佐藤輝明(阪神)、59打席連続無安打でストップ

阪神タイガースの新人・佐藤輝明がついに、暗く長いトンネルから抜け出した。

10月5日、横浜スタジアムでの阪神対DeNA戦、阪神は初回、DeNA先発の坂本裕哉から中野拓夢のタイムリー安打、大山悠輔のタイムリー安打で2点先制すると、「7番・ライト」で先発出場した佐藤輝明が2死一塁の場面で打席へ。
ここまで59打席連続ノーヒットのNPB野手ワースト記録に並んでいた佐藤は、2ボール・2ストライクからの5球目を叩くと、鋭い打球はDeNA一塁手の牧秀悟が飛びついたグラブ横を素早くすり抜け、ライト線寄りに転がる。
DeNAの右翼手のタイラー・オースティンが打球に追い付いて内野に返球する頃には、一塁走者の大山が三塁を廻ってホームに悠々と到達した。
ハマスタの電光掲示板の「H」に赤いランプが灯る。
タイガースベンチにいる選手たちはみな、一様に両手を突き上げ、佐藤に祝福の合図を送る。それに気づいた佐藤も一塁ベース上でタイガースベンチに向かって右手人差し指を突き上げ、肩の荷を下ろすかのように、そのまま右腕を振り下ろしてガッツポーズ。思わず照れくさそうな笑みがこぼれた
(その後、一塁手である同じく大卒新人の牧秀悟から一言、声をかけられ短く挨拶を交わしたようだ)。

佐藤は8月21日の中日戦(バンテリンドーム)の第4打席で、中日の又吉克樹からセンター前にヒットを放ち、翌8月22日の中日戦の第1打席で凡退してから続いてきた連続打席無安打記録についに終止符が打たれた。

画像1



佐藤輝明は9月26日、東京ドームでの巨人戦に先発出場し、第1打席で四球を選んだが、47打席連続無安打となり、セ・リーグの野手では1959年の吉沢岳男(中日・捕手)、2016年の荒木雅博(中日)と並んだ。第2打席では1950年の山下健(阪急)が持つ新人野手で最長、また阪神の球団記録を持つ1978年の上田二朗(投手)と並ぶ48打席連続無安打となり、第3打席では四球を選んだが、49打席連続無安打。
第4打席でもセンターライナーに倒れ、NPB新人記録である1950年の秋山登(大洋・投手)の50打席連続無安打に並んだ。

休養日を挟んで9月28日の甲子園での広島戦、7番・ライトで先発出場したが、第1打席で見逃し三振に倒れて、51打席連続無安打で新人記録を更新、さらにファーストゴロ、空振り三振と3打席ノーヒットに終わり、1993年にケルビン・トーベ(オリックス)がつくったNPB野手の1シーズンでの連続打席無安打記録である53打席に並んだ。

翌日9月29日、広島戦では先発を外れ、5回無死三塁の場面で代打で登場したが、レフトフライに倒れ、ついに54打席連続無安打のNPB野手新記録を更新した。

こうなるともう上には投手しかいない。佐藤は10月1日の中日戦(甲子園)でも代打で登場したが、セカンドゴロに倒れた。翌10月2日は先発に復帰したものの空振り三振、ファーストゴロ、空振り三振、セカンドフライで、ついに59打席連続無安打。

ついに複数シーズンにまたがった連続打席無安打記録である、2016年ー2018年の岡田幸文(ロッテ)の59打席にも並んでしまった。

だが、明けない夜はないと言うように、佐藤輝明にも再び光射す、「輝く明ける」瞬間が訪れた。
佐藤が初回に放った今季96本目の安打は、ライト前ヒット、しかも61打点目となる中押しの貴重なタイムリーとなり、タイガースの4連勝と、先発・青柳晃洋の今季11勝目を引き寄せた。首位・ヤクルトとの1ゲーム差を維持した。

あとは佐藤輝明に渇望されるのは8月19日、東京ドームでのDeNA戦で放った23号本塁打以来、66打席も遠ざかっている一発だ。
タイガースは残り16試合。NPB新人シーズン本塁打記録である、1959年の大卒新人・桑田武(大洋)、1986年の高卒新人の清原和博(西武)が持つ31本塁打の更新は難しくなりつつある。
セ・リーグの新人王争いも、佐藤が59打席連続無安打に苦しんでいた間、広島の絶対的なクローザーである栗林良吏、DeNAで史上初の新人サイクル安打をマークした牧秀悟に逆転された感はある。
だが、佐藤の一発が、タイガース悲願のリーグ優勝を引き寄せるためには欠かせない。早く特大の一発が欲しいところだ。

画像2



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?