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20220612-コンコン

朝4時に目覚めた。大丈夫になりたかったので、クッキーを作ることにした。私はお菓子作りが好きなわけではないけれど、お菓子作りをする人って大丈夫な人だから、それになりたかった。


この前、バスケサークルの1.2年でご飯を食べる会に行った。新入生歓迎みたいなやつ。バスケサークルのバスケをしない時の集まりなんて、自分には合うはずがないのに、少しの期待を抱きながら参加した。

1つの卓につき2本のボトルまでしか頼めないという店のルールがあった。私がりんごスカッシュを頼んだせいで、私の卓では1本のお酒を他の5人が飲み、りんごスカッシュを私が一人占めする形になった。このお酒を効率良く頼むことが不可能なシステムは、飲みのゲームの進行をたびたび妨げていた。

中学高校のバスケ部って連帯責任制度が大抵ある。1人の失敗で、全員が走らされるみたいなやつ。あの時の罪悪感は、部活が終わって家に帰った後も残る。そういうのがサークルにはないから良いよな〜と思っていたけれど、形を変えてその制度は生き残っていた。飲みのゲームで私が負けた場合、代わりに私の目の前に座っていた1年生が飲まされた。酒を飲まないくせに飲みのゲームが弱すぎるの最悪だ。本当にごめん。
特にほうれん草ゲームに弱かった。ほうれん草ほうれん草とか言ってリズム良く他の人に渡すみたいなゲーム。バスケをしないやつに限って、ほうれん草を渡すのが上手い。なんなんだあれ。

利き手とは反対の手でお酒を飲み、置く時にはコップを机に2回コンコンするというルールもあった。それを破るとお酒を一杯飲まされる。先輩は1年がこの失敗をしないか目を光らせていた。りんごスカッシュの私は、みんなに聞こえるようにコンコンしたら「ソフトドリンクのお前がコンコンする必要性はないだろ。」と言われる気がするけれど、しなかったらしなかったで別の人が代理として飲まされるのではないかとあれこれ考え、ずっと聞こえるか聞こえないかくらいの小さな音でコンコンしていた。

解散した後、よく分からない感情が色々こみあげてきて泣きながら帰った。比喩とかではなく、本当に。

そんな私が作るのが、さくさくチョコクッキー。私には、「しっとり」よりも「さくさく」の方が必要な気がした。エリック・カイザーのレシピらしい。
このレシピの最高なところは、冷蔵庫で生地を休ませるとか型でくり抜くみたいな工程がないところだ。スプーンですくって落とすだけでいい。本当にありがとう。
6時をすぎる頃には部屋はクッキーの匂いで満たされた。

クッキーを作る気力がある時点で、私はかなり大丈夫だ。もう少し大丈夫になったら、クッキーにくるみとか入れるんだ。

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