ソフトバンク、「同一カード3試合連続サヨナラ勝利」はNPB史上5度目


2024年4月27日・28日・29日にみずほPayPayドームで行われた福岡ソフトバンクホークス対埼玉西武ライオンズの3連戦は大接戦となった。

なにかと因縁のある両チームだが、4月30日は、その両チームにゆかりのある、「球界の寝業師」こと根本陸夫氏の命日である。
根本陸夫氏は1999年4月30日、72歳でこの世を去ったが、西武ライオンズの初代監督であり、そして、福岡ダイエーホークスの3代目監督でもあり、しかも、両チームのフロントとしてそれぞれのチームの黄金時代を築く礎をつくった中心人物でもある。

根本氏が福岡の上空からみずほPayPayドームを見下ろして、気まぐれに試合を操っていたのではないかと思うほど、この3試合はどちらに転ぶかわからない展開だったが、最後に軍配が上がったのは・・・


4月27日 ソフトバンク2x-1西武(延長10回)

初戦となった4月27日、西武は金子侑司の今季1号となるソロホームランで先制すると、先発の今井達也が6回まで無失点という好投を見せたが、ソフトバンクは7回、2死二塁、代打・中村晃のタイムリー安打で同点に追いつき、試合はそのまま延長へ。
ソフトバンクは延長10回裏、西武4番手の増田達至を攻め立て、一死一、三塁のチャンスで、途中出場の川瀬晃がライト前にタイムリー安打を放ち、サヨナラ勝ちを収めた。
西武は今井が7回、111球を投げて、6奪三振、1失点と粘ったが、2死から中村晃への1球が誤算となり、1点のリードを守ってマウンドを降りることができなかった。

4月28日 ソフトバンク3x-2西武(延長12回)


翌4月28日、ソフトバンクは初回、西武先発の隅田知一郎から4番・山川穂高がタイムリー安打を放って先制したが、西武は3回、ソフトバンク先発の東浜巨を攻め、先頭の外崎の二塁打を足掛かりに、源田の一塁ゴロ(記録は「フィルダースチョイス」)の間に同点に追いついた。
ソフトバンクは7回裏、続投する隅田知一郎から甲斐拓也が今季1号となるソロホームランを放って勝ち越すと、西武も8回表、すぐさまソフトバンク2番手の松本裕から佐藤龍の犠牲フライで再び追いつき、そのまま2試合連続の延長戦へ。

両チーム、決定打が出ないまま、延長12回に突入、西武は一死満塁と勝ち越しのチャンスを迎えたが、外崎がサードゴロ併殺打に倒れ、無得点に終わり、この試合の勝利はなくなった。
その裏、ソフトバンクも二死満塁のチャンスとなり、打席に柳田悠岐を迎えたが、西武7番手のヤンが投じた外角へのストレートを、捕手・古市が後逸する間に、三塁から生還して(記録は「捕逸(パスボール)」)、ソフトバンクは2試合連続のサヨナラ勝ちとなった。
西武は先発の隅田が8回、121球、2失点と好投すると、8回に1度、追いつき、9回以降も走者は出したものの、勝ち越すことができず、西武ベンチも最後は「一人一殺」で必死の継投を見せたが、痛恨のバッテリーエラーで力尽きた。

4月29日 ソフトバンク5x-4西武

そして迎えた4月29日、西武先発は高橋光成、ソフトバンク先発はカーター・スチュアート・ジュニアで始まったが、ソフトバンクが2回に栗原のタイムリー安打で先制すると、西武は4回に中村剛也の今季3号ソロホームランで追いつき、5回には金子の今季2号3ランホームランが飛び出し、4-1とリードを奪った。
ソフトバンクは7回に高橋光成から1点を返したが、西武が4-2とリードしたまま、試合は9回裏へ。
西武は3番手のアブレイユが登板し、逃げ切りを図ったが、ソフトバンクは2死一、二塁のチャンスで、またも柳田に打席が廻ると、柳田は2球目を叩いて、右中間のスタンドに飛び込むホームラン。
ソフトバンクが同一カード3試合連続でサヨナラ勝ちを収めた。
西武は先発・高橋光成の7回、123球、8奪三振、2失点の力投も報われず、3試合連続のサヨナラ負けを喫した。

NPBで「同一カード3試合連続サヨナラゲーム」は史上5度目だが、その吉兆は?

NPBの長い歴史で、「3試合連続サヨナラ勝ち」を収めたチームは、ソフトバンクがのべ16チーム目で、自身1961年以来、63年ぶり2度目であるが、同一カード3連戦に限定すると、5チーム目である。

逆に「3試合連続サヨナラ負け」を喫するのは、埼玉西武ライオンズがのべ17チーム目で、自身23年ぶり3度目(1953年・2001年・2024年)となり、同一カードに限定すると5チーム目である。

「3試合連続サヨナラ勝ち」というと、チームに粘り強さがあって、さぞ強いチームだったのだろう、と思いきや、意外にも、過去4チームで、そのシーズンにリーグ優勝を果たしたのは1978年のヤクルトスワローズだけである。なお、ヤクルトはその年、球団創設初の日本一になっている。

2008年、岡田彰布監督率いる阪神タイガースは夏場までセ・リーグ首位を独走しており、しかも9月初旬に甲子園で「3試合連続サヨナラ勝ち」をやってのけて、3年ぶりのリーグ優勝への弾みがつくかと思いきや、その後、大失速し、巨人に逆転されてリーグ優勝をさらわれている。

一方、「3試合連続サヨナラ負け」を喫した4チームも、弱くてチーム状況が最悪だったのかと思いきや、そのシーズンに最下位になったチームはない。
2017年の広島カープに至っては、2年連続のリーグ優勝を果たしている(ただし、クライマックスシリーズで敗れて日本シリーズには進出していない)。

ソフトバンクは前身の南海ホークスが1961年に、鶴岡一人監督の下で、3試合連続サヨナラ勝ちを収めているが、そのシーズンはリーグ優勝を果たしている。

一方、西武は前身の西鉄ライオンズ時代の1953年(三原脩監督)、西武ライオンズの2001年(東尾修監督)に、3試合連続サヨナラ負けを喫しているが、いずれもリーグ4位、3位という成績で終わっている。

果たして、今季のソフトバンクと西武にとって、3試合連続のサヨナラゲームはどんな吉兆となるのだろうか?




この記事が参加している募集

野球が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?