NPBクライマックスシリーズファイナルステージを大胆に予想する

NPBではクライマックスシリーズのファイナルステージが今日10月18日から始まります。

セントラル・リーグは、リーグ優勝の阪神タイガースとリーグ2位の広島カープとの間で、
パシフィック・リーグは、オリックス・バファローズと千葉ロッテマリーンズとの間で争われます。

セ・パともに優勝チームが2位のチームに10ゲーム以上も引き離しており、かつ1勝のアドバンテージが与えられていますので、普通に考えれば、優勝チームがそのまま日本シリーズへ、と思いがちですが、今季はちょっとした「波乱」が起きるのではないかと思っています。


その① ペナントレース終了からクライマックスシリーズファイナルまで試合間隔が空きすぎている



これは再三、指摘されることですが、リーグ優勝を早く決めすぎたり、ペナントレース終了から間隔が空いてしまうと、選手の調整が難しくなる、というものです。

特に打者は真剣勝負の中で生きたボールを見て打つ、という練習がなかなかできません。
阪神タイガースは苦肉の策として、フェニックスリーグに一軍の主力選手を送り、調整に充てていました。

クライマックスシリーズファーストステージを勝ち上がったチームはシーズンの疲れを癒す間もなく、当然、優勝チームの選手たちより疲労は蓄積しているでしょう。
しかしながら、ペナントレースの延長だと思えば、エンジンを切らずに勝負に臨めるという利点もあります。

MLBのポストシーズン争いでは、シーズン100勝以上を挙げたドジャース、オリオールズ、ブレーブスが早々に姿を消しています。
特にドジャース、オリオールズは1勝もできず、3連敗のストレート負けを喫しています。

ドジャースに至っては同じ地区で16ゲーム差をつけたダイヤモンドバックスに3連敗しています。

この理由として、レギュラーシーズンからポストシーズン初戦までのインターバルが長すぎたのでは?ということが指摘されています。

やはり短期決戦では何が起こるかわからない、というのが現実だと思います。


その②ファーストステージ勝者は「短期決戦モード」に入っている



セ・リーグのファーストステージ、広島カープがDeNAベイスターズに2連勝で突破しましたが、新井貴浩監督は実に臨機応援な采配を振るい、選手たちもそれに応えました。

初戦は2点ビハインドの劣勢から、すぐに1点を返して、さらに8回に先頭のマクブルームが四球で歩くや否や、代走・羽月を送り、次打者の矢野が初球でバントを決めると、続く菊地の場面でやはり初球に羽月が三塁盗塁を決める鮮やかな「足攻」。
さらに、菊地がスクイズを決めて、あっという間に同点に追いつきました。

さらに、同点の9回には無死一塁から4番の堂林翔太にバント。サヨナラにはならなかったものの、形はつくりました。
延長に入ると、先発ローテーションの柱である九里亜蓮をマウンドに送りました。
新井監督のこうした執念の采配が実を結んだのか、カープは結局、延長11回に秋山翔吾のサヨナラ打で勝利しました。

第2戦の6回は代打・末包が貴重なホームランで2点リードとした後に、無死一、二塁のチャンスで、初回先制ホームランを打っている3番・西川龍馬にバントを命じ、きっちりと決めました。
その後も、4番・堂林に代打・松山竜平を送るなど、どんどんカードを切りました。

ここで大事なのは、新井監督の采配に躊躇が感じられないところです。

セイバーメトリクス的には犠牲バントや盗塁は得点期待値を下げることは論を待たないのですが、やはりここぞという時に、走者を確実に塁に進めるという作戦は選手にとってもわかりやすい戦術です。
短期決戦では回が浅い段階で積極的に動くことで自分たちのペースをつくることは大事なことだと思います。
カープはファーストステージの2戦で、首脳陣と選手がともに「短期決戦モード」に入ったといえるでしょう。

その③「ダメモト」がリラックスを生む



パ・リーグ2位の千葉ロッテはファーストステージで3戦目までもつれましたが、最後、藤岡裕大の同点3ラン、安田のサヨナラ打という劇的な勝利で、ファイナルステージ進出を果たしました。

マリーンズナインは特に最終回、0-3という劣勢を跳ね返したことで、普通に勝利するよりも、明らかに気分が高揚したままで、ファイナルステージに乗り込むことができます。

ファーストステージを3戦、戦ったことで、選手たちは疲労感も増しますし、第3戦に小島を先発させたことで、ファイナルステージの頭で小島を起用することができなくなるのは非常に痛かったですが、そんな劣勢を忘れさせるくらいのドラマティックな勝利でした。

対するオリックスのほうは、先発ローテーションが山本由伸、宮城大弥、山﨑福也、東晃平、田嶋大樹とリーグ屈指の好投手が続きます。
特に山本、宮城はマリーンズがシーズン中も打ちあぐねた投手です。
普通に考えたら、マリーンズ攻撃陣は苦戦が予想されますが、レギュラーシーズンとは明らかに違った手を打つことも考えられます。

野手からすれば、どうせレギュラーシーズンで、打てなかったのだから、と開き直ることができ、頭を整理して臨むこともできるでしょう。

マリーンズの選手たちには、日本シリーズに進出して、また谷保さんの出番をつくってあげたい、という思いもあると思います。



その④ 優勝チームの「横綱相撲」の難しさ



セ・パともに10ゲーム以上の差をつけての優勝となれば、当然、日本シリーズに進むべきだし、負けるわけがない、という雰囲気がチーム内にも、ファンの間にも漂います。

レギュラーシーズン通りやれば、勝てる、と思いがちです。

優勝チームが初戦から勝利すれば、一気に突破モードに入れるでしょう。

しかし、広島、ロッテがファーストステージの余勢を駆って、初戦に勝利するようなことがあれば、その時点でイーブンになります。

しかも、リーグ優勝チームはついつい「横綱相撲」を取ろうと思いがちです。
首脳陣もレギュラーシーズンでうまくいってきたことを、1敗しただけでいまさら変える必要はない、となり、つまり、臨機応変な手がどんどん打ちにくくなります。


クライマックスシリーズの意義については賛否両論が収まる気配はありませんが、2位チームは「失うもののない」強みで立ち向かっていけば、面白い試合になるのではないでしょうか。
そうした緊張感とリラックスが入り混じる中で試合をすることは、首脳陣・選手たちの野球人生にプラスにはたらくことは間違いないと思います。

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