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ゴミからドレスは作れるのか?

ボンジュール🇫🇷

フランス流ECOファッション
スタイリストのドリです。

いつも読んで下さって
ありがとうございます♪


初めましての方、
これからどうぞよろしくお願いします。



私のニュースレターでは
フランス人女性の、

お洒落だけど、
肩肘張らない

自然体な着こなしや、


誰かの評価に頼った
他人軸ではなく、

「自分スタイル」という
自分軸をしっかり持った

コーディネートのコツを
シェアしていますが、



そんな

「我が道をゆく」代表の
フランスは、

政治面においても
例外ではなく、

世界を牽引するような
独特の法律を打ち出してきた

歴史を持っています。


つい先日は、
とある世界初の法案

フランスの国民議会(下院)を
全会一致で通過したとのニュースが

ファッション業界を
駆け巡りました。

そのニュースがこちらです。

   ▼▼▼
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フランス下院、SHEINなど
ファストファッション罰則法案を可決
低価格商品の広告が禁止に


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馴染みのない方にも
わかりやすいように

要約いたしますと、

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⑴ フランス下院が、低価格を記載した超ファストファッション*の広告(デジタル、SNSを含む)を禁止する法案を全会一致で可決した。

⑵ 製品に付き、5ユーロの罰金が2030年までに10ユーロとなる。納付された罰金は、持続可能な開発に取り組むアパレル企業への補助金に充てる。

⑶ 本法案が上院を通過すれば、2025年1月に施行され、フランスが世界に先駆け、法の下にファストファッションを規制する国となる。


(*Tシャツを100円台で販売しているようなアパレルメーカー)

【フランス流ECOスタイル™️通信】

▲▲▲


従来よりフランスは
ファッションにまつわる問題を

法で取り締まることにかけては
常に世界に先んじています。



例えば、
先月配信したニュースレターでは


2023年10月
お洋服のお直しや
靴を修理に出すと、

代金の一部を
フランス政府が負担してくれる


制度がスタートしましたよ〜!

(参照:「フランスでは服のお直しや靴の修理費用を政府が支援」

と、シェアしましたが、




実はその前年に当たる
2022年1月には、

世界初となる
【衣類廃棄禁止法】
が施行されています。

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✅ 企業が売れ残った新品の衣類を、
 焼却や埋め立てによって廃棄することを禁止

✅ リサイクルや寄付によっての処理を義務化

✅ 違反した場合は、最大15,000ユーロ(約240万円)の罰金

【フランス流ECOスタイル™️通信】


これら、立て続けに
施行されている政策からも
見てとれるように、

フランスは
ファッションが環境に与える
インパクトを少しでも抑えようと、


国を上げて抜本的に

そして

かなりのスピードを持って
取り組んでいます。



その中でも特に
ファストファッションは

愛着が湧きにくいモデルが多く、


中古市場でも
価値がつきにくいことから
「使い捨て」

され易いのですが、


それらの廃棄された衣類が
どこへ行くのかといえば、

南アジアや南米、
アフリカなど

いわゆる
『グローバルサウス』

と呼ばれる

新興国や、途上国です。


特に古着の輸入量が多い
地域:

ガーナ、チリと並ぶ
ケニアは、

衣類のごみの山が

深刻な環境問題を
引き起こしています。



そんなケニアの
ゴミ集積場には、

世界中から廃棄された衣類が
見渡す限り山積みにされた

《服の墓場》

と呼ばれる一帯があります。



とてつもない量のゴミが、
自然発火し異臭を放っているような

この忘れ去られた土地に、

「衣服の最終到達点が見たい」

と言って、
自ら現地へ赴いた

日本人の
ファッションデザイナー


がいらっしゃる事は
ご存知でしたでしょうか??



▼▼▼

▲▲▲


その方こそ、

日本からただ1人

パリのオートクチュール・
ファッションウィークで

コレクションを
発表しているブランド

『YUIMA NAKAZATO』
デザイナー

中里唯馬 氏です。



唯馬さんは、

世界的なデザイナーを
数多く輩出する名門校:

