと思う選手ですが、今季はまだその怪我をしていません。パドレスではベンチプレイヤーの役割が大きいですが、大事なFAイヤーとなるので、パドレスでの活躍に期待です。

尚、今回のトレードではマーリンズTop30プロスペクトであるSean Reynoldsも放出しています。Reynoldsは2016年に4巡目で指名された投手で、203cmの長身が特徴のリリーフ投手です。22年にAA、今季にAAAまで到達し、7月にはMLBデビューも実現しました。残念ながら登板機会はなかったのですが、近い未来にペトコ・パークのマウンドに立つ姿を楽しみにしています。

⑤Jake Burger (3B)

↑加入を記念して球場内のハンバーガーが安くなったとか…

MIA獲得:Jake Burger (3B)
CWS獲得:Jake Eder (SP)

Seguraの不振に頭を抱えていたマーリンズがターゲットに定めたのは、ホワイトソックスのJake Burgerでした。
今季はホワイトソックスにて怪我&低調のYoan Moncadaの代わりにサードを守り、Moncada復帰中はDHで出場していました。
打率.227ながら26本塁打をマーク。課題の三塁を埋める大きな補強となりました。

また何より大きいのは28年まで保有できること。今季の成績が出来すぎな可能性もありますが、勝負を仕掛けた今季以降も戦力として期待できるのは嬉しい点。万が一不振になったとしてもマイナーオプションが1回残っているので選択肢は狭くありません。

獲得に際し放出したJake EderはAAに到達した21年にフレッシュオールスターに選ばれるなど、順調にステップアップをしていましたが、22年はトミージョン手術で全休していました。
来季中のメジャー昇格も予想されていましたが放出し、その代わりをWeathers に託し、来年のローテに入り込むことが期待されます。

トレードの総括

個人的に最も不安のあったリリーフ、特に絶対的守護神となるRobertsonを獲得できたのは大きいと思います。
更に野手でもウィークポイントだったサードをグレードアップ、しかも数年間任せられるBurgerの獲得は非常に大きかったと思います。
その為に放出したチーム内で上位プロスペクト先発投手のEderの代わりにWeathersを獲得、その為に放出したCooperに代わってBellを獲得…と各トレードが見事に繋がり、線になるトレードだった印象を受けました。

また獲得した選手は軒並み移籍後活躍しており、非常に効果的なトレードとなっています。
(Bellは活躍しすぎてこのままいけばSolerと共に今オフにオプトアウトを行使されてしまいそうですが…)

そして何よりも来年以降も保有できる選手を複数人獲得できたことが大きいです。Burgerは28年、Weathersは27年、Lopezは24年まで保有可能です。
特にBurgerは実質1年目、Weathersも結果を残せていない状況の為、今後どのような成績を残すか未知数な部分もありますが、今季のみが勝負期でないマーリンズにとって、来年以降も見据えたロースターを構成することが出来ました

TDL後の8/2に勝利した後は5連敗と一気に調子を崩したマーリンズでしたが、プレーオフの枠を争うレッズとの3連戦を勝ち越すと、ヤンキース相手にも4点差を逆転する勝利もあって勝ち越しに成功。現在3連勝とまたチームに勢いが戻ってきました。

以前投稿した記事にも少し書いたのですが、6月までは比較的勝率の低いチームとの対戦が多かったのに対し、8月以降は強豪チームとの連戦が続きます。また、同地区のフィリーズを始めプレーオフを虎視眈々と狙うチームが多く存在し、激戦となりつつあります。

強豪チームやプレーオフのライバルらとの戦いが続きます
出典:mlb.com

厳しい戦いが続きますが、戦力整備をうまく行えたマーリンズには是非とも激戦のプレーオフ争いを何としても勝ち抜いてほしいですね。

24年以降のマーリンズの展望(簡単に)

最期に、マーリンズの24年の展望を簡単に。
上述の通り、今回獲得したBurgerWeathersは長期の保有が可能となり来年以降もチームの柱となることが期待されています。
一方で、今オフにはJorge Soler(オプトアウト)やJoey WendleがFA予定。そして今回獲得したRobertsonもFA、Bellはオプトアウトを行使するでしょう。
ポジションの空くショートにはAAAのJacob Amayaの昇格に期待しつつ、必要に応じてJon Bertiを併用することが想定されます。Bellが守るファーストもLuiz Arraezをファーストに配置し、マイナーで無双状態のXavier EdwardsChisholm Jr.でセカンドとセンターを埋めることになると思います。
DHでの出場がメインだったSolerの代替は新戦力の獲得に期待したいところです。ここに関してはSeguraの放出で浮いた費用を有効活用して何とか獲得したいところ(決して潤沢な資金というわけではないですが…)。

Arraezがいる25年、またはSandy AlcantaraとJesus Luzardo、Trever Rogersらがいる26年あたりまでが勝負の年となると思います。

今後の展望に関してはまた別の機会に改めて投稿出来たら…

※ヘッダー画像は筆者撮影

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