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けふこ月報 2023年10月

近況


学期はじめのもろもろの難問を日々打ち返していたら10月が溶けてしまいました。10月10日以降、舞台や演奏会に行った記憶がありません。『アイドリッシュセブン』のゲーム本体のメインストーリーを通読したことが強烈に印象に残っています。登場人物が他人とは思えなくなる鮮やかな描写にささえられた、よく考えられた音楽ビルドゥングスロマンです。
茫然とします。

昨年の大きな手術から1年たちます。毎月の猛烈な婦人科系強制リセット(婉曲表現)から解放され、それはそれで懸念材料が減りましたが、気鬱が消え去ったかと言われるとそうでもありません。
心身を休められない生活は逆にきびしい。
ここまで自分の心に蓋をしていままでもろもろの痛みをやりすごしてきたような気がします。
私の使命は文章を書いて翻訳することなので、その使命に帰りたい。
どこかで一度生活を立て直したいです。
城(概念)に匿われて集中して仕事がしたい。

年内の観劇はおそらくシアターコクーン制作『ガラスの動物園/消えなさいローラ』と村正双騎で終わりです。日生劇場のヘンツェ/三島由紀夫《午後の曳航》と新国立劇場のシェイクスピア・ダブルビルも見たかったけれど、雰囲気に呑まれてチケットをとってはいけないと反省しました。
3月にセタパブ界隈で古代ギリシア文学翻案ものがいくつかあります。
そちらにかけたい。お財布とスケジュールと相談です。

出版・登壇情報

「澁澤龍彦と吉田健一 それぞれの島宇宙で」を寄稿した『吉田健一に就て』(川本直・樫原辰郎・武田将明編、国書刊行会)が刊行されました。
どうぞよろしくお願いいたします。
https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336075376/

『吉田健一について』書影。ぜひお近くの書店でお求めください。


私以外はたいへん豪華メンバーです。
澁澤龍彦と吉田健一という、博物誌的関心に立って自らこそ文学の正統だと説いてやまず、それぞれに「文学の楽しみ」の道を説いた二人にはほぼ接点がありませんでした。それぞれの文体に相容れないものすら覚えていたといいます。「澁澤龍彦と吉田健一 それぞれの島宇宙で」では、彼らの「文学の楽しみ」の背景にあるものを考察しました。澁澤龍彦のピカレスク文学研究が抵抗への思索に貫かれていて、正統的なエソテリズム研究を跡づける試みに支えられていた話とか、「酒と友に囲まれた宰相御曹司こと乞食王子」のセルフイメージにつつまれた吉田健一の芸風が思った以上に剣呑だった話などを書いています。

関連イベントが11月23日に駒場(東大駒場キャンパス)で開催されます。
シンポジストとしてお招きいただきました。
私以外はたいへん豪華メンバーです。
劇団あはひによる『ソネット』のリーディング公演もございます。
ぜひご参集ください。



登壇情報


ゆにここカルチャースクール 創作する人のための歴史創作と歴史叙述
弥生神社講座
おかげさまで好評です。ありがとうございます。
ゆにここカルチャースクールの私の講座も11月・12月も開講されます。

途中から受講可です。よろしくお願いいたします。
次の弥生神社講座の私の回は来年になる予定です。またお知らせします。

12月に2点ほど学術イヴェントに登壇します。やっと専門領域のコアでディープなお話ができます。当分はこの準備にかかります。
またお知らせします。

服飾事情と台所事情

来年度から新規出講先が増えたのと重い会合がいくつか続く日々で、新しくポール・スミスでジャケツを買いました。チャコールグレイのウールフランネルのチョークストライプのものです。
物入りでお財布が寒いですが、お買い物じたいには満足しています。
原宿の路面店ギャラリーでの展示『ポール・スミス ストライプを紐解く Stripe, Unfold』をみたのが決め手になりました。
ポール・スミス本人のメッセージヴィデオも上映されており、技術とデザインへの信頼がうかがえます。シグニチャーストライプの気球を打ち上げるアートプロジェクトが晴れ晴れと気宇壮大です。
ポール・スミスの作品を着ることでこの気風とどこまでもゆけそうに思いました。


『ストライプを紐解く』展のインスタレーション


ポール・スミスのメッセージヴィデオコーナー


展示されていたシグニチャーストライプのラインストーンドレス


お迎えしたジャケットの着心地はすばらしいです。出勤時に着ても肩がこらないし、腕を上げて板書をしても負担にならない。とてもかっこいいので来年の春に向けて紺ブレをお迎えしたいところです。


もっとも、予算には限界があるし、チョークの粉がついても大丈夫な服はやっぱり要る。洋裁の腕をあげて板書に支障のない洗えるジャケツとワンピースを縫うのが当面の目標です。型紙はMerchant and Millsから取り寄せて布も用意しました。総手縫いで作っているので、ボタンホールをきれいに刺繍できる技術を獲得したい。


だいぶ涼しくなったとはいえ、最高気温20度台は夏です。もしかすると冬が来ないのかもしれないという気がしてなりません。いつまでサマーウールやリバティタナローン二重仕立てワンピースを着られるか、胆力が試されているようにも思えてきました。

靴とバッグ類は当面手持ちのものを生かして生活します。トートバッグとミニショルダーバッグ2点持ちに向いた黒いショルダーバッグをさがしているところです。ローファーがはやっているのは把握しております。ヒールは5cmはほしい。
試着の旅を続けます。


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