NPB選手登場曲 使用最多アーティストトップ10【2021年版】

NPB所属のプロ野球選手がホームでの試合で、マウンドに向かう際、打席に向かう際に、自身の登場曲を流すようになって久しい。


おそらく、NPB12球団で最初に、選手ごとの登場曲を流すようになったのは、1990年代前半で、かつてのオリックス・ブルーウェイブ(現在のバファローズ)が最初とされている。

オリックス・バファローズ戦の実況を担当するフリーアナウンサーの大前一樹さんはインタビューでこう答えている。

(上記の記事から引用)
大前:今は多くのチームで選手が打席に入る時に出囃子というか登場曲をかけていますけど、それもこの時にオリックスが最初なんですよ。

木村君がターンテーブルを置いて、レコードを回してやっていた。流す曲も、初めの方はこちら側が「こんな曲どうですか?」って選手に聞いていたんですけど、そのうち選手の方から「この曲をかけてください」って言ってくるようになって、今のような形になっていきました。

(引用終わり)

「木村君」とは、オリックスが1991年に本拠地を神戸に移転し、日本球界初、男性による場内アナウンス担当として採用された木村芳生氏のことである。
木村さんは、"DJ KIMURA"としてグリーンスタジアム神戸(現在のほっともっとフィールド神戸)のスタジアムDJを務めるようになった。

(上記の記事から引用)
―確か、90年代のグリーンスタジアム(オリックスの本拠地)に流れる音楽は、明らかに他の野球場とは一線を画するものがありました。あと、選手の登場曲。あれも、オリックスが他球団先駆けて演出として取り入れましたが、木村さんがそれを大きく変えたと聞いています。

木村:選手ひとりひとりにヒアリングして、その選手の希望を聞きながらも、僕がそれぞれの選手に持つイメージで、僕なりに選曲したんです。当時のオリックス球団は、新しいことへのチャレンジに対して理解がありましたし、選手の皆さんも、協力的で。

(引用終わり)

その後、選手自身がマウンドや打席への登場曲を選ぶようになるのが当たり前となった。

最近、NPBの各チームは公式サイトに所属する選手ごとの登場曲を公表している。
チームによっては、音楽配信サービスでプレイリストとして公表しているところもある(東京ヤクルトスワローズなど)。

そこで、2021年に各チームが公表している選手の登場曲についてアーティスト別に集計し、登場曲としてもっとも使用されているミュージシャン、アーティスト、グループを10組、紹介したい。
(ただし、チームによっては、育成選手、現役引退した選手、退団した選手について、登場曲を載せていないところもある)


9位 湘南乃風 12人

湘南を中心に活動していた4人によって2001年に結成されたヒップホップグループ。
2006年に5枚目のシングル"純恋歌"、2007年に"睡蓮花"がヒット。
2016年には"ライバル"が第98回全国高校野球選手権大会の地方予選大会中継番組応援ソングとして使われた。

・"BIG UP":千賀滉大(ソフトバンク)、伏見寅威(オリックス)
・”いつか":甲斐拓也(ソフトバンク)
・"親友よ":京田陽太(中日)
・"SHOW TIME":石川昴弥(中日)

9位    Mr.Children 12人

ボーカル兼ギターの桜井和寿らが同じ高校の同級生を中心に結成したグループが母体となり、1989年に"Mr.Chidren"と改名し、1992年にメジャーデビュー。
1993年に、シングル"Cross Road"がテレビドラマの主題歌としてヒットし、100万枚を超える売上を記録すると、続く、”innocent world"も100万枚を超え、1994年の日本レコード大賞を受賞した。
さらに、"Tomorrow never knows"が200万枚を超えるメガヒットとなり、日本を代表するロックバンドにのし上がった。
これまでリリースしたシングルで10作品、アルバムは14作品が売上100万枚以上を記録している。

・"終わりなき旅":雄平(前ヤクルト)、藤浪晋太郎(阪神)、本田圭佑(西武)
・"足音~Be Strong" :安田尚憲(ロッテ)、岩嵜翔(前ソフトバンク、現中日)
・"Tomorrow never knows":西勇輝(阪神)
・"HANABI":藤浪晋太郎(阪神)
・"蘇生":銀次(楽天)

7位 EXILE  13人

1999年に、ダンスボーカルグループ"J Soul Brothers"として結成され、新ボーカルのATSUSHIらが加入するなど、メンバーチェンジを経て、2001年に”EXILE"と改名、メジャーデビュー。
2003年に3枚目のアルバムが100万枚を超えるヒットとなった。
2006年に新ボーカルのTAKAHIROが加入して、第二章として再開。
2008年にはアルバム”EXILE LOVE"が年間売上首位になり、CD、DVDなどの総売上が200億円に達するなど、押しも押されもせぬグループとなった。
2009年から第三章、2014年から第四章を迎え、2015年8月、28枚目のシングル「Ti Amo」がグループ初の200万ダウンロードを超えた。
これまでアルバム6作品、楽曲8曲がミリオンセラーとして認定されている。

