見出し画像

123:「GUI体験」としてあたらしく書いた部分

昨日の段階で,発表の流れは以下のようになっていた.

写真の「向こう側」を考える
・重なりの双対性
・写真の正面性
・「像物体」「像客体」「像主題」でもない「黒い線」を見る

今日はこのようになった.

写真の「向こう側」を考える
・デジタル写真のパラドクス
・GUI体験と奇妙な触覚
・外部から「黒い線」を召喚する

「写真の正面性」が丸々削除されて,「GUI体験と奇妙な触覚」で「GUI体験」としてあたらしく書いたのは以下のようなこと.

コンピュータのインターフェイス,特にグラフィカル・ユーザ・インターフェイス(GUI)は,「イメージを操作する」こと,つまり,「イメージに触れる」ことが前提になっている.それは,現在のGUIにつながるアイデアを簡潔に表現し,その開発に大きな影響を及ぼしたアラン・ケイが提唱したスローガン「Doing with Images makes Symbols(イメージを操作してシンボルをつくる)」に見てとれる.もちろん写真も一枚の紙として手で触れられてきたけれど,写真の触覚的側面はこれまであまり注目されてこなかった.しかし,現在では,スマートフォンによってデジタル写真は手でもたれ,指で触れられているという側面が注目されている.それ以前から,ヒトとコンピュータとのあいだのインターフェイスは「イメージに触れる」ことが基本となっていて,「視覚」だけはなく「触覚」を画像に参与させてきて,「奥行き」というベールを取り払い,「向こう側」という感覚を一般的にしたと考えられる.

 触覚への逸脱が視認された対象以上の何かを,視界に付与してしまうからです.視界に関する,問題と解決の間には,こうして両者間の一致を不可能とするギャップが現れ,外部を招喚する仕掛けが作られます.果たして,視界という枠組みの外部が,視界に侵入することになるのです.視界の外部に対する直観,すなわちそれが,ここで言う向こう側なのです.位置No.1172/2996 

画像は「奥行き」を見る者に受動的に生起させつつ,それらは操作され重なり合って,常に「向こう側」を意識させるものになっている.ウィンドウの重なりの入れ替えが一番直観的ではあるが,Photoshopにおけるレイヤーの操作も「向こう側」を感じさせる一つの要素であろう.これらは,OSやソフトウェアの一つの機能に収まることなく,「写真」という平面と立体とが「拮抗・抗争」する場に「奥行き」とは異なる「向こう側」という別の場を持ち込むのである.平面全域に「奥行き」を見るのではなく,「向こう側」をつくる複数の重ね合わされた平面のあいだに「奥行き」が現れるようになる.写真は受動的に「奥行き」を生起させる場でありつつも,「奥行き」の生起を阻害する外部を招き入れる「向こう側」をつくる平面にもなっているのである.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?