渡邊恵太研究室 プロトタイプ展 2019「インターネット中心設計  インターネット前提のインタラクションデザイン」を見た。そこで、中里健也さんの「metaBox」が気になった。「metaBox」は、渡邊研究室が去年から提唱しているexUIの研究なのだけれど、今回はとてもシンプルな白い箱になっていた。

宅配BOX、ロッカーを使った買取サービス、無人コンビニなど、箱を使ったモノのやり取りハードウェアをメタにした箱プラットフォームです。exUI設計によりスマートフォンでユーザーインタフェースを提供するため、デベロッパーが開発したアプリケーションの数だけ使い方のバリエーションが広がります。

会場で配布されていた研究紹介カードには上のような説明があった。これをもとに中里さんと話しているときに、子供が勉強を終えるまでゲームを入れておく箱として使うという話になった。そのときまで、私はexUIはとても興味深いアイデア💡であるけど、どこか「箱📦」というハードウェアが逆に目立っているような気していた。なんでもできる箱であるがゆえに、それが📦が目立つというか。アプリでいかに用途が変わろうが、箱は📦であろう。アプリで用途の「タイトル」でのみ、箱がメタ化しているのであって、箱は📦であり続ける。

でも、家で子供が勉強を終えるまでゲームを入れておくという話になって、勉強をタブレットでする環境だと、勉強アプリと連携して箱の扉🚪の開け閉めができると面白いのではないかと思った💡 勉強環境が電子化されて、今日の課題が終わったら、さらには、課題の正答率が80%を超えたら、箱の扉🚪が勝手に空いている。このように考えたとき、「metaBox」は📦ではなく🚪になっているように感じたのである。条件付きで開閉する🚪であり、それはゲームのようにある条件をクリアすると開くものに変わる。何かを入れておく📦ではなく、条件分岐の🚪として「metaBox」を考えたとき、exUIの面白さが掴めたような気がした。

そこにメタな📦としてハードウェアがあるけれど、その機能というのは、そこで決まっていない。「何かを入れるための📦」という「📦」が大前提としている機能すらも、インターネット経由でアプリとの連携を前提にして考えると無効化されてしまう。「無効化」は言い過ぎで、ハードウェアとして「何かを入れるための📦」は保持しつつ、アプリとの連携の設定によって「条件分岐によって開く🚪」という別のレイヤーが前面にでてくるということだろう。

渡邊さんのTweetを受けての追記

渡邊さんのTweetにあるように、モノとソフトウェアとが重なり合うことによって、モノが「ハードウェア」としてあらたに定義されているような時期になったと思う。渡邊さんが『融けるデザイン』で書いている「「物」の定義にメスを入れる」必要があり、その研究が渡邊研究室で「exUI」というかたちで進められていると考えると、とても面白い。

少しまとめると，ものづくり，その「物」という言い方が体験にとっては適切ではなく，持続で捉えるべきだということだ．そしてリアリティは物質性ではなく持続性であるということだ．数百年「物」という状態を当たり前のこととして設計してきたわけだが，ハード，ソフト，ネットを目の前に，まず「物」の定義にメスを入れるべき時ではないだろうか．位置NO.2145/2409
融けるデザイン、渡邊恵太

今の時代は、モノ一つを考えるにしても、ハードウェア、ソフトウェアとの重なり合い、そして、インターネットとの接続を考えなければならないと、とても複雑になっている。しかし、だからこそこれまでの「道具」「機械」と言ったモノを改めて考える必要があるのだろう。