2021年シーズン限りで引退した松坂大輔(前西武)は、引退試合でかつて登場曲として使用していた"real world”をバックに最後のマウンドに向かった
(なお、松坂大輔は13人には含まれていない)

・"real world":西川龍馬(広島)、黒川史陽(楽天)
・"MAKE A MIRACLE":秋山拓巳(阪神)
・"もっと強く":秋山拓巳(阪神)
・"銀河鉄道999":蝦名達夫(DeNA)、姫野優也(日本ハム)
・"Victory":牧原大成(ソフトバンク)

7位 Official 髭男dism 13人


島根大学の学生を中心に2012年、結成された4人組のグループ。
通称"ヒゲダン"。
2018年に"NO DOUBT"でメジャーデビュー、2019年に"Pretender"がBillboard Japan Top100で週間1位を獲得すると、その年のNHK紅白歌合戦にも初出場を果たした。
2021年にリリースした”Cry Baby"が、自身10曲目となるストリーミング1億回再生を突破した。

2019年、夏の甲子園大会を中継する朝日放送(ABC)の夏の高校野球応援ソング、「熱闘甲子園」テーマソングとして、"宿命"が使用されたが、その大会で準優勝を果たした星陵高校のエース、奥川恭伸(ヤクルト)がプロ入り後に登場曲で使用している。

・”宿命”:奥川恭伸(ヤクルト)
・"Cry Baby":北條史也(阪神)、京山将弥(DeNA)、太田光(楽天) 
・"イエスタデイ":田村龍弘(ロッテ)、谷内亮太(日本ハム)ほか
・"パラボラ":茂木栄五郎(楽天)
・"Laughter":茂木栄五郎(楽天)、池田駿(楽天)
・"Stand By You":伊勢大夢(DeNA)

5位 ベリーグッドマン 14人

2013年に結成された大阪出身の3人組によるボーカルユニット。
メンバーのMOCAは1988年生まれで、延岡学園野球部に在籍し、3年生の時、2006年春夏連続で甲子園にも出場を果たし、スタンドで応援している。
斎藤佑樹(前日本ハム)、田中将大(楽天)、前田健太(ツインズ)、坂本勇人(巨人)らと同級生にあたる。
プロ野球選手が彼らの楽曲を登場曲として最初に使用したのは、同学年にあたる増田達至(西武)で、その後、広島カープに在籍していた前田健太が彼らの楽曲「1988」を気に入り、前田の登場曲にオリジナルの楽曲「1988~やったりますけん ver.~」を提供した。
2016年にメジャーデビューを果たした。
2018年以降、西武の本拠地・メットライフドームでの試合後にライブを度々、行っている。

2020年に春のセンバツ、夏の甲子園大会が相次いで中止になったことを受け、6月には、球児を励ます意味を込めて、阪神甲子園球場で初のスタジアムライブを無観客で行った。
このライブの趣旨に賛同した現役プロ野球選手19名とのコラボレーションで制作されたミュージックビデオ「ライトスタンド~すべての球児たちへ~」がスコアボードから流された。
 <参加した選手>
 前田健太(ミネソタ・ツインズ)
 ソフトバンク:今宮健太、川瀬晃、栗原陵矢
 阪神:岩田稔、小幡竜平、遠藤成、西純矢、井上広大
 広島:遠藤淳志
 巨人:大江竜聖、髙橋優貴
 オリックス:T-岡田、頓宮裕真
 ロッテ:中村稔弥、西巻賢二
 西武:増田達至、森友哉、山川穂高
(所属チームは当時)



・"ライオン":増田達至(西武)、大江竜聖(巨人)、内田靖人(楽天)、山本拓実(中日)
・"ハイライト":中野拓夢(阪神)
・"ウグイス":岩田稔(阪神)
・"ライトスタンド":楠本泰史(DeNA)、山下航汰(前巨人)
・"ドリームキャッチャー":太田椋(オリックス)


5位 嵐 14人

ジャニーズ事務所に所属する5人で結成され、1999年にシングル"A・RA・SHI"でデビュー。
国民的なアイドルグループとして、長きにわたってトップに君臨し、平行して各人も俳優、司会、キャスターなど幅広く活動を続けてきたが、2020年12月31日を以って惜しまれつつ、無期限で活動休止となった。
ファンクラブの会員数は2020年当時で、300万人を突破していた。

