高橋遥人(阪神)、100球未満完封勝利でマダックス達成、チーム11年ぶり快挙

阪神タイガースの若き左腕、高橋遥人が、また大仕事だ。

阪神投手で11年ぶりの「マダックス」達成

10月2日の甲子園での中日戦、中6日で先発した高橋は、初回3点の援護をもらって危なげない投球を続け、8回終了時点で被安打4、6奪三振、無四球、無失点。

高橋は2試合連続完封勝利が懸かった最終回、先頭の京田陽太にセンター前ヒットを許すも、続く、代打・福留孝介を空振り三振、大島洋平をセカンドゴロに打ち取り、2死。ここまで95球。そして、4番のダヤン・ビシエドを2球でサードゴロに打ち取り、ゲームセット。見事、97球で完封勝利を挙げ、今季3勝目(1敗)をマークした。
被安打5、7奪三振、無四球、という堂々の投球内容だった。
高橋はストライクゾーンの低めを突く制球も、直球の球威も見事で、中日打線も早いカウントから打って出ざるを得ない中での「省エネ」完封だった。

高橋遥人、27イニング連続無失点


高橋遥人はプロ4年目の今季、先発でのフル回転が期待される中、右わき腹の筋挫傷により大きく出遅れた。チームが首位をひた走る中、高橋は二軍でじっくりと調整を行ってきた。
そして、ようやく今季初登板・初先発となった9月9日のヤクルト戦では初回に5失点と崩れ、4回6失点で降板したが、続く9月18日の中日戦に先発すると、7回10奪三振、無失点で今季初勝利を挙げた。
さらに、続く9月25日の巨人戦では13奪三振でプロ初完封勝利を挙げており、9月9日のヤクルト戦の3回から「27イニング連続無失点」を継続している。


阪神左腕、29年ぶりの2試合連続完封勝利

しかも、タイガースの投手が2試合連続で完封勝利を挙げるのは、2020年の西勇輝(9月11日・広島戦、9月17日・巨人戦)、左腕投手となると、1992年の湯舟敏郎(9月10日・広島戦、9月16日・広島戦)以来、29年ぶりの快挙となる。背番号「29」の先輩、井川慶も成し遂げていない快挙である。

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また、これでNPBでは今季、3度目となる、先発投手による100球未満での完封勝利=「マダックス」の達成となった。


“先発投手の勲章、「マダックス」とは?


 MLBでは、先発投手が1試合100球未満で完封勝利を挙げることを、通算355勝を挙げた偉大な投手、グレッグ・マダックスに因み、「マダックス(Maddux)」と呼ぶようになった。マダックスは1980年代からアトランタ・ブレーブス、シカゴ・カブスなどで活躍し、「精密機械」との異名をとるほどの制球の良さで、通算355勝のうち、35勝を完封勝利で記録しているが、そのうち、1試合100球未満での完封が13度もある。1998年、米国のスポーツ記者のジェイソン・ルークハートが、マダックスが1試合100球以内で完封した試合を観戦した時に、「マダックス」と呼ぶようになった。ちなみに、マダックスは1997年に、1試合76球で「完投」したことがある。その時、マダックスが投じたボール球はたった13球だったという。”

NPBでの2010年以降の「マダックス」達成投手



NPBでの2010年以降の「マダックス」達成投手を振り返ってみよう。

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高橋遥人はタイガースの投手としては、2010年9月12日の秋山拓巳以来となる「マダックス」達成であり、甲子園球場での達成もそのとき以来である。

面白いことに、現在、タイガースに在籍するチェン、西勇輝も、以前、所属したチームで達成しており、タイガースにはマダックス達成投手が4人もいるということになる。

また、今季は小川泰弘(ヤクルト)、早川隆久(楽天)に続いて3人目の達成となっており、これは2010年以降では2012年シーズンの4人に次いで多い。

阪神は9月22日に首位をヤクルトに明け渡し、現在、1ゲーム差をつけられて2位。9月下旬、巨人と敵地・東京ドームでの3連戦を2勝1分けで乗り切ったものの、広島には甲子園でよもやの3連敗を喫した。

打撃陣は、チーム最多本塁打の佐藤輝明の絶不調、主力も得点力が落ち、広島戦ではチャンスで一本が出ない状況が続いた。
先発陣は、西勇輝が不調、前半戦を牽引した青柳晃洋も、後半戦3連敗とやや苦しい。だが、そんな中、「未完の大器」ともいえる左腕が還ってきた。

高橋遥人の次回先発は、10月8日からの首位・ヤクルトとの3連戦(神宮)が予想される。自身3試合連続での完封勝利への期待も懸かるが、まずは直接対決でチームを救う投球を見せたいところだ。

タイガース16年ぶり悲願の優勝の奪還に、25歳の左腕への期待が高まる。

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