ベルギー・アントワープ
王立芸術アカデミーを

日本人最年少で卒業し、



2016年7月には
日本人として史上2人目

森英恵氏以来
12年ぶりとなる

パリ・オートクチュール・
ファッションウィーク

公式ゲストデザイナーの
ひとりに選ばれました。



プレタポルテ(=高級既製服)の
コレクションに参加している

日本人デザイナーは多いですが、

オートクチュール(=高級仕立服)組合へは
フランス政府が資金を出しているため、

現地法人設立などが求められ、
外国人の参入は困難とされる中


唯馬さんは
厳しい査定をクリアし、

精力的にコレクションを
発表し続けていらっしゃいます。

▼▼▼

YUIMA NAKAZATO COUTURE AW 2023 - 24


ですが、、、


訪れたケニアでは

捨てられた衣類の山に
衝撃を受けた上、

さらに残酷なメッセージ
突きつけられます。


なんと現地の方から

「もう服を作らないで」

と、言われたそうなんです。




『新しい衣類が作られては、
         捨てられる』


というファッションの
悪循環を断ち切り、


環境負荷を
できるだけ小さくしながら、

「新しい」ファッション
        を提案する。



というミッションを
ケニアで得た唯馬さん。



そんな彼の熱い想いが
投影された作品集こそ

2023 - 24年の秋冬クチュール
で発表された

【マグマ】


がテーマの
コレクションでした。

▼▼▼

YUIMA NAKAZATO COUTURE AW 2023 - 24


唯馬さんが現地で撮影された
ゴミの山の写真が、

赤く染められて
ドレスにプリントされているのですが、


まるで地球から湧いてくる
美しいマグマのように見えると、

モード業界人の間でも
話題のコレクションとなりました。



コートなどに使用した不織布は、
ケニアから持ち帰った

ゴミとなる服を粉砕して、
新しいマテリアルに再生されたとか。


唯馬さんはこう語ります。

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ナイロビのゴミの山は
衝撃的でしたが、

その画像を
赤く変換してみることで、

人工的なゴミがまるで
自然の風景の一部のようにも見え、


「ゴミとは一体何なのか」


という固定概念を揺さぶる表現に
したかった
のです。

その感情の高まりを
赤い色に込めました。




カラープリントは、
近年コラボレーションしている

セイコーエプソンの
プリンターを使用しています。

デジタル捺染の技術で
布に直接プリント
するので、

製作過程における環境負荷が
大幅に軽減されます。

インタビュー:渡辺 美津子さん「GLOSSY」

▲▲▲


実はこの、
ケニアへの旅に端を発し、

衝撃的なコレクション発表までの
過程を追った

ドキュメンタリー映画が

現在、日本で
絶賛公開中なんです!!


その名も、

『燃えるドレスを紡いで』

ゴミ山からドレスは作れるか ———。


▼予告編がこちら▼

▲▲▲


唯馬さんがご活躍されている
パリ・オートクチュールは、

そもそも

一部のセレブリティや
舞台芸術作品用の
受注生産で成り立つ業界です。


加盟店は、それこそ
泣く子も黙るハイブランドが
名を連ねていますが、

唯馬さんは、

オートクチュール・ファッションは

富裕層やレッドカーペットのためだけ
にあるのではなく、


「ファッションの未来を模索する
 実験の場でもある。」


とおっしゃっています。



実は、こう堂々と発言している
デザイナーは意外と少なく、

環境保護対策などの
倫理面でいうと、

曖昧にお茶を濁している
ハイブランドが多いのが現実です。



私達は、いち消費者として
価格帯や各ブランドの

マーケティングに
惑わされることなく、

ブランドのコンセプトや
デザイナーのストーリーに
着目していく必要があります。


映画『燃えるドレスを紡いで』


また、

「ハイブランドには縁がないから」

と言って、


廃棄サイクルの早い
ファストファッション企業に
お金を落としていると

周り回って、
いつかはツケを払うことに繋がります。



それは、

もしかしたら私達の世代ではなく、

子供たちの世代に
背負わせる事になるかもしれません。


————————————
服を選ぶ ということは、
未来を選ぶ ということ。
————————————


こういった意識変化が
個々人に広がることこそ、

高度資本主義化の
ファッション産業全体が

抜本的に変わっていく
大きなきっかけになると思っています。



ファッションを通じて
社会にインパクトを与え、


「人と衣服と地球が
 調和する未来を築く」


という唯馬さんの情熱と
革新的なアプローチが感じられる

ドキュメンタリー映画

『燃えるドレスを紡いで』

ゴミ山からドレスは作れるか ———。



ぜひ、ご自身の目で
ご覧になって下さいね。
劇場のリストはこちら


映画『燃えるドレスを紡いで』


もしお近くに
上映予定の劇場がない

という方は、

服飾史家の中野香織先生が
執筆された記事に


映画の写真も掲載されているので、
ぜひ、お読みになってみてください。

   ▼▼▼

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【中里唯馬が対峙する、
   ファッションと社会の未来】

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ファッション界の最高峰から
社会への挑戦を続ける

ひとりの日本人の姿に、

あなたもきっと、
感じる何かがあるはずです。




今号も、
最後までお読みいただき
ありがとうございました♡

また次回の記事で
お会いしましょう♬

Bisous, ドリ

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