荻野貴司(ロッテ)は登場曲に"BRAVE"、"Step and Go"、"Friendship"と3曲も使用している。

・"カイト":松田宣浩(ソフトバンク)、太田賢吾(ヤクルト)、鈴木誠也(広島)、堂上直倫(中日)
・"君のうた":角中勝也(ロッテ)
・"Power of the Paradise":小島和哉(ロッテ)
・"果てない空":涌井秀章(楽天)
・"A・RA・SHI":直江大輔(巨人)
・"感謝カンゲキ雨嵐":松葉貴大(中日)

4位 AK-69  15人

AK-69(武士尋己)は1978年生まれのヒップホップMC。
愛知県出身であり、中日ドラゴンズ元監督の谷繫元信もAK-69のファンと公言していたことからドラゴンズとの縁が深い。
ドラゴンズの2014年のチームスローガン「START IT AGAIN 強竜再燃」は、AK-69が2013年にリリースした曲"START IT AGAIN"から着想を得ており、その年、ナゴヤドームでのホームゲーム試合前にAK-69が登場して、この曲を披露している。
その頃から現在に至るまで、プロ野球選手の登場曲によく使用されている。

2017年に、坂本勇人(巨人)のために、"KINGPIN FOR SAKAMOTO"を書き下ろしで提供しているが、中日ファンにもかかわらず、巨人の選手の登場曲を手掛けた背景には谷繁氏の仲介があったようである。

・”KINGPIN FOR SAKAMOTO":坂本勇人(巨人)
・"On Fire(AK-69、般若、青山テルマ)”:今永昇太(DeNA)
・"Flying B":勝野昌慶(中日)
・"Divine Wind - KAMIKAZE":佐野皓大(オリックス)水上由伸(西武)、西純也(阪神)

3位 GReeeeN 17人

GReeeeNは2007年結成の4人組ボーカルグループ。
結成当時、メンバー全員が歯学部在籍の学生であり、歯科医になった現在まで本名・顔など正体を隠して音楽活動を行っている。
2020年にNHK紅白歌合戦に初出場した際も、ARによる映像演出でのパフォーマンスであった。

2008年にリリースした「キセキ」は、甲子園を目指す高校球児をテーマにした人気漫画を原作にした映画「ROOKIES(ルーキーズ)」の主題歌となり、当時、プロ2年目でブレイクしたての坂本勇人(巨人)が使用するようになった。
「キセキ」は2009年の第81回選抜高等学校野球大会において、開会式入場行進曲に採用された。
「日本で最も多くダウンロード販売された曲」としてギネス記録に認定されている。

2016年、「遠くの空 指さすんだ」は山田哲人(ヤクルト)の登場曲としてGReeeeNが書き下ろした楽曲で、ミュージックビデオには山田本人もユニフォーム姿で登場している。

2018年にリリースされた「刹那」は、能見篤史が阪神在籍時代から登場曲として使用しているが、最後の歌詞である「自分信じて」を「能見信じて」と歌い直した特別バージョンが使われている。

・"キセキ":坂本勇人(巨人)
・"遠くの空 指さすんだ":山田哲人(ヤクルト)
・"アカリ":近藤健介(日本ハム)
・”刹那”:能見篤史(阪神)
・"愛唄":星知弥(ヤクルト)
・"Green Boys":和田康士朗(ロッテ)、岡林勇希(中日)

1位 ONE OK ROCK 18人

TAKAらを中心に2005年に結成された4人組のオルタナティブ・ロックバンド。本来、「ワンオクロック」と読むが、海外では「ワンオーケーロック」と読ませる。
2010年に「完全感覚Dreamer」がスマッシュヒットとなる。
2013年に欧州・アジアでの海外ツアーを成功させると、2014年には米国ニューヨークで公演を行い、2015年に米国でも大手レコード会社のワーナーミュージックと契約した。海外でのライブ活動も盛んである。

"Wasted Nights":戸郷翔征(巨人)
"The Beginning":加治屋蓮(阪神)、細川成也(DeNA)、金子千尋(日本ハム)
”Nobody's Home":ジョー・ガンケル(阪神)
"Change":小笠原慎之介(中日)
"Yes I am" :高梨裕稔(ヤクルト)

1位 BTS 18人

BTS(防弾少年団)は2013年に結成された、韓国出身の7人組のボーイズグループ。2014年に日本でもデビューしたが、その後、世界的に大人気を博すグループにまで成長した。
2020年に初めて英語詞で歌った"Dynamite"は米国のビルボード Hot 100でアジア人初の初登場1位を記録し、その後も、"Butter"など立て続けにヒットを連発している。

・"Dynamite":曽根海成(広島)、武田翔太(ソフトバンク)
・"Stay Gold":廣岡大志(巨人)、鈴木誠也(広島)
・"Butter":中村悠平(ヤクルト)、西川龍馬(広島)
・"Permission to Dance":伏見寅威(オリックス)


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